金子忠義

ナチュラルボーン・フリーランスライター。28歳頃よりフリーランスで雑誌媒体を中心に執筆…

金子忠義

ナチュラルボーン・フリーランスライター。28歳頃よりフリーランスで雑誌媒体を中心に執筆。40歳頃よりゴルフ雑誌のインタビュー記事を担当。以後、ゴルフの沼に首まで浸かる。一時、ライター稼業を離れたものの、50歳頃よりWEB媒体を中心に活動再開。

最近の記事

リンクスランドをめぐる冒険 Vol.70 St.Andrews

前回のあらすじ スコットランドのゴルフコースをめぐる1人旅、たぶん最後のコースになるだろう、セント・アンドリュース・リンクスのイーデン・コースを午後5時にスタート。最初こそ雲の合間に青空も見えていたが、次第に悪化。激しく打ちつける冷たい雨が体力と気力を奪い、ついに、今回の旅で初めて、残り3ホールを残してリタイアした。 膨大な欠片 夜明け。 セント・アンドリュース湾に太陽が登り始めた。 水平線にはまだ厚くて黒い雲が居座っていたが、その上空になると雲が薄くなり、光芒が海面を

    • リンクスランドをめぐる冒険 Vol.69 St.Andrews Part.7

      前回のあらすじ セント・アンドリュース滞在も最終日。古本屋で見つけた「A WEE NIP at the 19th HOLE」の著者リチャード・マッケンジー氏の消息が知りたくてキャディ・パビリオンを訪ねる。古参のキャディからマッケンジー氏が元気なことを教えてもらい、少しばかり気が晴れた。あとはイーデン・コースを回るだけだ。 特別な感傷もなく淡々と・・・ イーデン・コースはドライビング・レンジの先、セント・アンドリュース・トラスト。リンクスのクラブハウスからは少々、離れている

      • リンクスランドをめぐる冒険 Vol.68 St.Andrews Part.6

        前回のあらすじ オールド・コースのバロットは3回目もハズレ。仕方なくイーデン・コースを予約するもスタートは午後5時。それまですることもないので、セント・アンドリュースの町をブラブラしてたら古本屋を発見。そこで、偶然にも「A WEE NIP at the 19th HOLE」と出会う…。 老兵はやがて消え去る 本を抱えたまま、オールド・コースに戻った。 「A WEE NIP at the 19th HOLE」をもう一度、麻袋から取り出して見る。 思えば、偶然が重なった20

        • リンクスランドをめぐる冒険 Vol.67 St.Andrews Part.5

          前回のあらすじ セント・セント・アンドリュース・リンクス・トラストのメインコース、オールド・コースの抽選に4回連続して外れる…。果たして、この旅のフィナーレはどのような形になるのか? スタートは午後5時!? 朝から、することがなかった。 コーヒーを淹れ、カップを持ったまま窓の外を眺めた。 オールド・コース・ホテルの窓からは1番と2番、17番と18番ホールを見渡せる。 青空が広がって、彼方の海には虹がかかっていた。 明日は一応、予備日として用意していたが、セント・アンド

        リンクスランドをめぐる冒険 Vol.70 St.Andrews

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.66 St.Andrews Part.4

          前回のあらすじ 65歳ライターのスコットランド・ゴルフ1人旅、最後の目的地セント・アンドリュースに来て2日目。オールド・コースのバロットは2回目も外れてやることがない。とりあえずリンクス・トラストの他のコースを回ろうと思ったら初心者・子供向けの9ホールショートコース、バルゴブ・コースしか予約が取れなかった…。 これまでの無名なコースに思いを馳せる 3回目、つまり最後のオールド・コースの抽選(バロット)も外れた。 先行予約も含めて4連続。 まあ、当たる人は1回で当たるし

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.66 St.Andrews Part.4

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.65 St.Andrews Part.3

          前回のあらすじ 65歳ライターのスコットランド・ゴルフ1人旅、最後に来て違和感を覚える。それはセント・アンドリュースの妙な賑わい。喩えるならゴルファーの遊園地。これが旅のフィナーレなのか?そんな疑問を懐きつつ、オールドコース・ホテルへ。そして2日目のオールドコース・バロットも外れる。 記憶の面影を探すための徘徊 「人生は祭りだ。ともに楽しもう」 フェリー二監督「8 2/1」の名台詞。 妄想と現実が交差する映画としては優れているし、私の人生的には同意なのだが、この場面では

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.65 St.Andrews Part.3

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.64 St.Andrews Part.2

          前回のあらすじ 65歳ライターのスコットランド1人旅、いよいよ最後の目的地、セント・アンドリュースに到着。すでにオールドコースの1回目バロットはハズレ。一応、滞在は3日なのでチャンスはあと2回。とにかく街に入ろうと思ったが、どうも20年前とは様相が違って…。 セント・アンドリュースの九十九里浜 一瞬、マイアミか?と思った。 セント・アンドリュースに着いた初日、オールドコースの抽選に外れ、することもないのでオールドコースの周囲を車でゆっくり走った時のことだ。 確かに初日

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.64 St.Andrews Part.2

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.63 St.Andrews Part.1

          前回のあらすじ 65歳ライターのスコットランド・ゴルフ1人旅。いよいよ最終目的地のセント・アンドリュースへ。ただし、オールドコースでプレーするための先行予約は前年の10月に外れている。果たして、オールドコースでプレーすることはできるのか…。 第1回目のハズレメール、届く オールドコースの抽選(Ballot)はプレー希望日の2日前に公式サイトから申し込む。 以前はオールドコースのスターターへ直接行くか、電話で申し込みをしなければならなかったことを考えると便利になったものだ。

