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心の内省日記4〜診断〜

平日の朝。外は薄暗く、雨が降っている。家のリビングで1人PCを操作する。キーボードをたたく音だけが響く。妻から頼まれた必要な書類を取り寄せるため、黙々と手続きを進める。ホッと一息つき時計を見る。病院の予約時刻までまだ時間はあるが、落ち着かず、出かける準備を始める。

数日前の昼休み。「月曜日であれば空きがありますよ。何時がご都合良いですか?」ゆっくり受診できそうな時間をと思い、昼前を指定した。「それでは11:30でお待ちしています。」ようやく予約を取れたことに安堵し、携帯電話をきった。

予約時刻の15分前。財布とスマートフォンを持って家を出る。いつの間にか霧雨に変わっている。傘をさし、地図を確認しながら早足で病院へ向かう。家の最寄り駅に着き、改札口の前で看板を見つける。毎日視界に入っていたはずなのに、全く気付いていなかった。行ったことのない脇道に入り、病院に着く。

ドアのボタンを押して病院に入る。受付と待合室、診察室のシンプルで静かな空間。受付を済ませて問診票を受け取る。問診票には意欲や食欲、感覚、睡眠、心理、性格など多くの質問が書かれている。自分に意識を向け、正直に回答を書く。書き終えた後、問診票と引き換えに白い紙に太い黒字で書かれた番号表を受け取る。待合室のソファに座り、緊張しながら順番を待つ。

自分の番号がアナウンスされ、診察室のドアが少し開く。医師に迎えられ、中に入る。医師のデスクの向かいの椅子に座る。「どうなさいました?」医師が問診票を見ながら言う。数ヶ月前から今までの自分を振り返る。一つのことに集中できず注意散漫であること、睡眠状態が悪いこと、意欲が低下していること、ネガティブなことを全て吐き出した。「睡眠導入剤を飲み始めたのはいつですか?」薬を飲んでぐっすり眠れたのは10年前だったような。問診票に書かなかったことも詳細に医師に伝える。

「ここ数ヶ月で始まったことではないでしょう。年単位で今の身体と心の状態になったと思います。」医師が推察する。再び問診票を見た後、医師は自分にしっかりと向き合った。「あなたはうつ病ですね。脳にかなりダメージを受けていると思います。これから私の言う通りにしてください。」一瞬、何を言われたか分からずにいた。「頭を使うことはやめて、何もせず寝てください。とにかく頭を休めることが大事です。今飲んでいる睡眠導入剤は違う種類に変えましょう。それから診断書もお渡しします。」

予想していなかった診断に目の前が真っ暗になる。自分が戸惑うのを見て、医師は言う。「私の診断を受けて入れてください。あなたはその覚悟があってここに来たのですよね。」

その後、これから服用する薬の説明を受けた。朝と夜に飲む薬。それぞれ違う種類で飲み始めは体が慣れず、だるさが強くでること。慣れたら少しずつ増量する予定であること。「また3日後に来てください。今日は以上です。」呆然としたまま診察室を出た。

再び待合室のソファに座る。さっきよりも体が重く、ずっしり沈んでいくような感覚に襲われる。会計を呼ばれ、診断書を見せられる。「お名前、住所にお間違いはないですか。」何も確認せず反射的にはいと答えていた。「お大事になさってください。」診断書が入った封筒を受け取る。なぜかずっしりと重い。

病院を出ると再び雨が強くなっている。これから自分はどうやって生活すればいいのだろうか…強い不安に襲われたまま傘をさして歩き出した。


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