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何者かになりたい男が作家としてデビューすることになった話①

どうも、すめらぎひよこです。
はじめましての方がほとんどだと思いますが、僕は「カクヨム」という小説投稿サイトで小説を書いております。
知る人ぞ知るWeb作家――と言えば聞こえがいいですが、ほぼ無名の物書きです。

ですがこの度! 第27回スニーカー大賞でなんと! 僕の作品『異端少女らは異世界にて』大賞をいただきました!

このエッセイは自分を変えるために書いています。
はじめに言っておきますが、僕はどうしようもない人間です。自分を守るための言い訳で塗り固められた人間です。
ですが! それではダメだと一歩踏み出してから世界が変わっていき! 大賞受賞という『今』に至っています!
今まさに自分の人生が変わり始めている。今が一世一代の大勝負、人生の転換期なのです。
大賞受賞と言うのは通過点に過ぎず、本当に変われるのかはこれからに掛かっています。このエッセイはそんな自分を応援してほしいという願いとともに、誰かの応援になってほしいという願いが込められています。

これから僕がどう踏み出し、どう変わっていったのか、そしてどう変わっていくのかを書いていきたいと思います!
願わくば、何者かになろうと思いつつ燻ぶってる人に届いてほしい!


連載という形で、初めは自己紹介やら受賞までの流れを話していきたいと思います。

■■僕の人生■■

まず、僕自身「何者かになりたい」と願いつつも、言い訳だらけで踏み出そうとはしない人生だったことをお話します。ざっくりとですが。

中学までは割とまともな人生だったので、高校時代から。
高校生のときから、ふと「死ぬまでに何か大きなものを残したい」「何者かになりたい」と思うようになりました。そう思った理由は分かりませんが、父親が法律関係の仕事をしていて人助けの役に立っていた姿を見ていたからかもしれません。自分も何かを成し遂げなければならない。そういう思いが芽生え始めてました。
父の仕事ぶりを尊敬してるだなんて、恥ずかしくて直接は言えませんけどね! シャイボーイなので!
年齢的に「ボーイ」じゃないからシャイ「ガイ」ですかね! シャイガイ(SCP-096)なので!

そして高校生といえば、当然どの大学に進学するかという話が持ち上がります。このとき、僕は「京大法学部に行きたい」と言っていました。自分の学力からいえば、かなり分不相応な夢です。
親や先生方も応援してくれてはいましたが、自分は少なくとも現役では合格しないだろうと思っていました。そして案の定、浪人時代へ突入。予備校に通うことになりました。しかも2年浪人したうえ、最終的には京大は諦めて別の大学へ。
「京都大学」じゃなくても「京都にある大学」だから「京大」と称してもいいよね? ダメですか。

とまあ、ここまで大学に入るまでのお話をしましたが、言い訳だらけです! 恥ずかしいくらいに言い訳だらけです!
でも、僕の恥ずかしい部分を見てほしい! ほら! ほら!!

まず京大に合格しなかったのは、ろくに勉強をしていなかったからです。努力してもそれが実らなかったらどうしよう、という気持ちが足枷になってました。当然ですが、努力しなければ実るものも実りません。『はじめの一歩』の鴨川会長も「努力した者が全て報われるとは限らん。しかし!成功した者は皆すべからく努力しておる!! 」と言ってますよね。あの言葉好きですけど、見るたびに体が爆発四散します。四散どころか八散くらいします。

僕はハナから逃げる選択をしていたのです。高い目標に向けて努力しているという振りをしながら。
僕はどうしようもなく甘ったれです。言い訳だらけの甘ったれ野郎です。

そんな僕でも、大学では真面目に勉強しました。ちなみに法学部ではなく心理学部です。心理学面白いのよ、ホント……。
心理学を学ぶと、「人間の心なんて結局分からん」ということが分かります。心を理解するための道具は増えますけどね。
そして図らずも心理学部で学んだ知識や考え方が、作品作りに役立ちました。本当に心理学部に入ってよかった。

そんな大学生活の3年目か4年目かの夏休み(もう記憶が曖昧)。超久しぶりに読書をしようと思って書店に足を運びました。
事前に買う本は決めていました。そして目当ての本を手に取っていると、まさかまさかの奇跡が起きました。
買った本のタイトルは、『新世界より』『天使の囀り』『黒い家』です。タイトルを見てピンとくる方もいると思います。著者が全部、貴志祐介先生だったのです。
アニメを見て原作を買おうと思った『新世界より』、「不気味!」「おぞましい!」とネットで評判だった『天使の囀り』、夏だからホラー買ってみようとオススメ紹介サイトを見て興味を持った『黒い家』。興味を持ったタイミングはバラバラで、タイトルと出版社だけ見ていたので、実際に買うまでこの事実に気づきませんでした。

そのとき、本当に「運命」というものを感じました。

その運命は、「貴志祐介先生の本をコンプリートしよう!」という欲求ではなく、「自分が貴志祐介先生の作品に惹きつけられたように、自分も誰かを文章で惹きつけたい!」という願望を僕の中に生みました。
偶然同じ著者の本を同時に買ったというだけで、「何者かになりたい」という願望が「作家になりたい」という願望に変わったのです。

とここで、また言い訳タイムです。本当に申し訳ない。また言い訳です。

大学4年の終わり頃、実家がバタバタしてまして(不幸事ではないです)、それを口実に卒業後は家の手伝いをするというていで無事に無職になりました。時を同じくしてパソコンもぶっ壊れました。Web小説ならスマホでも執筆できますが、当時の僕はスマホなんか電話と目覚まし時計にしか使ってなかったので、文字入力がおぼつかず……っていう言い訳! ぶひひ!
大学受験の時に浮かんだ「努力をしても実らなかったら……」という考えがまた浮かんだんですよね。
そうしているうちに、焦燥感と劣等感、停滞感がどんどん膨れ上がっていって、正直頭がどうにかなると思いました。末っ子だからか、親兄弟は僕を甘やかして責めません。内心心配していたと思いますが、見守るだけです。なので、自分で自分の尻を叩かなければいけませんでした。親兄弟にずっと甘えてきたツケが回ってきたんです。

なので、まずはじめに逃げ道を潰していこうとそこそこ良いパソコンを購入。
十数万も費やしたのだから、小説を書くしかない!
ここで一歩踏み出さなきゃ一生逃げ続ける人生になる!

