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お題 ほんの一部スイカ
『バチンッ!!』
猿が囲炉裏の前に座るや否や、灰の中から熱々に焼けた栗が飛び出して来た。
「アチチチチ!」
栗によって胸元の毛と皮膚を焼かれた猿は慌てて水瓶へと駆け寄った。急ぎ水瓶の蓋を開けると待っていたのは冷たい水ではなく1匹の蜂。蜂は猿の両手をすり抜け瞼へとその尾の針を突き刺した。
「イタタタタ! こりゃたまらん」
蜂の一撃に加え追い詰められ視野が狭くなっていた猿は、屋外に出た
お題 スナイパーの意外な使い方
「あなたっ! 聞いてるのっ!?」
妻の金切り声が居間に響き渡る。
「聞いてるよ。網戸だろ」
「これだけ虫が入って来るってことは、きっとどこか破けてるのよ。今日中に直してよ。あたしが虫嫌いなの知ってるでしょ」
「破けてるのはどの網戸なの?」
「知らないわよ。探しなさいよ」
おい!! お前は日中も家に居るんだから自分で探して直せよ!! 休みの日くらいゆっくりさせろ!! などと間違っても
お題 生き写しバトル
「ほら、よく見てみろよ。鼻なんて俺にそっくりじゃないか」
「それを言うなら、タカシのこの目は私とまるっきり一緒の目よ」
タカシのこととなるとついつい俺も妻もヒートアップしてしまう。
「俺なんかな、タカシと近所散歩してたらな、隣の家の婆さんから、どっちがどっちか分からなかったなんて言われたことあるんだぜ」
「タカシは3歳よ。そんな訳ないでしょ。私なんかタカシと一緒にお昼寝してたらお義母さん
お題 I魚人(あいうぉんちゅ)
『マグロのターン。通常攻撃!! アジに80ptのダメージ!! アジを倒した!!』
これで雑魚は倒したぞっ! 後はボスのヒラメだけだっ!
『ヒラメのターン。通常攻撃!! マグロは攻撃をかわした!!』
よしっ! 敵は回遊魚属性のスピードに付いて来れてないっ!
『ヒラメの追加スペル。舞い踊り!! マグロのMPが100pt下がった!!』
なにっ! ここでMPを削ってくるのか!? こうなった
お題 デジタル混入島
「やっぱ離島にして正解だった」
例年の長期休みはいつも海外に行っていたが、今年はふと離島に来てみた。
澄みきった空気は緑の香りと小鳥のさえずりを運んでくれる。ゴテゴテと飾られていない素朴な料理は体の芯まで滋味が染みわたる。
「おや、お客さん。お散歩かい? 今日は暑くなるからコレを持っておいきよ」
なんせ人が温かい。民宿のおばちゃんから受け取った麦わら帽子を被り、当てもなく歩き出す。
お題 アナログ巌流島
もうすぐメタバース『NENGU』で開催されてきた剣術格闘ゲーム大会もクライマックスを迎える。決勝のフィールドはこのヴァーチャル空間内にある1つの島。僕はこの大会の為、3ヶ月もの間学校を休んだ。その甲斐もあり決勝まで辿り着くことができた。あと1勝。あと1勝で日本一になれるんだ。
トップe-sportsプレイヤーも参加するこの大会で僕が決勝まで来れた理由。実は1つ秘密がある。僕はこっそりコード
博士の鈍色設計図 《note創作大賞2023投稿作》
《あらすじ》
発明品メーカーに務める折橋は今日も町外れの坂道を登っていた。
町外れの丘の上。そこにひっそりと佇む研究所。その研究所では博士の手によってエキセントリックな発明品が次々と生み出されていた。
博士の発明品はそれを手にした人々の人生図面にどんなデザインを描くのか?
AI、ウィルス、宗教、エネルギー問題に異星人? 此処と同じようで此処とは違う、ちょっと不思議な世界のちょっとシニカルな