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カフェインのエルゴジェニック効果:運動の30-60分前に摂取せよ

▼ 文献情報 と 抄録和訳

レジスタンス運動におけるカフェインの効果:最近の研究のレビュー

Grgic, Jozo. "Effects of caffeine on resistance exercise: a review of recent research." Sports Medicine 51.11 (2021): 2281-2298.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ 前提知識:エルゴジェニック効果とは?
- スポーツの分野では、特定機能食品や特定保健用食品といったサプリメントを使用することも少なくない。
- トレーニングの前に摂取するとパフォーマンスを高めることができる食品がある
- 特定の栄養素や成分を含んだ食品が運動能力を高めることを「エルゴジェニック効果」と呼ぶ
✅ Key points
- カフェインの摂取は、様々なレジスタンス運動、負荷、セットプロトコルにおいて、1反復の最大筋力、等尺性筋力、等速性筋力、筋持久力、速度、パワーにエルゴジェニック効果があることを示す説得力のある証拠がある。
- 低用量のカフェイン(例:2~3mg/kg)は、高用量のカフェイン(例:6mg/kg)と同等のエルゴジェニック効果があると思われる。
- カフェインの最小有効量は1.5mg/kg程度であると考えられる。
- カフェイン入りのチューインガム、ジェル、コーヒーなどのカフェイン源も、レジスタンス運動のパフォーマンスを向上させるエルゴジェニックである。
- カフェイン入りのカプセルでは、運動前30~60分に摂取するのが最適なタイミングと考えられる。カフェイン入りのチューインガムやジェルは、運動の10分前に摂取してもレジスタンス運動のパフォーマンスを高める可能性がある。
- カフェインがレジスタンス運動のパフォーマンスを向上させるのは、主にその生理学的効果によるものと思われる。しかし、カフェインのエルゴジェニック効果のごく一部は、プラセボによるもののようである。

[背景・目的] ここ数年、レジスタンス運動におけるカフェインの効果を探る研究が数多く行われており、この分野の研究が急速に発展していることを示している。このレビューでは、最新の知見を評価し、まとめている。

[レビュー内容] 骨格筋の収縮力を高めるためには毒性のある量のカフェインが必要であることを考えると、カフェインのアデノシン受容体への結合がレジスタンス運動に対するカフェインのエルゴジェニック効果の主要なメカニズムであると考えられる。カフェインを摂取すると、(i)1回の反復最大筋力、等尺性筋力、等速性筋力、(ii)さまざまなレジスタンス運動、負荷、セットプロトコルにおける筋持久力、速度、パワーが向上するという説得力のある証拠がある。さらに、カフェインを補給することで、筋力やパワーの向上など、レジスタンストレーニングへの適応を高めることができるという証拠もあります。カフェインの摂取は、女性のレジスタンス運動パフォーマンスにエルゴジェニックな効果をもたらし、その効果の大きさは男性で観察されたものと同様であると思われる。カフェインの習慣的な摂取やCYP1A2およびADORA2Aの多型は、レジスタンス運動におけるカフェインのエルゴジェニック効果を調節しないようである。低用量のカフェイン(例:2~3mg/kg)の摂取は、高用量のカフェイン(例:6mg/kg)の摂取と比較して、同等のエルゴジェニック効果があると考えられる。カフェインの最小有効量は1.5mg/kg程度であると考えられる。カフェイン入りのチューインガムやジェル、コーヒーなど、別のカフェイン源もレジスタンス運動のパフォーマンスを向上させるエルゴジェニックなものです。カフェイン入りのカプセルでは、運動の30〜60分前に摂取するのが最適なようです。カフェイン入りのチューインガムやジェルは、運動の10分前に摂取してもレジスタンス運動のパフォーマンスを高める可能性がある。カフェインがレジスタンス運動のパフォーマンスを向上させるのは、主にその生理学的効果によるものと思われます。しかし、カフェインのエルゴジェニック効果のごく一部は、プラセボによるものと思われる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

続々とカフェインのパフォーマンスや認知に対する効果が明らかになってきている。

ところで、ここに1つの問題がある。
エビデンス上では、続々と効果が報告されている。
だが臨床現場の実践にはまだつながっていない。
ここに、どう橋をかけるか?
・多くの併存疾患を有する高齢者におけるカフェインの適応や禁忌は?
・コーヒーなのか、カプセルなのか、ガムなのか、ジェルなのか?
・誰が、どのようにカフェインを管理するのか?
 etc...

解決すべき課題は多い。
だが、仏間に飾っておくためのエビデンスではない。
それをどう実践につなげるか、そこに1つの科学がある。
臨床現場で働く者は、その部分に覚悟と矜持をもちたい。
勤勉と、実践と。
頭の中を飛び出て、現実を変えよう。

つまり、肝心なのは、この道を知ることではなく、この道を歩くことだ
ヒルティ

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