松谷 季依

NY在住。日々の雑感や旅行の思い出を書いています。旅した国は17ヵ国。noteお題企画…

松谷 季依

NY在住。日々の雑感や旅行の思い出を書いています。旅した国は17ヵ国。noteお題企画「#海での時間」受賞。

最近の記事

神様の贈り物は“予定外“に降りてくる -パリの空港で飛行機に乗れなかった日-

フランス、パリ・シャルル・ド・ゴール空港、第2ターミナル。 成田からの便を降り、入国審査を経て、EU各地への便が出るターミナルを猛ダッシュ。映画ホームアローンの冒頭シーンのように。 辿り着いたゲートには誰もいなかった。スクリーンに自分が乗る予定だった便の名前、行き先、時刻のみが表示されている。 あたりを見回したら運よく航空会社のカウンターを発見。慌てて駆け寄り航空券を見せる。 「すみません、この便は…」 全てを言い終える前に職員からの返事に遮られる。 “Too l

    • ポルトガルって何があるの?

      「エジプトに行く」と言われると、古代の遺跡を見に行くのかな、となんとなく想像がつく。ピラミッドとか、スフィンクスとか。 「バリ島に行く」と言われると、南国のリゾートでのんびりするのかな、とイメージが湧く。 ところが、これが「ポルトガルに行く」になると、大体の人からこう返ってくる。 「ポルトガルって何があるの?」 これ、何回聞かれたのだろうか。 コロナ前、私が会社で3日以上の休みをもらう時は大体旅行だと周りの人も知っていたので、休むことを知ると旅先を聞かれるのだが、ポ

      • 最近、相手も自分も何人なのかあまり気にしなくなってきた話

        「うん、今週の日曜は友達とランチ行くんだよね、なんかブラッスリー?みたいな店」 日本を出て幾分か経つ。異国で一人暮らしの独身の娘がちゃんとご飯を食べに行く友達ができていると知って母は少し安堵したらしい。 「それで友達は何人なの?」 「…そういや知らんわ。」 「えっ。」 「そういや何人なんだろ。」 ここは世界中からありとあらゆる移民の集まる都市、ニューヨーク。 私はもはや相手が何人なのかあまり気にしていない。 ***************** きっかけは知り

        • 日本の外で、満開の桜を眺める春

          かの有名なサン=テグジュペリの「星の王子さま」の中にこんな話がある。 王子様は、自分の住んでいた星で一本のバラを育てていた。それはそれは懸命に育てていた。このバラという花は王子様しか持っていない、この世でたった一つの美しい花だと思って。 やがて王子様が住んでいた星を出て、地球にやってきた時に、バラという花は地球に何本もあることを知る。 この世で自分しか持っていなかったと思っていたバラの花は、実はありふれている何本ものバラの一本にすぎなかったことを知った王子様は、ショック

        神様の贈り物は“予定外“に降りてくる -パリの空港で飛行機に乗れなかった日-

          "映える☆"と聞いて訪れた街は第二次世界大戦勃発の地だった

          2019年早春。 私はヨーロッパの地図と睨めっこしていた。 夏になると毎年ヨーロッパに旅行していた。大抵女性の二人旅、ツレが見つからなければ一人旅だったので、安全面を考えると、日照時間の長い夏が良かった。 今年はどこに行こうかと悩んでいた時に、大学時代、旅行好きだった先輩の言葉が蘇ってきた。 "ポーランドのクラクフは街が超可愛くてめっちゃよかったよ〜。" ポーランド。 調べると西側諸国より物価は安め、治安は良好、ご飯は美味しい。 陶器が有名なのは知っていた。可愛

          "映える☆"と聞いて訪れた街は第二次世界大戦勃発の地だった

          何もなくなった部屋のドアを閉める時

          引越しをした。 引越し自体は人生初めてではないが、この引越しは少し特別だった。 両親の家を出て、初めて一人で暮らした部屋とお別れした。 引越しの数日前から聞いていた歌があった。タイトルもそのまま「引越し」という歌だ。 引越そう 慣れ親しんだこの場所とのお別れ 引越そうか 今より高いところに 空っぽな部屋から最後の荷物を運び出す間 少しの間、振り返るよ 泣いて笑った日々よ これでさよなら 歌自体はAメロから歌詞を通して聞くと、夢を求めて上京し、初めて住んだ家との別れの

          何もなくなった部屋のドアを閉める時

          私のコロナ禍を支え続けた3曲

          神様は私がその時必要としている人は巡り合わせてくれるが、それが誰なのかは自分で気づかないといけない 私が高校以来持ち続けている人生哲学の一つだ。 これは学生時代読んだ「アルケミスト」という本を読んだ感想から持ち合わせている信念であるが、ご存知だろうか。羊飼いの少年が宝探しに出るという世界中でベストセラーになった物語だ。 羊飼いの少年は、老人に大いなる声を聞け、と諭され、自分の夢である宝探しに出かける。そしてそこでたくさんの人に出会う。随分前に読んだ話で詳細の記憶はおぼろ

