マガジンのカバー画像

ファンクション

10
機能 切り替え 効用 催事
運営しているクリエイター

#ストーリー

音のことば、シンクロ率

音のことば、シンクロ率

かたちのないことば。

それは、声にだし耳できく
音のことば。

目で見る文字の言葉とはまた違い
その言葉を使う人の個性が
音によってあらゆる方向に広がる。

文字だけだと、手がかりは前後の文脈。

会って話すと、前後の文脈だけでなく
イントネーション、表情、身振り手振り。
ヒントがたくさんある。

聞き手側の想像力も試される。

会話はお互いが協力して体験を分かち合う
共同作業なのかもしれない。

もっとみる
刹那的に生きる

刹那的に生きる

枝先につけた
小さく平らな葉の集まりが
そよ風に揺られ
青々しい黄緑から黄
そして赤へと変わっていく。

刹那的に生きる。

その言葉を聞くたび
目の前に紅葉が浮かぶ。

たまに会うその人は
幾度ともなく変化する。

どの時も美しく
この瞬間を逃すまいと
神経を一点に集中させる。

次はいつ会えるのか。

私も同じように
すこしは美しく
変化しているのだろうか。

≪落ち葉になる前に≫

瞬きから小さな星が飛ぶ

瞬きから小さな星が飛ぶ

歌を歌うように話す貴方。
その言葉はもうすでに用意されていて
口に出す時、その言葉は過去なのかもしれない。

ずっと同じ時間を共有できていない
同じ地点を過ごせないんだと気付かされる。

ただ、言葉を一つ残らず聞き逃しはしない
と心に決め、口元を真剣に見つめる。

どんな表情だったのかと
ふと気になって視線を上げると
目があってしまった。

じっと見つめる貴方の瞳に見惚れて
頬が赤くなる自分に気づ

もっとみる
かたちの言葉、音のことば

かたちの言葉、音のことば

紙の上で、言葉を何度も反芻する。
左手でページをめくれば
過去の文章に何度もアクセスできる。

記憶された考えを
時間を行き来して感じとる。

分からないことは本で調べればいい。
文字だけの世界はとても平和だった。

また、新たな作家に出会った。
言葉の奥には広大な空間が広がっていた。

どうしてこんな世界を想像できるのか
ページを読み進めるたびに感動した。

はじめて、作り手に興味を持った。

もっとみる
装いがほどけていく

装いがほどけていく

君と話をすると、体がじわーっと暖かくなる。

考えるよりも先に言葉が口から溢れて
息継ぎも忘れて言葉を紡ぎ出す。
思ってもみなかった興奮した自分がそこにいる。

「実は前から興味があったんだ。
少し始めて見たら
思っていたより難しくてね。

ただ、始める前の悩みとは
また別の悩みで楽しいよ。

次は違う方法で挑戦してみようと思うんだ。」

ああ、打ち明けてしまった。
密かに始めていたことなのに。

もっとみる