たばたすなお

どちらかといわれるまでもなく適当な性格。西粟倉村という岡山の山奥で、山林管理をしていま…

たばたすなお

どちらかといわれるまでもなく適当な性格。西粟倉村という岡山の山奥で、山林管理をしています。必要ではないもの、価値のないもの、正しくないものの味方であろうと頑張ってます。このnoteでは僕が酔っ払った時に言いそうな、役にたたないものを書いていくことにしました。

マガジン

  • 繰り返し考えていること

    酔っ払った時に何度も言ってしまう”サビ”にあたる部分です

  • 科学哲学講義メモ

    科学哲学の講義を聴いたもののまとめ。

  • つくった短歌

    まだまだよく分かっていませんが、少しずつやっています

最近の記事

言葉は好きだが言葉だけでは

僕は基本的に言葉以外のコミュニケーションが下手くそなので、言葉を使ったコミュニケーションを大事にしています。そして、そんな僕は会社を経営しています。結果として、この会社は言葉を大切にした組織になっていると思っています。 最近、採用をするためにメンバーに会社の雰囲気を聞いてみました。 見方によってはそこそこ過激ですが、とても"らしさ"が出ていて誇らしいです。この会社という組織にいるのは決して互いを察する家族ではなく、言葉による契約関係にある個々人である――というのは僕がとて

    • 幸せであることが大事だとして

      大学時代、いろんなひと達と「どう生きるか」という議論をしていました。とても青臭くて緩い議論が多かったのは間違いないけれど、みんな真面目に悩んでいました。たくさんのお酒が涙となり流れていく、青春の亜種。 そんな中で、よく見かけたのは「自分の幸せをこそ追求しよう」という享楽的な考えと「自分だけではいけないはずだ」という一種の正義感のようなものを持とうとする派閥の差異です。衝突までいかなくても、摩擦はあった。 前者は自分の幸せが中心にあって、後者は自分ではない何かを中心に置くこ

      • やりたいことがない

        意思決定において「やりたいこと」を重視しろ、と言われることが多いですよね。説明が面倒なんで、僕も「やりたいこと」をやれと言います。実際は「命懸けでできること」が大事だと思っています。それが「やりたいこと」でなくてもいい。よく対比に出るのが「やるべきこと」ですが、どっちにしろなんにしろ、命懸けでできていれば大して問題にはならないです。 僕は東大中退でITベンチャー出身ですが、岡山の山奥で森林管理の仕事をしています。この経歴だけ見たひとには「さぞいろいろやりたいことがあって辿り

        • 田舎というものが生き残るには

          基本的に田舎というのはこれから、どんどん切り捨てられていくんですよね。単純に人間が足りなくなる。「大きな災害があったのはいい機会だし、もう移住させようぜ」みたいな下品な話は辟易とするけれども、もっと落ち着いた場でも「地方に資源を回してるどころじゃないだろ」みたいな議論がこれから本格化していくだろうし、そのときに人口密度の低い場所の味方をしてくれるだろう人間の数は少ない。厳しい。 なので田舎では、学校が既に統廃合されていたりするけれど、他のインフラも少しずつなくなっていく可能

        言葉は好きだが言葉だけでは

        マガジン

        • 繰り返し考えていること
          6本
        • 科学哲学講義メモ
          3本
        • つくった短歌
          5本

        記事

          分かりにくさの保護

          分かりやすいことはだいたいにおいてめちゃくちゃパワーがある。 ルメルトというひとが「良い戦略、悪い戦略」という名著で、状況を大きく動かす力点を見つけ出してそれに向けていろいろやっていくのが戦略だよ!みたいなことを書いています。大事なのは、別に事象や問題の全てについて対応するようなものではなくていいから、そこに注力することで成果を得られる力点を見つけることだ!という話。 状況を分かりやすくしろ、ということですね。複雑怪奇な状況の課題があるとして、つぶさにそのまま説明を並べ立

          分かりにくさの保護

          科学哲学講義メモ 第二章

          これは僕がAudibleで聴いた科学哲学の講義について適当にメモをまとめていくという試みの一部です。前回は第一章。今回は第二章。 結局は何が科学を科学たらしめるのか前回の講義メモではポパーさんの「相手に『どんな証拠があればその仮説は否定されるの?』と聞く。そこで明確な『◇◇って証拠が出たら否定されるよ』を示せるなら、科学的!」という、科学判別法を扱いました。でも、これはそんな使えない方法かも…という話、そして、科学かどうかの判別マジ難しいッスという話を、今回はしていきます。

          科学哲学講義メモ 第二章

          科学哲学講義メモ 第一章

          これは僕がAudibleで聴いた科学哲学の講義について適当にメモをまとめていくという試みの一部です。前回は序章。今回は第一章。 科学とニセモノの境界をポパーに学ぶ科学的だね…と言うとき、どんなことを想像しますか?あなたにとって、星占いは科学ですか?じゃあマイナスイオンは? 他の分野に比べて、科学が持っている特別なステータスを解き明かす上で、どこまでが科学やねん?というのを考えるのは重要なことです。今回は、科学とニセモノを判別するときに「証拠があるかどうかはあんま重要じゃな

          科学哲学講義メモ 第一章

          科学哲学講義メモ 序章

          何度かAudibleで科学哲学の授業を受けているんだけど、めっちゃおもしろいので復習を兼ねて自分なりにまとめてみる。みんなも科学哲学やろう!すでに科学哲学を修めている方には、ぜひ「ここ間違ってるよ」「もっとこういうの読んだ方がいいよ」「私ならこう書くかな」みたいなフィードバックをください! 科学について哲学するかがくのちからってすげー、でもなんで? 科学がスゴイものだ!という認識をもってるひとはめちゃくちゃ多い。科学的に正しい、と言われたらなんかもう言い返せない感じがある

