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ラジオ星
2023年6月28日 12:53
小さな鳥居の横、冷えた光を放つ蛍がわずかに細流を滑る。目で追えるほどの少ない光ではあるが、確かに蛍が棲んでいた。ぼうっと光る度に心が揺れ、闇に紛れる度に落ち着かない気持ちになる。川縁でしゃがんで右に左に顔を動かし蛍を探す。夜の空気はまだ肌寒く、サンダルをつっかけた足先に力が入る。まだ少し、半ズボンは寒かったかもしれない。アパートから10分ほど車を走らせ、バイパスを横切り田んぼの中の