          私のコロナ禍を支え続けた3曲

          外国語で意見と求められると頭がフリーズする話

          語学の学習方法の記事やTwitterを覗いていると、英語学習者の以下のような話を見かけることがある。 ・英会話の時に、よく自分の意見を求められるが、とっさに出てこない。 これに対して、日本の教育ではあまり自分のことを表現することをせず、普段から自分の意見を考えると言うトレーニングをしていないからではないか、という分析をみるけれど、どうもそれだけではない気がする。 意見を言うトレーニングが足りない?私は少し前から韓国語のレッスンを受けているのだが、やはり同じような状況に遭

          外国語で意見と求められると頭がフリーズする話

          報告が遅くなりましたが、先週特にスキを集めた記事のお知らせをいただきました。スキしてくださった皆様本当にありがとうございます!

          報告が遅くなりましたが、先週特にスキを集めた記事のお知らせをいただきました。スキしてくださった皆様本当にありがとうございます!

          先日お題企画に投稿した記事が受賞作品に選ばれました! 読んでいただいた皆様、スキしていただいた皆様ありがとうございます! https://note.com/info/n/nc3879d835881

          先日お題企画に投稿した記事が受賞作品に選ばれました! 読んでいただいた皆様、スキしていただいた皆様ありがとうございます! https://note.com/info/n/nc3879d835881

          後悔しないため80代祖母を連れて行ったハワイの海辺にて

          海に足が浸かる。 さらさらと指の間を抜ける乾いた砂と少し色濃く濡れた砂。その境目を超えて歩き続けると、透明な水が優しく足の甲を撫でる。 足首まで大洋から運ばれた水温が絡みつく。体温より低い摂氏25度は冷たすぎず心地よく、波音と共に引いてしまうと名残惜しい。 もう一度海が押し寄せる。真下を見ると海には色がなく、自分の素足が見えるばかり。少し顔を上げて視線を遠くに飛ばすと、海の深さと共に少しずつ色がつく。その果ての水の作った広原は地球色だ。 海に足が浸かる。 ただそれだ

          後悔しないため80代祖母を連れて行ったハワイの海辺にて

          嬉しいお知らせいただきました! なんと、こちらの記事、トロフィーいただきました。スキしていただいた皆様ありがとうごさいました😭 https://note.com/sunny_valley/n/n371cf77eab25

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          雨弱まる宵に #描写遊び

          "Actually, Paris is the most beautiful in the rain" セーヌ川を跨ぐ橋の上に等間隔で並ぶ街路灯。パリの闇夜にマリゴールド色の光がほんのり灯っている。 いつも聞き入れてもらえなかった自分の主張と似た言葉。はにかんだ笑顔と共に返ってきて、少し驚きを隠せない主人公。 ポツポツ、ではない。パラパラ、だったのがものの5秒でザーッ、になって、赤紫色のワイシャツに色の濃い水玉模様ができていく。 肩、腕、背中。 水玉がどんどん繋がっ

          雨弱まる宵に #描写遊び

          コーヒーと私の "Little secret place"

          「スターバックスって何?」 齢80になろうホストファミリーからの一言はちょっと衝撃だった。 私は大学の夏休みを使ってフランスに短期語学留学に来ており、80歳のマダムが一人で暮らしているお宅にホームステイしていた。この日の食卓の話題はコーヒーだったのだ。 「アメリカには "本物のコーヒー" がないのよ!」 マダムのいう"本物のコーヒー" というのが何かは計りかねていたが、おそらくエスプレッソのことを指していると思う。フランスでコーヒーと頼むと出てくるのはエスプレッソだ。

          コーヒーと私の "Little secret place"

          いくつになってもやりたいことを諦めない人のお話 【ドラマ・映画紹介】

          最近ハマって見たのが、70過ぎたおじいさんが、若き日の夢だったバレエに挑戦するというNETFLIXのドラマである。 夢を叶えられないままこの世を去った友人をきっかけに、バレエをゼロから始めたおじいさん、シム・ドクチュルと、才能はあるが少々複雑な過去を抱え伸び悩んでいる青年イ・チェロクの、交流の物語だ。 主人公のドクチュルは、人は良さそうだけど、レオタード着て踊ってるところはちょっと想像しにくい、見た目は勤め人を終えた極々普通のおじいさんである。 70から始めたら中々大変

          いくつになってもやりたいことを諦めない人のお話 【ドラマ・映画紹介】

          休みの日にしたいことがわからなければ他の人を真似してみる

          休日って何したらいいかわからないんだよね。 休みってそんなにもらってもね。したいことないんだよね。 社会人になってからよく聞くようになった言葉だ。私が記憶している限りでは学生時代、こういう会話はあまり聞かなかった気がする。 多分、社会人になってから聞くようになった理由は、休日何してる、という質問を聞かれることが多くなったから。どんな人なのか知りたい時、仕事の以外の時間をどう過ごしているのかを聞くのが一番手取り早い。 でも、意外と休みの日に何したらいいのかわからない、とい

          休みの日にしたいことがわからなければ他の人を真似してみる