          科学哲学講義メモ 序章

          地獄への道を舗装するのが善意なら

          善意を持つひとの方が、悪意を持つひとよりも圧倒的に多い。僕はそう考えています。一方で、悪意を持つひとが起こしたことよりも、善意を持つひとが起こしたことの方が、圧倒的に世界に苦しみを与えている。そんな風にも考えています。 人間社会は悪意に対して意外と厳しいので、悪意を持つ人よりも善意を持つひとの方が影響力を持つことが多い。地獄への道は善意で舗装されている、というやつです。善意(正義・道徳)が苦しみへとつながった事例は歴史を見れば枚挙にいとまがありません。 そしてさらに言えば

          地獄への道を舗装するのが善意なら

          世界の解像度を上げる

          基本的に解像度が低いままで生きられるほうがラクですよね。 僕は目がとてつもなく悪く、コンタクトを外すと世界全体の解像度がめちゃくちゃ下がります。全てのモノが色と光くらいにまで分解されて意味を失ってしまう。 最近、西粟倉村では何故か「縄文人のように生きるには」などの議論が行われているけれど、僕はコンタクトが乾いた時点で即死だな…と思いながら聞いてます。 多分、解像度がめちゃくちゃ下がった状態でも生きていける世界の方が優しい。眼鏡がなくても生きていけるなら、それに越したこと

          世界の解像度を上げる

          都会の自由と多様性

          多様性を大事なものだと考える人は増えています。そして、都会は田舎に比べると多様性があります。人数から考えても間違いないでしょう。 僕が生まれ住んでいた東京都小金井市は人口12万人を超えていて、いま住んでいる西粟倉村は人口1400を下回ります。人口密度にすると480倍違う。同じ面積に480倍の人間がいれば、その中にいる人間の多様性というのはまず間違いなく高まるはず。 でも、個々人としては、田舎の方が多様性に触れる機会が多い可能性はあるなと考えています。絶対に多い!と言うつも

          都会の自由と多様性

          滅びゆく田舎と人間関係

          うちの村くらいのレベルの田舎になると、インフラの仕組みは都市に比べると脆弱です。そのため、フツーの人間がインフラに組み込まれています。 都会ではシステム(専門家)で解決していたことが、住人を動員することで解決される。これは東京で暮らしていた自分にとって、大きめのカルチャーショックでした。引越してきて5年ですが、消火活動に参加したり、災害時に土嚢を積み続ける…みたいな経験をするとは想像していなかったです。 実際に暮らしてみて、田舎でインフラをメンテナンスしようと思うと、人間

          滅びゆく田舎と人間関係

          7月の短歌から10首

          微笑んで人の会話を木のように聞く君だけが晴れの日よあれ 余りにも夏らしい日が現れて記憶がどこか贋作になる この国は衰退すると言っていた そうなのだろう電灯に雨 寝転んだ畳に容赦なく垂れる気温の外でヒグラシの声 両の手で花瓶を上げて底を見る ここに生きてく理由を置いた 重そうなガラスの皿で桃が出てそのひんやりの記憶が祖母だ 煮詰められ小瓶に分けて出荷され社会制度と戦わされる 調べれば「駆除方法」が躍り出るクロアナバチのくびれは細い 引くことで世界を消せる紐があり

          7月の短歌から10首

          6月の短歌から10首

          確実に左へ行けば冒険が始まる朝に右へ出勤 教科書のようにのんきな眼差しで「想いの強さ」などと供述 踏み締めたケヤキが折れて僕らには朽ち果てるほどの猶予がない 雨粒の如く潰える命あり ワイパーで拭く高速の夜 木星へカカシを摘みに行きましょう冷やし中華が始まる頃に 紫陽花と墓地に優しい雨が降り濡れた先から日曜になる 魂の返却期限を過ぎており死ぬまで隠すと決めた夏至の日 尾根がまだ夏の陽射しの色の頃 山村の夜は谷から溜まる 大脳と頭蓋の隙を撫で回す夏の夜風は記憶の如

          6月の短歌から10首

          5月の短歌から10首

          大雨に高架をくぐる一瞬の静けさに似た君のくちびる 道端をくり抜いて翔ぶクロアゲハ 精一杯が影であること 人生をカメラ目線でゆく人だ初注文で濃いめと言える 想像を超えると謳う広告に想像力を限定される セキレイが3飛び1落ちで滑る空間の線くぐっても空 ふと気づく焚き火の中で燃え残る枝が誰かの救いらしいと 悪人のいない地球の警察で青く大きい蛾を護る部署 希望とは絶望の中以外では活きない仕様 夕暮れのパフェ 初夏色のエンドロールもあるだろう川沿いのまま国道をゆく 羽

          5月の短歌から10首

          4月の短歌から10首

          髭剃りと歯磨きの順入れ替えて今日は世界のB面になる セキレイが50度ほどの角度にて見下ろす部屋の会議は続く 水仙を見て少年が溺死する逸話をつくるひとがいたのだ 春霞 アプリの位置を変えてみる確かなものは無くても慣れる 残るものだけが思い出になるから桜はアップで斜めの花 あの日々が青春だったこの日々も人生だろう 積まれたコップ ランドリー向かう深夜の排水溝 吹雪いた後の花びらに泥 潔い時代が耳につく夕べ ララララだけで充分だった 焚火中自然とできる三角は5センチ

          4月の短歌から10首