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機器を用いた軟部組織モビライゼーション:Clinical Practice Patterns

▼ 文献情報 と 抄録和訳

機器を用いた軟部組織のモビライゼーションに関する医療従事者のClinical Practice Patterns

Cheatham, Scott William, et al. "Clinical Practice Patterns Among Health Care Professionals for Instrument-Assisted Soft Tissue Mobilization." Journal of Athletic Training 56.10 (2021): 1100-1111.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ Keypoints
- 器具を用いた軟部組織動員法(IASTM)の研究、専門的なトレーニング、および臨床実践には大きなギャップがある。
- 回答者は、専門家としての経験、トレーニング、および臨床でのIASTMの使用について不均一性を報告した。
- クラスタープロファイルにより、IASTMのトレーニングと使用パターンにおけるグループの違いが明らかになった。
- 様々な患者層や症状に応じた臨床ガイドラインの作成に注力する必要がある。

[背景・目的] 機器支援軟部組織モビライゼーション(IASTM)は,医療従事者によく用いられる筋膜介入である。目的米国の医療従事者におけるIASTMの臨床実践パターンを記録すること。

[方法] デザインは横断的研究。調査方法は、オンライン調査。被験者は、全米アスレチックトレーナー協会(n = 249)および米国理学療法士協会(n = 604)のメンバー計853名。主なアウトカム評価IASTMのトレーニングと経験、IASTMの適用、実践におけるIASTMの認識、および人口統計学的情報の4つの分野を評価する55項目の電子調査への回答。

[結果] 853名の回答者のほとんど(n = 705, 83%)がIASTMを使用しており、平均15年の実務経験を持っていた。回答者の約86%(n=731)が何らかの公式トレーニングを受けており、61%(n=518)が何らかの非公式なトレーニングを受けていた。回答者は34種類以上のIASTMツールを使用していました。71%(n=606)は、治療中にツールが加える力の量を定量化する方法を知らないか、定量化しようとしないと回答した。特定の病変や部位に対する治療時間は、1分から5分以下で、平均の総治療時間は14.46±14.70分だった。回答者は、IASTMの前後に31種類の介入を行った。約66%(n=564)が治療法の推奨事項に従うと回答し、19%(n=162)がトレーニング中に学んだ推奨事項にはほとんど、あるいは全く従わないと回答した。94%(n=801)が、治療を評価するために何らかの臨床結果指標を用いたと回答した。クラスター分析では、専門家の間で3つの異なるクラスター・グループが確認され、ほとんどの専門家(89%、n = 729/818)がIASTMは有効な治療法であると回答した。

図1

✅ 3つのクラスターグループの概要
中立派:器具を使ったアプローチと伝統的なアプローチの両方が有効である
機器推進派:器具を使ったアプローチを好み伝統的なアプローチに反対する
機器高感派:器具を使ったアプローチを好むが、伝統的なアプローチも否定しない

[結論] 今回の調査では、医療従事者のIASTM実践パターンを記録した。クラスタープロファイルは、IASTMのトレーニングと臨床応用におけるグループの違いを特徴づけるものであった。IASTMのベスト・プラクティスを確立するためには、研究、臨床実践、トレーニングの間のギャップを埋める必要がある。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

革命は、いつの日もテクノロジーと手をつないできた。
鉄砲は籠城戦の優位性を、天体望遠鏡は天動説を、車は馬を打ち砕いた。
人数として上回っていた幕府軍が、なぜ新政府軍に大敗したか?
新政府軍がテクノロジー(最新の軍備システム)を採用していたからだ。

軟部組織のモビライゼーションにおいて、革命はすでに起こっている。
このアメリカにおける道具の使用率『83%』
日本は、どうだ?
おそらく、この数字を大きく下回るだろう。
僕たちは、テクノロジーの前ではただ、ひれ伏すしかない。
それは、歴史が繰り返し証明してきた事実だ。
学び、取り入れ、実践する。それだけが道を分ける。
織田信長になろう!
鉄砲を取り入れ、その最良の使い方を考案した織田信長に。

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