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田舎というものが生き残るには

基本的に田舎というのはこれから、どんどん切り捨てられていくんですよね。単純に人間が足りなくなる。「大きな災害があったのはいい機会だし、もう移住させようぜ」みたいな下品な話は辟易とするけれども、もっと落ち着いた場でも「地方に資源を回してるどころじゃないだろ」みたいな議論がこれから本格化していくだろうし、そのときに人口密度の低い場所の味方をしてくれるだろう人間の数は少ない。厳しい。

なので田舎では、学校が既に統廃合されていたりするけれど、他のインフラも少しずつなくなっていく可能性が高い。ドラスティックには起きないかもしれない。でも例えば、台風のあとに道路の工事が1年以上できないとか、上下水道の品質が落ちて飲用に耐えなくなったりとか、停電が珍しくなくなったりとか、診療所に医師が年に数回しか来てくれなくなるとか。そういう感じになっていくんじゃないかな。

そんな時代において、僕にぱっと思いつく田舎の生き残り方としては「誰の支援がなくても勝手に生き延びてやんよ」というサバイバーな感じと、「都会さん田舎感を残すところも欲しいよね」とおもねるレコードショップ的な感じです。あとは何らかの奇跡。

インフラがボロボロでも生き残る

道が壊れたままでも、電気がなくても、水道がなくても、俺たちは生きていけるんだ!という感じのコミュニティになるのはひとつのやり方ですよね。どれくらいの規模で可能かどうかは知らないけれども。パッと想像すると、属性的には主流に乗れなかったひとたちが集まる場所になりそう。でもその一方で、老人とか病人とか弱者的なひとたちは排除されることになりそうでもある。新興宗教のコミューンとか近いんですかね?

こういう世界観には何故か惹かれる

僕はこの考え方は結構好きです。バリバリ狩猟してる友人とかを見てたくましいなあと思うし、林業従事者のおじいちゃんとかマジでどこにいっても死なないのではと思ったりするひとも多い。そういう人や暮らしへの憧れをもつ人たちはそこそこいると思う。でも僕自身はすーぐ体調崩したりするし、サクッと亡き者にされてしまいそう。普通に、雪かきに除雪機が出動できないとしたら…みたいなこと想像するとわりと地獄だよね。

大都会から生き延びる許可をもらう

実際問題、いざ田舎への輸血を止めていきましょう!みたいな話になった場合でも「田舎の文化的価値」「実験的先進地として」「多様性による強靭性が」みたいな話とかをすることで生き延びる場所はそこそこあると思う。あと観光地とか。都市部と繋がっているけれど、都市部には無い異質な価値を提供しているのだ!と言うことで、数少ない輸血行為が許される場所。そんで、認められる価値の種類はいろいろあるはず。

絶景かな!だけで生きていくなど

わりとみんなこの椅子を目指して争っている感覚がある。単独で生きていけるところまで価値生産せずとも、ある程度でも「見どころのあるやつ」的ポジションで生存できそうだから?あと原発とか、都会が意識の外に置きたいものを積極的に受け入れるとかも効果的そう。ただ、なんか自覚のない状態のまま、気づいたらこの椅子を目指すポジションについてしまっている…というのがこれから多くの悲劇を生み出す予感もある。

奇跡が起きて神風が吹いたりする

人間はすごいので、誰かが何かしらすごいことをしたりして現状とは不連続的な進化を遂げるみたいな世界線も想像できる。すげー爆発的な価値を生み出すことができて理想的な田舎ユートピアみたいなのができるかもしれないし、何らかの技術革新でインフラの維持がめちゃくちゃ簡単になるかもしれない。

未来山村フューチャーピーク(AI命名)

目指すところはこれだ、と言うひとはわりかし多いと思う。そうじゃなくても、無意識的にこれを期待しているひと・これを前提にしてるひととかはもっと多かったりするんじゃないかな。あと奇跡を奇跡ではなくするために、めっちゃ努力している人たちもいる。まあ実際、これができるのがイチバン格好いいよね。映画化決定!

無理に生き残る必要はないのだから

どれも択一的な話ではないし、全部できればいいじゃんみたいな話でもあるし、ぜんぜんこれ以外の可能性もたくさんあるし。でも全般的に戦略として厳しいのは間違いないので、田舎が生き延びる方法を無理やり考えるよりも、どうやって次の時代に向けて静かかつ平和に消滅させられるかを考えることにこそ気合を注いだほうがいい、という説はかなり正しい感じがする。田舎は日本に必要か?という問いが成立する時点で、だいたいのひとにとっては結論が出てしまっているような話なのだから。元気な1億2千万人のために設計された国を、高齢者ばかりの9千万人で運営するのは大変なことですよ。

人工知能的な「故郷にさよなら」の図

まあ正しいことをしてくれるひとは結構たくさんいるだろうという人類に対する信頼感みたいなものを僕はわりと持っているので、個人的には正しくないことをいろいろやってみる感じでしばらくやっていこうと思っています。

畳むにしろあがくにしろ、時代の舳先にいる感じがしますね。
楽んで生きていきましょう。

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