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.63 St.Andrews Part.1

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.62 オールドコースでプレーする方法

          潤沢な予算があれば大名旅行! セント・アンドリュースのオールドコースは誰でもプレーできる。 たとえば国内ツアーを利用する方法。 アゴアシ、ガイド付きだから大名旅行だ。 英語なんてキャディが話すゴルフ用語だけ分かれば十分。 旅行期間は短いが、オールドコースだけでなくミュアフィールドなど他の有名なリンクスコースを回れるのも魅力。 料金はハイシーズンで200〜250万円。 この他、昼食とかキャディへのチップとか多少、必要になるが、この料金を払える人なら微々たるものだろう。 オ

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.62 オールドコースでプレーする方法

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.61 親父のこと

          親父は74歳で鬼籍に入った。 私がまだ40代後半の時だ。 第二次大戦の末期を経験していて、戦後は弟や妹を抱えて大変な思いをしたらしい。時折、そんな話を耳にした。 親父がゴルフに熱中、というか子供の目から見たら狂ったのは40歳を越えてから。当時、タクシーの運転手をしていて、客に誘われたのがきっかけ。 クラブなんて握ったことがなかったら、相当、恥をかいたらしい。 まあ、初めてで恥も何もないが、それを恥と感じるところが親父らしいところだ。 余談だが、当時、進駐軍を頻繁に乗せて

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.61 親父のこと

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.60 重なる奇妙な偶然 Part.3

          前回のあらすじ 偶然にも「19番ホールで軽く飲ればいつも心はあたたまる」の著者、リチャード・マッケンジー氏にインタビューできた後、日本語版の著書を渡したら感激してくれ、キャディマスター室に招待してくれた。当時45歳のライター、(昔の)キャディマスター室に招待された唯一の日本人となる。 コリドー街を歩いて 振り返ってみると、奇妙な偶然はもっと以前から、そもそもきっかけから始まっていた。 確か、コブシが咲いていたから4月に入った頃だ。 平日の昼間、新橋で仕事の打ち合わせをし

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.60 重なる奇妙な偶然 Part.3

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.59 重なる奇妙な偶然 Part.2

          前回のあらすじ 遡ること約20年。最初にセント・アンドリュースへ行った時のこと。キャディマスターへのインタビューを申し込んだら、その相手は意外にも「19番ホールで軽く飲やればいつも心はあたたまる」の著者、リチャード・マッケンジー氏だった…。 マッケンジー氏の奇妙だけれど幸福な偶然 マッケンジー氏がキャディを始めたのはオーストラリアを旅行していた時。 キャディをしていた友人が、都合上キャディを続けられなくなったため、その代役を務めたのがきっかけ。 その後、セント・アンドリュ

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.59 重なる奇妙な偶然 Part.2

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.58 重なる奇妙な偶然 Part.1

          前回のあらすじ 65歳ライターのスコットランド・ゴルフ旅も終盤。歴史的に重要な役割を果たしたダノター城と、運河に画期的な技術と発想で距離の短縮をもたらしたファルカーク・ホイールを観光。そして、旅は最終目的地のセント・アンドリュースへ。 上記は私のTwitter固定ページ用に撮った画像。 日付は2022年4月28日。 スコットランドへ行く1年とおよそ2ヶ月前だ。 コメントには「今のゴルフの原点であり、終着点」と記した。 フォローしてくれた人の中で、この意味を分かっていたのはほ

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.58 重なる奇妙な偶然 Part.1

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.58 たまには観光 【ファルカーク・ホイール】

          前回のあらすじ スコットランドのローカルコースを回る65歳ライターの1人旅、終盤に差し掛かるとどこかマンネリ化を感じ、ゴルフから離れて観光をしてみることにした。最初に行ったのはストーンヘブン・ゴルフ・クラブからわずかの距離のダノター城。次に向かうのは…。 落差25mの運河をつなぐ巨大装置 スコットランドで観光するなら、ぜひ行ってみたいところがあった。 ファルカーク・ホイールだ。 場所はグラスゴーの北東、5kmほどのところにある。 説明がいささか難しい。 カンタンに言

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.58 たまには観光 【ファルカーク・ホイール】

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.57 たまには観光 【ダレーター城】

          前回のあらすじ 1週間ほぼ毎日ゴルフをした。人生初の経験。けっしてゴルフに飽きることはないが、ずっと1人でいると自問自答が多くなる。何度も繰り返した挙げ句、ようやくスコットランドに、1人で1ヶ月も来た理由がおぼろげに見えてきた…。 数奇な運命を辿った断崖絶壁の城 ちょっと、観光でもしようか、と思った。 いや、毎日ゴルフをしていたからバテていた、とかではない(いや、虚勢とかではなく)。 前回で記事にしたように自問自答が多くなって精神的な不安定さを感じたため、少しだけゴルフ

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.57 たまには観光 【ダレーター城】

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.57 ゴルフって・・・なんでしょう? Part.2

          前回のあらすじ スコットランドのゴルフコースをめぐる1人旅も終盤、いくつかのパークランドコースを回っているうちに、精神的な変化が表れてきた。ゴルフを、コースを楽しむ一方で自問自答している自分がいた…。 「お前はここで何をしている?」 「ゴルフに決まってんだろう」 「なぜスコットランドに?ゴルフなら日本でもできるはずだ」 「そりゃあ20年ほど前にセント・アンドリュースに来た時、すごく気持ちがよかったからさ」 「では、なぜセント・アンドリュースへ直接行かないんだ?なぜ、誰もが知

          リンクスランドをめぐる冒険 Vol.57 ゴルフって・・・なんでしょう? Part.2