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学校に行かないという選択。幼稚園には行ってます。「順番は守らなくちゃだめ?」

新しい春。
自分の中の紆余曲折を経て、末娘の「幼稚園に行こうかな」という発言により、今週から、遅い春のスタートを切った。
紆余曲折については、こちらのnoteに書かせていただいた。

「明日、幼稚園に行こうか。」

春の始まりを感じつつ、中学校の面談や、小学校への挨拶やらで、私の心も身体もなんとなく落ち着かず、なんだかんだと4月も2週目となっていた。

幼稚園に明日行こうか、と言うと、末娘は、「待ってました!」とばかりに、何度も「明日は幼稚園に行くんでしょ?」「楽しみで楽しみで仕方ないなぁ。」と、明らかに幼稚園では使わないであろう手提げバッグにおもちゃや小さなぬいぐるみなど、自分では決して持ちきれないであろう大切な物を詰め込んでいた。そして、布団の中で、「楽しみ過ぎて眠れない~」と言っていた。

・・・早く寝てください。

翌日。幼稚園バスの到着は10時であるので、それより前の賑やかになり始めないうちに幼稚園に着いて、落ち着いた雰囲気からスタートを切ることにした。

長男も二男も、バス到着前の静かな時間が好きで、なるべく早めに幼稚園に到着できるようにと家事の段取りを必死に考えていたことを思い出す。わさわさした空気の中には、入って行きにくいものだな、と大人である私も感じていた。

静かな中で、始まりを迎え、徐々に賑やかになっていくと、さほど気にならず、自分のペースで一日が始められると実感していたので、わさわさが苦手な傾向にある末娘にもこのやり方は有効に思えた。

久々の幼稚園登園の初日は、夫も仕事が休みだったので、一緒に幼稚園に来てくれた。長男、二男も、末娘が気になるのか、一緒に来てくれるといって、家族で登園することになった。

砂場、ブランコ、山の上にあるブランコ、外に設置されている大きなトランポリン、一通り回って様子を見る末娘。

久々に会うスタッフにも、戸惑うこと無く挨拶しハイタッチしている。
末娘を赤ちゃんの頃から知っているお母さんから声を掛けられると、喋りはしないが、手を振って答えたりはする。

元々知らない場所ではなく、お腹の中に居た頃から彼女を知っている人のいる場所である。兄たち2人を知る人がいる場所は、安心できる場所であるだろう。

登園二日目。

幼稚園では、月曜から木曜まで、お弁当を食べた後に年齢別のプログラムが設定されている。しかし、きっちり年齢別、と分けているわけではなく、年少組が、年中組の活動に興味を持てば参加するし、年長組が他の組の活動に参加したければ、する。参加しないこともある。自分で選ぶ事ができるのである。

年中組である末娘の午後の活動は、「体育」であった。園舎の中のちょっと広くなっているスペースで行われる。お弁当を食べながら、二男が末娘に説明してくれる。

「あのね、お弁当を食べた後に、組ごとに分かれて、工作したり、砂場で遊んだり、お絵描きしたり、運動したり、ゲームしたりするんだよ。行ってもいいし、行かなくてもいいんだよ。もし、行くなら、H(末娘)は、年中組だから、今日は体育コーナーで体育だよ。」

とても優しく、自分の経験してきたことを伝えてくれていた。

末娘は、「自分は、年中組だから、行ってみようかな。」と言った。

すると二男は、「一緒にいってあげようか。」と、人が集っている体育コーナーに末娘と手を繋いで行ってくれたので、わたしは弁当の後片付けをしてから、子どもたちの向かった場所へと向う。

既に、たくさんの子どもたちが、体育コーナーに列をなしており、テーブルを重ねて高くした段に登り、そこからマットのある場所にジャンプする。

この遊びは、自分のジャンプするタイミングや、飛べる高さを、「自分で感じて決める」ものであると私は認識している。

二男が付き添ってくれ、末娘は列の後方に並んでいる。
子どもだけで、列に並ぶ機会が滅多にないので、戸惑っているように見えたが、二男も傍に付いてくれているので、ちょっと離れたところで、様子をみていた。

すると、一度ジャンプをし終えた子どもたちが、次々にまた列に並ぼうと戻ってくる。

そこからが、ドラマの始まりである。

子どもたちは、並んでいる前後の子どもの顔色をみたり、様子を見ながら、ささっと、いわゆる〈横入り〉をする。

〈横入り〉に気が付かない子、

「入らないで!」と言う子、

入られないようにと警戒し、前の子との隙間を詰める子、

「入れて」「いいよ」と交渉する子、それを受け入れる子、

「後ろに並ぶんだよ。」と伝える子・・・・

本当にそれぞれなのだ。
面白い・・・。

ここで私や他の大人が厳しく、「横入りはダメなんだよ、並んで!」と言ったらどうなるだろう。

子どもたちは、そのルールだけに縛られ、自分が言われた様に、された様に、相手にも厳しくルールを課そうとする可能性が高く、こんなに様々な姿をみることはできないだろうと思う。

確かに、〈横入り〉が良いことか、と言われたら、手放しに良いことではないかもしれない。でも、目くじらを立てるほど悪いことでもないと思うのだ。

列に横から入ったり、入られたり、「いいよ」と入れてあげたり、入れなかったり、気がつかないこともあって、いいじゃない。

いろんな子がいて、いろんな対応のパターンがあっていいじゃない。

そんな風にして、自分なりの対応をそれぞれ見つけていくのだろうと思えるから。

「注意しなかったら、大人になって並べない人になる」と心配する大人もいるかもしれないけれど、私は、決してそんな風には思わない。

子どもたちはいろんな対応をしたり、されたりしながら、自分は何が嫌で、何が心地よく、相手にとって何が嫌で、何が心地よいかを学んでいくのだから。

彼らは素敵なオトナになるだろう。

さて、末娘はどうだったか、というと・・・

「あのね、並んでいたら、いつのまにか、列からはみ出して、一番うしろになってたの!」と笑っていた。

たくさん横入りされた模様。

ここで、大人が「横入りはズルい」と言ってしまったら、彼女の中で、「横入りは許されない行為」となってしまうだろう。

末娘の中で問題なければ、それは問題にはならないのだ。
本人はちっとも気にしていないのだから、それでいいのだ。

横入りされて、列からはみ出したことを、面白く感じている末娘。
そんな末娘を微笑ましく思ってしまう母だった。

「明日も幼稚園?」
「明日はお休みだよ。」
「そっか~」と残念そうにしている。

新しい春を楽しんでいる末娘は、ほころびはじめた花の蕾のようだ。

二男と一緒に山のブランコを楽しむ末娘。


二男に絵本を読んでもらいながら沈没。今日もたくさん遊んだね。



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