「ママ」という呪い。

「ママ、呪われてるよ」

そういって我が子は私の呪いを鮮やかに解いた。

我が子はかわいい！

そりゃもうとんでもなく！！！

だからこそ全力で愛してあげたいし、自分の持てるすべてで守ってあげたい。

だからママはみんな、自分でも知らないうちに自分に呪いをかけてしまう。

「子どものために」

「～してあげなきゃ」

「いまがこの子にとってとても大事な時期だからひと時も手を抜けない」

「わたしがしないと」

そんな風に自分を鼓舞するように

知らず知らずのうちに自分のキャパシティ以上のものを与えようとしてしまうのだ。

実際、わたしはそうだった。

長男がまだ小さかった頃は子どものために“いいママ”であろうとして、本来の自分はどこか置き去りになっていた気がする。

自分の長所も、夫や周りの人に好きといってもらえた自分の魅力ある部分も

ぜんぶ押し殺して「素敵なママ」を演じていた。

言うまでもなく、そんなハリボテの“いいママ”は全く魅力的ではなくて。

すべてを頑張ろうとするあまりに、子どもや家庭で起こる悪いことすべてが自分のせいのように感じ、追い詰められてしまう日々が続いた。

頑張らなくていいことに気付いたのは、長男が小学校に入学してから。

クラブ活動やPTA活動など、幼稚園時代とはまた違う親同士の交流を通し、仕事をしながら生き生きと子育てを楽しむママと出会いがきっかけだった。

もともと他人と交流したりすることが好きでアクティブだったわたしは、徐々に本来の自分を見せていくことができるようになり、

そうしていくうちに「〇〇くんママと〇〇ちゃんママ」という繋がりから

「わたしとあなた」という、ひとりの人間同士としてより深みのある付き合いができるようになっていったと思う。

「自分」という人間の本来の良さは、表面だけを見ても決して分かりえないもの。

言い換えれば、「他人」の良いところも、その人を深く知らなければ理解できない。

“ママ同士”という関係性だけではどうしてもそこまで自分の魅力も伝えられずに、相手の魅力にも気付くことができなかったのだ。

だからその中でせめて「わたし」という存在が相手にとって好印象になるように、自分を取り繕うことで自分を守っていたのかも。

しかしいざそれを取っ払ってしまえば、相手のことを知るたびに良いところが見え、もっと相手のことを知りたいと思うようになり。

結果、わたしのことも知ってほしいと思えるようになった。

それはきっと、忘れていた“ママになる前の自分”を思い出したから。

「自分にもこんなに魅力的な部分はあるのに、どうして今まで隠してしまっていたんだろう？」

ママたちはよく知っていると思うけど、子どもってほんとに一人一人全く違う個性とポテンシャルを持っている。

同い年の友達や、兄弟、姉妹、たとえ双子だって、誰ひとりとして同じものは持っていない。

でも、それってきっとママも一緒。

子どもたちはこれからどんどん可能性や視野を広げ、無限に成長していく。

じゃあ、ママは？

わたしはそこで立ち止まったまま、子どもの背中を見守っていくの？

その答えは「NO！」だ！！！！！

学生時代や社会人時代に努力して積み上げてきた「自分」の可能性や強みが、「ママ」になったからといってゼロになってしまうのであればそれは過去の自分への否定と拒絶だ。

同時に我が子という世界で一番愛する存在のことも否定してしまうことになりかねない。

だって、ママだけど、わたしはずっと「わたし」であったんだから。

子どもと一緒に成長して、いくつになっても新しい自分を見つけたい！

そして「ママ」であり「社会人」であり「妻」であり、さらには「子」でもあり、、、。

ひとりの「わたし」でありながらたくさんの自分を持っている「わたし」を受け入れて、どんな自分も誇らしく愛してあげたい。

まだ３０数年しか生きていないが、自分に自信を持つことは「わたし」として生きていく中でとても大切なことだと学んでいた。

そしてその学びは、子どもにも受け取ってほしい。

子どもを愛して、大切にして、褒めて。

子どもの自己肯定感を高めてあげようとはよく聞くけれど、

そのために一番大切なことは

ママが愛されて、大切にされて、褒められて。

そしてママが自分を愛して、笑顔でいることなんじゃないかな。

「子どもって、ママが笑顔でいてくれればそれだけでハッピーなの。」

長男の小学校の先生がおっしゃっていた言葉です。

ほんと、その通りで、聞いた瞬間わたしは泣いてしまった。

いつだって、どんなときだって、ありのままのわたしを一番愛してくれていたのは子どもだったから。

多少ミスをしても、失敗作のまずい料理が食卓に並んだ時も、怒りすぎちゃったかも、、、って後悔しても

いつだって子どもたちはわたしの大好きな笑顔で「ママだいすき！」って言ってくれる。

、、、そんな我が子からの“無償の愛”により、わたしの呪いは無事解かれたのであった。