【あやなのサウナ比較文化学】byこばやしあやな

フィンランド在住の自営業者。コーディネーター、通翻訳者、文筆家、フィン語講師として快活に仕事し遊んでいます。著書に『公衆サウナの国フィンランド』『クリエイティブサウナの国ニッポン』、訳書に『究極のサウナフルネス』。いつの間にやら「サウナ文化研究家」としてのお仕事依頼がメインに。

【あやなのサウナ比較文化学】byこばやしあやな

フィンランド在住の自営業者。コーディネーター、通翻訳者、文筆家、フィン語講師として快活に仕事し遊んでいます。著書に『公衆サウナの国フィンランド』『クリエイティブサウナの国ニッポン』、訳書に『究極のサウナフルネス』。いつの間にやら「サウナ文化研究家」としてのお仕事依頼がメインに。

マガジン

  • 🇹🇷トルコHamam(ハマム)編

    2024年9月、数百年の歴史的ハマム建築が今日までごろごろ残る、魅惑のトルコ最大都市イスタンブールに数日滞在し、イスラム圏の熱気浴文化ハマムのフィールドワークを行なった際の、取材・体験・考察記事シリーズです。

  • 🇫🇮フィンランドSauna(サウナ)編

    私が暮らす国フィンランドは、言わずと知れたSaunaの母国。著書『公衆サウナの国フィンランド』などに書ききれなかった本国サウナ事情やホットトピックを不定期に投稿します。

  • 🇲🇦モロッコحمام(ハマム)編

    2019年5月、北アフリカのモロッコに現代まで息づく蒸気浴文化モロッカン・ハマムのフィールドワークを兼ねて各街を1人で巡った際の、取材・体験・考察記事シリーズです。

  • 🇱🇹リトアニア Pirtis(ピルティス)編

    リトアニア共和国に根付く蒸気浴文化【Pirtis(ピルティス)】についての、2020年夏のフィールドワークに基づく取材・体験・考察記事シリーズです。

  • 🇬🇪ジョージアაბანო(アバノ)編

    コーカサス地方のジョージアに根付く温水浴文化【აბანო(アバノ)】についての、2016年夏のフィールドワークに基づく取材・体験・考察記事シリーズです。

最近の記事

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【あやなのサウナ比較文化学】執筆への思い

昨日に引き続き、こんにちは! 祝・脱一日坊主!! さて昨日は、「サウナ」をめぐって、ここ2年のわたしの人生にどんな劇的な変化が起きたのかについて書きました。そして、あらためてnoteを再開させてこれから書き綴っていきたいテーマがある、と予告したところでいったん筆を置いて公開しました。 タイトルにあるので、もったいぶることでもないからさっそく報告しますが、この度シリーズとして定期的に書いてゆきたいなと思っているのは、 【あやなのサウナ比較文化学】というテーマなんです。

    • イスタンブールHamam旅③公衆ハマムの入店法と必須アイテム

      前回の記事では、トルコ風呂、あるいはトルコ版サウナと認識されがちな「ハマム」という入浴法が、厳密にはお風呂(温水浴)でもサウナ(蒸気浴)でもなく、むしろ岩盤浴に近いような、緩やかな熱気の中での発汗法だ…ということをご説明しました。 それでは、実際にハマムに通う人は、どのようにして一連の入浴時間を楽しんでいるのか…今回と次回の記事では2回に分けて、入店から入浴、休憩、退店までの手順や作法を詳しく紹介します。なお、プライベート型ハマムでも楽しみ方自体に基本的に大差はないのですが

      • スモークサウナ村Saunakyläの活動報告2024

        【前置き】私がサウナキュラに一目置く理由 私が現地大学院での論文テーマにフィンランドの公衆サウナを選んで、その調査研究に取り組み始めてから、すでに10年が過ぎています。 その間に思いがけず日本にサウナブームが到来し、次々に新しいサウナ施設がつくられて、近年はありがたいことに講演や執筆の機会だけでなく、施設プロデュースや監修のお誘いまでもいただくようになりました。 ただ、私自身は自ら理想のサウナをつくりたいと思ったことがなぜか一度もないし、そのスキルや経験自体も乏しいので、当

        • イスタンブールHamam旅②ハマムとサウナは、まったく別物?

