メキシコTemazcal旅【番外編②】 大自然のエナジー漲るトラントンゴ洞窟温泉
メキシコ入浴旅の番外編第2弾は、首都メキシコシティから車で4時間ほど北上したイダルゴ州の山間地にある、屈指の秘境トラントンゴ洞窟温泉(Grutas Tolantongo)をご紹介します。
サボテン山の奥地にて、轟音で飛沫と湯けむりを立たせるワイルド温泉
テマスカル内でも焼け石に火山岩を使っていたように、中部メキシコは屈指の火山地帯。当然、私たち日本人が愛してやまない天然温泉も各地に沸いていて、メキシコ人たちの慰安旅行先になっています。
なかでもトラントンゴ温泉は、40度弱の温水が急斜面を滝のごとく滑り落ちてくるという、日本人の温泉街の概念を覆す異世界。渓谷の岩壁には出入りが可能な洞窟もいくつかあり、内部に入ると鍾乳洞の切れ目から轟轟とお湯が落下し続けているのですよ!熊本の名店、湯らっくすのMAD MAX天然版がそこかしこで24時間全力稼働しているイメージです(笑)
写真などで予習はしておいたつもりですが、いざ訪れるとワイルドさもダイナミックさも規格外で圧倒されました…
もちろん、安全のために人工的に囲ったり補整してある場所もあるのですが、多くは荒々しい自然の景勝をそのまま活かしてあり、入れるところまではどうぞ自己責任でお入りください、というスタンス。
そもそも温泉って地面から湧くものじゃないの…?と思い込みがあったので初めは違和感がありましたが、ここは地元民しか到達できない頂近くの山中に水源があるのだそう。なので、断崖の棚田状浴槽へかけ流しで引水されていたり、岩場や洞窟内に溜まった湯にそのまま浸かったり、場所によっては頭上からドバドバ落ちてくる源泉を直に全身で受け止めるという、抜群に野趣あふれる入浴スタイルで楽しみます!
百聞は一見にしかず、とにかく写真を見ていただくのが早いかと…
渓谷の下方では、流れ着いた温泉が神秘的なライトブルーの川を形成していました。下流に行くほど水流も穏やかなので、広い温水プールの感覚で入れます。
湯温40度だと熱々というわけではないですが、山間部なので朝夕の程よい涼しさのなかで入るぶんには、長居もできてちょうどよい水温。まったく読めませんが、泉質もちゃんと表示されていました。
よりワイルドな景勝の中じっくり浸かりたいならグロリア側へ
広大な温泉街は、グルータス(Las Grutas)地区とグロリア(La Gloria)地区に二分されていて、両エリアは1本のオンボロ吊り橋で行き来ができるようになっています。それぞれのエリアに入るときに、橋の先で1日ごと別々に入場料(それぞれ100-120ペソ)を払わなければならないので、もし1泊するなら日毎に入場エリアを分けたほうが賢いですね。
グロリア地区は、グルータス地区より小規模なマイナー側で宿泊ゾーンもあまり華はないですが、ワイルドな自然景観をより手つかずの姿で楽しめるエリア。のんびり湯に浸かっていると、アナグマなども水を飲みにやってきます!相対的に人も少なくて静かだし、「私はこっちのほうが趣があって好きだから…」と毎日グロリア側だけに留まって何泊もしているお客さんにも出会いました。
グロリア側には、最低限寝泊まりするには困らない簡素なお宿があるほか、テント泊もできるので、ネイチャー派はきっとこっちのほうが気に入るでしょう。閉店時間は早いけれどレストランやミニショップも有り。私たちも自然世界への没入感を求めてこちらに泊まりましたが、夜は星が見事でした!
リゾート感やアドベンチャーパーク感を求めるならグルータス側へ
一方のグルータス地区は、規模もグロリアより広大で、宿泊施設やレストランなども充実。絶景を活用しつつもテーマパークのように作り込まれた楽しい入浴スポットが多いので、ファミリーや快適性重視の人ならこちら拠点のほうが楽しめると思います。
グルータス側の入浴体験の真骨頂が、温泉に浸された巨大な鍾乳洞探検。場所によってはライトなしには全くなにも見えず、コウモリの気配を感じつつそろりそろりと手探りで洞窟を進んでいけば、突然天井から湯のジェット水流が降り注いできたり…と、完全に冒険ゲームの世界(ノンフィクションですが)!
洞窟から園内周遊トロッコを利用して山を上がってゆくと、まるで段々畑のように小さな湯船の細胞が群をなし、一つひとつ贅沢にお湯が掛け流されているフォトジェニックな露天スポットもあります。たくさん浴槽があるから、それぞれのお客さんが貸切風呂のようにプライベートで利用できるのが良いですね!あととにかくお風呂からの雄大な眺望がお見事。日本の絶景温泉に来ている夢心地に浸りつつ、でも山肌を覆っているのはサボテンたちなのでハッと我に返る(笑)
グルータス側のほうが観光客の賑いもあるので、人が少ない時間にのんびり楽しみたいなら朝一突撃がおすすめです。2日めの朝、日の出直後に橋をわたってグルータスへ…という作戦が功を奏し、まだほとんど誰も居ない洞窟の奥地までを、暇そうなスタッフの人に悠長に案内してもらえました。
次回(メキシコ編ほんとの最終回)は、マヤ族の聖なる泉と崇められる、ユカタン半島のセノーテ沐浴体験情報をお伝えします!
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