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受け流す、闘う、逃げる…ハラスメント被害者がとるべき5つの対処法

今ハラスメントを受けて死にそうなほど苦しんでいる人が、明日以降も生き延びるためにどうしたらいいのか?これまでの経験から、ハラスメントの被害を受けてしまった際の対処法を考えました。(人事や労基に相談するといった基本的なことはご存じだと思うので省きます。)

①まずはSOSを出す

もしかしたら自分はハラスメントを受けているのかもしれない、と思ったら、まず信頼できる人に話してみてください。この時、できる限りいろんなタイプに相談してみましょう。複数人に話すことが重要な理由は、あなたが偏ったアドバイスを信じてしまわないためです。「いくら上司がひどい人でも土日休めてボーナス出るだけマシじゃない?」「私も似たようなこと昔経験したな、会社なんてそんなもんだよ」と言われればそう思ってしまうかもしれませんが、その意見はあくまでその人の主観でしかありません。複数人の意見を聞けば、自分の状況を多少なりとも客観視することができます。

社内の場合は相当信頼できる人以外は避けてください。余計な噂を流されたり、あなたが本格的にハラスメントを訴える前にもみ消すかもしれないからです。もちろん最終的には会社に相談することになりますが、初手はおすすめしません。(「死ね・殺す・辞めろ・無能」といった暴言、モノを投げるなどの暴力、体を触られる痴漢行為、外見などをからかう侮辱などは、迷わず会社にまず相談してください。誰の目にもハラスメントが明らかなので、対処しない会社は法的に裁きを受けるべきです)

②受け流す、多少のことは気にしない

ハラスメントを受けていると分かっても、最初は誰もが聞き流すふり、傷つかないふり、笑ってごまかすふり…私も始めは受け流そうと努力しました。そうして気丈にふるまっているうちに、自分自身に大丈夫だと暗示をかけているうちに、うつ病になってしまいました。
ハラスメントを耐えようとすることは、自分で思っている以上に大きなストレスがかかっています。繊細で傷つきやすい人はどれだけ頑張ってもできないし、何を言われても鈍感で気にならない人もいます。受け流せないあなたが悪いわけでは決してないので、自分を責めないでください。

③闘う、理不尽に屈しない 

直接言い返したり、上司に反抗できるタイプはそもそもパワハラの対象にならないでしょう。自分の意見をはっきり述べることが苦手で、相手を思いやり空気を読む日本人は、これができないために傷つき、搾取されやすい…。今はできなくてもかまいません、少しずつ態度や言動で反抗しましょう。相手があなたを傷つけるような言動をしてくるのに、誠意をもって対応する必要は全くないはずです。徹底的に嫌われたとしても、被害を受け続けるよりはずっとましなはず。どの道関係をよくすることなどできないのだから。

ただ、被害を受けて疲弊しきっている人のほうが圧倒的に多いでしょう。闘うことはかなりのエネルギーを消耗するし、闘う過程で更に傷つけられることのほうが多いです。私が会社相手に戦うことができたのも、応援してくれる人がいたり、休職等を経てゆっくりと回復することができたからです。闘うときは回復して余裕があるとき、精神的に図太くなって立ち向かう強さを身に着けたときでかまいません。

また、必ず証拠は残してください。音声または動画が一番効力があります、もし仮に裁判になった場合でも必ず役に立ちます。メールの履歴や第三者の証言も有効です。証拠がなければハラスメントを訴えることはかなり厳しくなります。本人や会社に言い逃れさせないため、何よりあなた自身が被害妄想だと周りに思われないために、証拠で身を守りましょう。

④逃げる、結局これが一番最善

被害を受けてしまったら、とにかくひとまず逃げること。傷つき疲れて再起不能になる前に、異動でも休職でも退職でも何でもかまいません、今すぐにその地獄のような環境から離れましょう。

人間は極限状態にあると、自己防衛のため心を麻痺させます。喜怒哀楽の感情が自然に出なくなり、コントロールできなくなってしまいます。「大丈夫」という言葉を暗示のように唱えて平静を装っているものの、不眠になったり、食事の味が感じられなくなったり、笑えなくなって涙があふれだしたり、明らかに普通ではない病状を自分でも見過ごしてしまいます。

ひとまず逃げて、症状が落ち着いてからゆっくり考えればいいのです。ストレス要因から離れるだけでも、驚くほど症状は改善するはず。(特に適応障害の場合は非常に有効です、うつ病と違いストレス要因が明らかなので)

⑤プロの力を頼る(精神科、カウンセリング)

相談できる相手がいない、どうしたらいいかわからない、死にたいくらい苦しい…精神科やカウンセリングを受けるという選択肢があります。

私もかつて精神科・診療内科に対する抵抗感が強くあり、「この程度でわざわざ病院受診なんて大げさすぎる」と思っていました。精神科受診を迷っていた時に、友達から薦められて読んだ漫画をご紹介します。この漫画に後押しされて、精神科を受診することができました。

パニック障害、うつ病、発達障害、PTSD…。心に病を抱えながらも、誰にも相談できずに苦しんでいる潜在患者が数多くいると言われる、隠れ精神病大国・日本。その自殺率は先進国では最悪レベル。なぜそのような事態に陥ってしまっているのか…。精神科医・弱井幸之助が、日本の精神医療が抱える問題に向き合い、人々の心の影に光を照らす!



多少費用はかさんでしまいますが、カウンセリングもかなり効果がありました。こちらはオンラインでカウンセラーに相談できるサービスです。始まる前に訳も分からず死にたいと泣いていたのに、カウンセリング終了後、自分が何に悩んでいるのか、どう対処すべきなのか、どのように生きていきたいのかが明確になり、少しだけ生きる希望が湧きました。カウンセリングにここまで人間の気持ちを救う効果があるとは知らず、もっと前から知っていればあの時の辛かった自分を救えたのに、と思います。

精神科もカウンセリングも、受診したから万事解決、というわけではありません。苦しみから抜け出すきっかけを与えてくれる可能性がある、程度のものです。先生との相性が重要になってくるため、一人目が合わなかったとしても絶望する必要はありません。私は精神科に三件通ってようやく良い先生に巡り合いました。死にたくなるほど追い詰められて、逃げ方もわからない、誰にも頼れない、そうなる前にプロの力を頼ることを思い出して実践してほしいです。


闘うことも、逃げることも、非常に勇気がいることです。受け流すことだって決して簡単ではありません。しかし、自分の身は自分で守るしかありません。

媚びて適当にやり過ごすしたたかさが私にはない。それならどんな相手にもひるまず言い返す強さが欲しい。闘う強さがないなら、さっさと諦めて逃げる柔軟さが必要。全部できなかったからここまで追い詰められた。君なら大丈夫、社会人なんだからできて当たり前だと上司に言われそれを信じ込んで、自分に呪いをかけていた。どうにかしようと思えばできたはずなのに、できなかったのは『自分ならこの状況を耐えられるはず』とやせ我慢し、自分の辛さを認められなかったからだ。

これは私が上司からパワハラを受けていると自覚した日に、日記に記していた言葉です。あなたがもし今どうしても身動きが取れない、どうしたらいいかわからないと悩んでいたら、この言葉を思い出してほしいと思います。

以上が私の経験に基づいたハラスメント対処法です。一番は会社に相談して対処してもらうことですが、対処が望めない・むしろ悪化するといった悲劇が起こらないとは限りません。あなた自身の身を守ることを最優先に、取れる手段をとって、まずは明日を生き延びてください。


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