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【小説】毎日登校でログインボーナスならぬ登校ボーナス(1347文字)

 時代が進み、不登校の生徒というのは当たり前になってきた。家で勉強したり、オンラインで勉強したりと、様々な形態が取られるようになっていた。
 そして今はとある学校で職員会議が行われていた。

「ぐぬぬぬぬ。このままではまずい! あまりにも生徒が学校に来なさすぎている。確かにオンラインで勉強するっていうのは許されているのかもしれない。でも本来の学校で勉強するという形をどうにかして維持していきたい。このままでは正直学校というものすらなくなってしまうことも危惧しなければならない!」
「どうしましょうか? でも時代に逆行するようなやり方はもう古いのではないかと思います」
「確かにそうだな。どうやってみんなに学校に登校してもらおうか」

 すると一人職員会議でスマホをいじっている人がいた。

「ちょっと君、一体どういうことかね!? 職員会議の場でスマホをいじっているなんて!」
「いやだって職員会議なんてマジつまんねえし。だったらスマホでゲームやってた方がいいっしょ」
「全く、先生がこれだから生徒も来ないんじゃないのか?」
「ま、適当にやっといてくださいよ。どうせこんなの生産性もない職員会議なんですから。俺は知ーらね」
「な、なにをー!!!」

 そういうと若い先生はまたスマホをいじり始める。

「全く最近の若い先生は手がつけられないな。もうこのまま本当に時代は変わっていってしまうのだろうか?」
「あっ、やっべ。こっちのゲームのログインするの忘れたわ。ログインボーナスだけはちゃんともらっておかないとな」
「また君ってやつはゲームばっかりやりよって。そんなにログインボーナスが大事かって…」

 ここで脳裏に電流が走る。いや待てよ。これはかなり名案かもしれないぞ!

「これだーーーー!!!!!!!」
「うわーーービックリしたーーーー!!!!!」

 若い職員はびっくりしてスマホを落としてしまった。

「うわースマホ壊れたかもしんない。まじかよー。最悪なんですけどー」
「いや君! よくやってくれた! 良いアイデアが出たぞ!」
「そっ、そうすっか。ところでスマホが…」
「よし、これにて今日の職員会議は終わる。みんな解散!」

 職員会議を取り仕切っていた先生は何か思いつき早速メモをしている。

「よしこれで間違いなくみんな学校に来るぞ。楽しみに待っておれ、若者たちよ」

 そしてこの日から学校は不思議なキャンペーンが始まった。

「なあ、あの噂聞いたか?」
「何のことだ?」
「学校にログインボーナスならぬ、登校ボーナスというのが始まったらしいぞ」
「マジかよ。それ面白そうだな。それで登校すると何がもらえるんだ?」
「なんか豪華な商品とか結構もらえるらしいぞ」
「それがだんだん普及していったら面白くなりそうだな」
「家で勉強するのも飽きてきたし、久しぶりに学校行ってみないか?」
「それもそうだな行ってみるか」

 そして学校でログインボーナスが始まった。ある程度の登校でキラキラスタンプをしてもらうと豪華な商品がもらえるということで話題になった。
 これがうまくいったのか全国に広がっていって不登校の生徒がかなり減ったという噂だ。そして学校の空白の席がどんどん埋まっていった。

「よし、久しぶりに全員が教室に揃ったな! それでは授業を開始していく!」
「はーい!」

~おわり~

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