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リンクスランドをめぐる冒険 Vol.63 St.Andrews Part.1

前回のあらすじ
65歳ライターのスコットランド・ゴルフ1人旅。いよいよ最終目的地のセント・アンドリュースへ。ただし、オールドコースでプレーするための先行予約は前年の10月に外れている。果たして、オールドコースでプレーすることはできるのか…。

第1回目のハズレメール、届く

オールドコースの抽選(Ballot)はプレー希望日の2日前に公式サイトから申し込む。
以前はオールドコースのスターターへ直接行くか、電話で申し込みをしなければならなかったことを考えると便利になったものだ。しかも、当否はメールで分かるという。
私はセント・アンドリュースに3日滞在する予定。つまりチャンスは3回もあるのだ。セント・アンドリュースに乗り込む2日前、最初の抽選を申し込んだ。
その返信メールがこれ。

Unsuccessful. つまり失敗、落選、ハズレ。
威厳たっぷりのセント・アンドリュース・トラストのロゴが嘲笑しているように見えるのは私の被害妄想のせいだろう。

ただ、メールを受け取った時にはまったく画像のことまで頭が回らなかったけれど、こうやって見直してみると私も同じ時間帯、似たようなアングルで写真を撮っていたことに気がついた。

こっちは私が撮った画像

多分、このアングルとか時間帯はけっこう画像としては狙い目なのだろう。確かに、整備された芝が朝日の逆光で金色に輝き、その曲線と影は静かに波打つ大海原を想起させる。

ちなみに20年前の抽選はこのようなボードにペーパーで張り出されていた。抽選の結果を知るためにはいちいちオールドコースまで来なければならない。

20年前のオールドコースなんてこんなのんびりした場所だった。

同じ抽選に外れるのであれば、わざわざ出向かなくても済むメールの方が、まだ落胆は少ないのかもしれない。

…味気ない、とも言えるが。

街のボーダーラインを越えて


郊外から都市部に入る時、必ずボーダーラインを通過する。
それは道路沿いに店が連なってきたり、道路幅が広くなったり、信号が増えたり、渋滞ができていたり、など。
人と人工建造物が増え、空間密度が途端に濃くなる。
セント・アンドリュースの街は人口16,000人程度と大きい方ではないが、それでも私が回ってきた町に比べると都会だ。
だからボーダーラインがあるのも分かるし、それを越えて街の中に入った時の喧騒も感じた。

ただ、その喧騒が、どこか日常的ではない気がした。
非日常的、言い換えると賑わった観光地に入り込んだような感じだ。
どこか、ざわついている…浮かれている。
そんな雰囲気が伝わってくる。

セント・アンドリュースって、こんな街だったっけ?
私の記憶では、学生とゴルファーしかいなかった。
今もゴルファーはいるが、どうやらその数が桁違いらしい。

私はステアリングを握り、注意深く運転しながら、不安な気分になってきた。

Play Will Continue!




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