          前回の記事では、今日のイスタンブールで歴史的建造物での入浴チャンスが得られるハマムとして、公衆浴場型と予約制プライベート型が残っていること。そして、それぞれの体験価値の違いについてまとめました。 今回は、そもそも「(トルコ式)ハマム」とはどういった入浴体験ができる浴場のことなのか(サウナとどう違う?)、より詳しくご紹介します。 (今回は、写真はすべて夫の村瀬健一さん頼みです) 風呂が温水浴、サウナが蒸気浴なら、ずばりハマムは◯◯浴!日本語で古今東西の入浴文化史を網羅した名

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        【あやなのサウナ比較文化学】執筆への思い

        マガジン

        • 🇹🇷トルコHamam(ハマム)編
          4本
        • 🇫🇮フィンランドSauna(サウナ)編
          1本
        • 🇲🇦モロッコحمام(ハマム)編
          1本
        • 🇱🇹リトアニア Pirtis(ピルティス)編
          6本
        • 🇬🇪ジョージアაბანო(アバノ)編
          5本
        • 🇲🇽メキシコTemazcal(テマスカル)編
          10本

        記事

          イスタンブールHamam旅①浴場のタイプと、現代人のハマム利用法

          導入編の予告で、まずはトルコ式ハマムの歴史を紐解きます!と意気込んでいたのですが…ハマムやイスラム文化に関する面白そうな書物をあれこれ漁って買い込んでいたら、そもそもそれらがフィンランドに到着するにも日数が掛かりそうで、文献ベースの記事を書くのにはまだしばらく時間を要しそうなのです(苦笑) というわけで初回は、私たちが実際に現地で体験してきたハマム浴場のタイプと、それぞれの基本的な動線や作法、楽しみ方について、ご紹介します。 市民も通う公衆浴場か、観光客向けのプライベート浴

          イスタンブールHamam旅①浴場のタイプと、現代人のハマム利用法

          イスタンブールHamam(ハマム)旅 導入編

          少し前に、サウナ比較文化学旅シリーズ第4弾として、モロッコの蒸気浴ハマムの文化見聞録を書き始めていました。ところがお恥ずかしいことに、私はその時点ではまだ、イスラム圏ハマム文化史の総本山とも言える「トルコ式ハマム」についてまったくの不勉強だったのです。そもそもこれまでの自分は、モロッコ然り西アジア然り、世界の端々のユニークにローカライズされた地方ハマム文化ばかりを先に追いかけ面白がっていたに過ぎなかったことを、ここに自白し反省させてください… 先日、数日ぽっかり休みができ、

          イスタンブールHamam(ハマム)旅 導入編

          モロッコحمام(ハマム)旅 導入編

          サウナ比較文化学旅シリーズ第4弾では、2019年5月の現地フィールドワークをもとに、数あるイスラム国の中でも独自の庶民スタイルを今日まで受け継ぐ北アフリカのモロッコ王国のハマム文化(モロッカン・ハマム)の独自性についてご紹介します。 ハマム(hammam/アラビア語حمام)と言えば、「Turkish bath(トルコ風呂)」の別称でも世界的に認知されているように、トルコが本場だと思いこんでいる人は多いようです。ですが本来ハマムは、7世紀に勃興したイスラム教を国教とする国々

          メキシコTemazcal旅【番外編③】マヤ族が崇める地底の水風呂セノーテめぐり

          これが、メキシコ編のほんとの最終回。 最後は、メキシコ南東部(ユカタン半島)の地底に無数に点在する、マヤ族が雨の神の宿る泉として崇めてきた神秘的なCenote(セノーテ)の沐浴紀行です! 地盤が崩壊すると現れる、地底空間の巨大な泉セノーテとは、長年の溶食によって石灰岩の地盤下が空洞化し、その陥没穴に地下水が溜まってできた泉のこと(※つまり泉と言っても湧き水ではない)。日本の秋吉台(秋芳洞)などと同じ、カルスト地形の一種です。 カリブ海に面した常夏エリアのユカタン半島の地底

          メキシコTemazcal旅【番外編③】マヤ族が崇める地底の水風呂セノーテめぐり

          メキシコTemazcal旅【番外編②】 大自然のエナジー漲るトラントンゴ洞窟温泉

          メキシコ入浴旅の番外編第2弾は、首都メキシコシティから車で4時間ほど北上したイダルゴ州の山間地にある、屈指の秘境トラントンゴ洞窟温泉(Grutas Tolantongo)をご紹介します。 サボテン山の奥地にて、轟音で飛沫と湯けむりを立たせるワイルド温泉テマスカル内でも焼け石に火山岩を使っていたように、中部メキシコは屈指の火山地帯。当然、私たち日本人が愛してやまない天然温泉も各地に沸いていて、メキシコ人たちの慰安旅行先になっています。 なかでもトラントンゴ温泉は、40度弱の

          メキシコTemazcal旅【番外編②】 大自然のエナジー漲るトラントンゴ洞窟温泉

          メキシコTemazcal旅【番外編①】 都会のレトロな街角公衆サウナ、バニョス

          メキシコの伝統的な蒸気浴文化「テマスカル」の膨大な報告記に最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。 実はメキシコには、テマスカル以外にもまだまだバラエティ豊かな入浴文化が息づいているのです!! 今回からは【メキシコ・サ旅番外編】として、入浴オタクの私たちが現地でテマスカルと同じくらい満喫してきた、首都圏のBaños(メキシコ版公衆サウナ)、イダルゴ州のTolantongo温泉、そしてユカタン半島に点在するCenote(地下冷泉)について、ダイジェストで紹介

