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自分の書いた記事が本屋に並んだ日

ずっと。ずっと不思議だった。
本屋に行くと本や雑誌があふれてる。毎月毎日新刊が出てる。
私はもうずっと前から物書きになりたかったのに、
私以外のこんなに多くの方々が次々と出版しているのに、
どうして私にはチャンスが巡ってこないのかな。と。

正確には、一度は書いた旅コラムが本に掲載されたことはあった。
ウユニ塩湖を1人旅した時のことを綴った12ページ。
仕事を通じて知り合った出版社のメンバーに頼まれて書かせてもらった。
うれしかったなぁ。私も家族も喜んだ1冊だった、けどもうずいぶん昔の話。10年以上前のワンチャンス。

「紙媒体よりデジタル」
という流れは誰も抗えないほど確かなものだと理解しつつも、
やっぱり形の残るものに掲載されたいと思ってしまう。
大量生産され、消費され、埋もれていく記事ではなく、
工程を踏んで大切に扱われて、選ばれて届く記事に携わりたい。
回転寿司ではなく、手間ひまかかる京寿司のような記事を書きたいし届けたい。

長年の思いが、もう天井が見えない所まで積みあがった頃。
ご縁が転がり込んできた。
開業して3カ月。
月刊京都という雑誌の「香りも姿も美しい京寿司やさん」企画にて、取材記事を書かせていただくことができました。

以前紹介してもらったライターの師匠の取材に同行させてもらったところ「書いたら?ぜひぜひ」と仕事を譲ってくださるという、うそでしょ?の機会。

お寿司やさんの大将やおかみさんにお話を伺い、記事に仕上げていく。限られた文字数に伝えたいことを凝縮する。
師匠は「執筆にかかった時間が時給になるからね。2時間くらいでサクッと書いたら良いよ」
と言ってくださったけれど、余裕で半日以上かかった。サクッとなんて終わらなかったし、終わらせたくなかった。

Webの記事だと文字数が多い方がSEO的に好まれるので、自分で運営しているサイトなどは少なくとも2,000字は超えるように意識していたけれど。
500字程度におさめなければならない。

難しい!楽しい!難しい!
取材させていただいた方々の顔を思い浮かべながら綴る。編集部のみなさんや、雑誌を購入して手にしてくださる方々に恥じないものを、と一人で気負う。気負ってやるよ、だって夢が叶う過程にいるんだから。

文字データを編集部に送り、そこからレイアウト、校正、印刷、配本。
取材から約2か月以上後の発売日。
Amazonを見た。
「ベストセラー」ランキング1位!(割と謎カテゴリーではあったけど!)

本屋に行ってみる。
ある!平積みされてる!
3軒行って3軒売ってた。あまから手帳より減ってる!(配本が元々少ないのかもしれないけど!)

今回書いたのは4ページ。
たったの4ページ。
でも叶え方も分からなかった目標が、自分にとってのでっかい目標が実現した日だった。
5月10日
それは私の「書いた記事が本屋に並んだ記念日」

「また次回もお願いしますね!」
一度も諦めたことのなかった夢が、現実になりはじめてるのかもしれない。
今回こそはラッキーパンチではなく。


おわり

コメダ珈琲で祝杯

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