生きやすい未来のためにできること
わたしは仕事へ。息子は小学校へ。
分かれ道に差し掛かるまで一緒に歩いてるんだけど、なんだかその日はとってもいいことを言えた気がする。
その日、我が家では休日出勤をした夫が代休でお休みをとっていた。普段は朝早くからどころか、家にもいない夫が平日に家にいる。当然のごとく、わたしは朝の家事や子どもの準備を任せて、自分の準備に取り掛かる。朝のタスク量が一気に減ったので、家を出る時間までソファに座ってだらだらすることさえできた。
道すがら、
「パパが休みだと、ママ楽ちんでいいわぁ~」
そう言うと、そうだよね~ママ大変だよね!なんて息子が言う。いやいや、ママが大変なのは君のおかげでもあるんだよ。もう少しテキパキ動いてくれや。なんて思いつつ。
「ママは毎日こうでいいなぁ。ママがお金持ちになったらパパにおうちにいてもらって、おうちのこと全部頼むのに。」
そう言った後、ちょっと気になったので聞いてみた。
「ね、ママがごはん作らないで、パパがごはん作るのって、変だと思う?」
記憶にも新しいポテサラ事件や冷凍餃子事件。どちらも育児や家事をする労力への軽視や、女性そのものへの軽視からきていると思う。
「女だからこのくらいできて当たり前。」っていうわりに「女のくせに」と言いたがる。
「家で子どもと遊んでるだけなんだから」という人に限って「子どもと1時間どころか、数十分だって過ごせない。」
私は女だから、やはりこういう話題が上がれば、自分に蓄積されている女性としての経験値をもとに女性側の立場に立ってしまう。もちろん世の中の男性すべてがそんな考えだとは思っていない。
そもそも、そんな風に思うのが男性だけとも限らない。
「ババとかジジはさ、ママがごはん作らないとか聞くとすごく怒るじゃん。もちろんママだって作りたくないわけじゃないけど、どうしても仕事が遅いとごはんの時間も遅くなっちゃうから作れなかったりするでしょ?」
「それで休みの日はパパがごはん作ってくれたりお掃除してくれたりするじゃん?」
「それって、変だと思う?」
そうなのだ。日々出張でいない夫に代わり、ワンオペ育児を行っているわたし。仕事でごはんを作れないなんてしょっちゅう。それを実の両親がよく思っていない。女は仕事も家事も育児も手を抜くなという“圧”を度々感じる。押しつぶされては困るので、右から左に流しているけれど。
そんな感覚いまの時代にはナンセンスなのだが、私の年齢よりも上の世代で理解できる人は稀だろう。わたしの世代ですら、勘違いしたモラハラ気質の男友達が「奥さんの料理が少しでも気に入れなければ食べない」なんて悪気なく話していたらしく、「目の前でそれ言われて、しっかり注意したの!?奥さんかわいそう!」などと夫に怒ったのも記憶に新しい。(夫も怒ったらしいけど夫からしたら完全なる「俺に言われても…」案件である。)
「パパは料理するのが好きだし、ママよりもおうちのこと上手にできるしさ。反対にママはお仕事する方が好きだったりするから、自分の得意な方とか好きなことを協力してできればいいんじゃないかな~ってママは思ってるんだよね。」
自己肯定でもあった。自分のしていることは決して変なことでも、間違ったことでも、ましてや悪でもないとは信じているけれど、日ごろのネットのトレンドや実の両親からの圧によって、罪悪感に押しつぶされそうになることもあったから。
「全然変じゃないでしょ。」
「“ともばたらき”だし。」
「ぼくもお料理したいから、今度エプロン買ってきて作ろう。」
前の世代から見れば、今のわたしたちは『楽をしている』ように見えるのだ。両親からの圧がくるのも「仕方のない」ことだと割り切ってはいる。
だけど「楽をすること」は悪いことなの?
この「変化」って悪いことじゃないと思うんだ。
パパだからとかママだからとかそんな肩書のために結婚したわけじゃないはず。要は“適材適所”なわけで。家族という小さなコミュニティをより円滑に回すためには、決まりきった定義なんてあるはずがない。家族の人数や環境、なによりひとりひとりの性格や得意なこと、家族の数だけルールはあっていいはずだ。しかもそのルールは簡単に変わったっていいのだ。
いま家族のかたちや在り方はきっと『変わろうと』している。
誰だってはじめの一歩は怖いし、新しく始まる物珍しいものには批判がつきものだ。『わたしたちが楽をしているように見える人たち』は、きっとこれからも同じようにわたしにいい顔はしないだろう。
だけどさっきも言ったように、この変化は『いい変化』だと思うんだ。
あと何年、何十年して。いま葛藤して、耐えて、ふんばっているわたしたちが、この『変化』を最後まで見届けることが出来れば。
これからの子どもたちは、もっと生きやすくなるんじゃないだろうか。
本日も読んでくれてありがとうございます!
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