          メキシコTemazcal旅【番外編①】 都会のレトロな街角公衆サウナ、バニョス

          メキシコTemazcal編⑤現代のナワ族が受け継ぐテマスカル儀式の実態【後編】

          いよいよ、メキシコTemazcal報告記もこれが最終回です! これまでは、背景知識やウンチクばかりを詰め込んだ内容だったので(それらも他所では読めない貴重な内容だった自負はありますが…笑)、最後は、私自身が何度かのテマスカルを体験して感じたことや、個人的に印象に残ったことを中心にお話します。 中米と北欧の原住民族の、思いがけないシンクロまず、私にとってかなり衝撃的で印象に残っているのが、ホアンさんたちがテマスカル内で太鼓を叩きながら歌ってくれた、ナワ族に伝わる歌のいくつかが

          メキシコTemazcal編⑤現代のナワ族が受け継ぐテマスカル儀式の実態【後編】

          メキシコTemazcal編④現代のナワ族が受け継ぐテマスカル儀式の実態【前編】

          テマスカル考察シリーズもいよいよ佳境。かつて中央メキシコ一帯を支配し、アステカ神話の世界観を構築したナワ族の末裔たちが、今日どのような様式や観念を引き継いでテマスカルを実践しているのか、前後編にわたって具体的にご紹介します。 もちろん先導師によって内容や解釈が変わる部分も多いので、内容すべての細かな描写はしません。前編(今回)では、いくつかの重要な基本作法に込められた意図(象徴)を解説。そして後編(次回最終回)は、私たち自身の主観的なテマスカル体験記&感想文で、一連の報告記

          メキシコTemazcal編④現代のナワ族が受け継ぐテマスカル儀式の実態【前編】

          メキシコTemazcal編③浴室のタイプ別構造と蒸気のつくり方

          今回は、テマスカル浴室の構造タイプやそれぞれの温め方・蒸気のつくり方について、写真中心で解説します。焼け石に水をかけて蒸気をたてるという基本作法は、皆さんよくご存知のロウリュと変わりませんが、浴室のレイアウトには、フィンランド・サウナと似ている浴室と、全く異なる浴室とが存在しました! テマスカル浴室の基本構造と、温め方&入浴法テマスカルの外形には、きれいな半球のドーム型、屋根部分だけほぼフラットな円柱型、木の枝で造られたフレームに皮や布を被せるテント型、空間に四隅がある箱型

          メキシコTemazcal編③浴室のタイプ別構造と蒸気のつくり方

          メキシコTemazcal編②浴室を司る、個性豊かな神々とシンボリズムの世界

          前回の記事の最後に表明したとおり、ここから先は、民族や時代によってさまざまな流派がある(と言えるかもしれない)メキシコ・プレヒスパニック時代の蒸気浴文化の中から、temazcalliという言葉を生んだナワトル語の話者ナワ族が今日まで継承・実践してきた、本家テマスカルの世界観や実際の入浴法を浮き彫りにしてゆきます。 アステカ神話が土台となったテマスカルの世界観ナワ族(のなかの自称「メシカ」たち)が、最後に栄華を極めた舞台がアステカ帝国であったことは前回も述べました。そしてそれ

          メキシコTemazcal編②浴室を司る、個性豊かな神々とシンボリズムの世界

          メキシコTemazcal旅①文明滅亡後もテマスカルを手放さなかった先住民族たち

          いよいよこの記事から、中米メキシコに伝わる蒸気浴文化の「テマスカルとは一体なんなのか」という本題に切り込んでいきたいと思います! が、初回は例によってやや偏執的な言葉のルーツと歴史に関するお話です。 ナワトル語由来の「テマスカル」は、どんな意味?前回の準備編の最後にご紹介した、今回の私たちのフィールドワークに全面的に協力くださったナワトル語話者の先導師ホアンさんに尋ねたところ、テマスカル(Temazcal、ナワトル語での正確な発音は”temazcalli”)という言葉はメキ

          メキシコTemazcal旅①文明滅亡後もテマスカルを手放さなかった先住民族たち

          メキシコTemazcal旅 準備編|情報収集&施設選びの極意

          さっそくすみません。本記事からテマスカル旅で得た知見をレポートしていく予定だったのですが、本題に入る前に、急遽【準備編】を設けることにしました。そもそも現代メキシコでどんなテマスカルが体験できるのか、どうやって自分の趣向や目的に叶う施設を探すべきか…について、先に整理しておく必要があると思ったからです。 テマスカルをネット上で予習するのは実に難しい中米メキシコやその南隣国に伝わる蒸気浴室テマスカル(Temazcal)。いざ現地へ旅立つまでに、この謎に満ちたメソアメリカ版サウ

          メキシコTemazcal旅 準備編|情報収集&施設選びの極意