そういう思いとネトゲがしたいなぁという思いでパソコンを買いました。今ではFF14にハマりきっています(まだ紅蓮編の途中)(メインジョブは黒魔道士)(結局ブリザジャ抜いた方が強いの?)。

ここでようやく小説を書き始めます。無職生活始まって何年か経った頃の話。
最初に書いたのはホラー短編でした(元々ホラー作家志望だったので)。
自分の腕前がどの程度なのかなぁという気持ちで投稿したのですが、まぁ読まれない。感想とか評価以前に、読まれない。
そりゃそうだ。素人が書いた作品で、しかもカクヨムではマイナーなジャンル。まぁ読まれない。

悲しくなった自分は、ファンタジー長編を書いてみました。こちらはコンテストに投げるつもりで書きました。ファンタジーが好きだったからというのもありますが、ファンタジーなら読まれるだろうという下心もありました。
結果、ほとんど読まれませんでした。10万字書いて累計PV45です。10万字約30話書いて各話のPVを合算して45です。45万じゃないです。45です。forty-fiveです。
ホラー短編より読まれなかった。

でもここで心が折れなかったのは、一人の読み専さんが最後までずっと読んでくださったからです。
少なくとも一人は自分の作品を気に入ってくれた。その思いが次の作品に繋がっていきました。
その読み専さんには、本当に感謝しかありません。あなたがいなければ、今の僕はいなかったと思います。あなたがいたからこそ色んな人と出会えて、ここまで来られました。

それからはホラー短編を時折書きつつ、コンテスト用にファンタジー長編を書く生活になりました。ファンタジーが読まれなかったのが相当悔しかったのと、ファンタジーなら読まれるだろうと甘く見ていた自分が恥ずかしかったからです。

そうして生まれたファンタジー長編の3作目が、この度大賞を受賞させていただくことになった『異端少女らは異世界にて』です。
正直、これ以上面白い作品書けないんじゃないかっていうくらい情熱を注ぎました。
資料を買ったり、ネットを漁り回って色んな知識を蓄えました。楽しむだけだった映画やゲームを見る目が変わり、どういう展開が面白かったか、どういう展開がつまらなかったかを分析するようになりました。

そして満を持して第6回カクヨムWeb小説コンテスト(通称『カクヨムコン』)に応募したぜ!
ワシの渾身の作品を食らえ! あまりの面白さにひれ伏せ!

結果、読者選考通過しませんでした。
読者選考というのは、編集部による選考の前に読者による評価を基準として判断される選考です。つまり読まれなかったということです。

このときばかりはかなりショックを受けました。本気も本気でしたから。世界観を作り込んで、キャラ設定も練り込んで、飽きさせないような展開も考えて……。自分の持てる全てを注ぎ込んだ作品だったので、読者選考にすら通過しなかったのはつらかったです。それだけカクヨムコンの異世界ファンタジー部門が魔境だったということなんですが……。

■■スニーカー大賞■■

それからは細々と『異端少女らは異世界にて』の続きを書きながら、どうしたもんかなぁと悩んでおりました。
すると、目の前にスニーカー大賞があるではないですか……!

スニーカー大賞といえば角川スニーカー文庫が主催する新人賞。
スニーカー文庫の有名作の中には『この素晴らしい世界に祝福を!』がある!
異世界コメディが活躍している場所ではないですか!

天啓かなって思いました。『異端少女らは異世界にて』もジャンルでいえば異世界コメディです(多分)。
ここなら求められるはずだ! という思いで応募!
その時点で規定字数オーバーしていたので、規定満たしながらキリがいいところまでを公開状態にして応募しました。それにともなって改稿もしたり。

話は少し逸れますが、スニーカー大賞に限らず、コンテストや新人賞に応募する人はちゃんと応募要項を読もうね!

話を戻して。
応募してみると一次選考通過、二次選考通過、三次選考通過と来たではないですか!
選考を通過するたびに嬉しさが爆上がりしていって、三次選考の結果を見たときはオムライスを作る手が震えっぱなしでした。食べ終わってもまだ震えてました。手が震えすぎてオムライスが飛び散り、部屋がオムライスだらけになりました(嘘です)。

ここまで来たのなら、目指すは受賞!
「目指すは」とか言っても待つしかないんですけどね!
とにもかくにも、選考結果のことを考えるたびに震える日々が続きました。

そんなある日、スニーカー文庫編集部からメールが来ました。

お! これが内定の連絡というやつか!
と思ってメールを開いてみると、お話がしたいというだけで特に「受賞内定しました!」みたいなことは書いていない。でもスニーカー文庫編集長からのメール。

おや? これはどういうことかな?
事前に内定の連絡が来る、くらいしか情報を持っていなかったので、流れが全然分からん。何の電話や。そもそも本当にスニーカー文庫の関係者か?

数日後の、クリスマスイブ。指定されていた時間が来た……のですが、急な腹痛でトイレに。緊張とかではないです。ただ単に便意が襲ってきただけです。

今は電話来ないでくれよ……と願っているときに電話が掛かってきました。完全にトイレから出るタイミングを逃す。
編集長、あなたからの電話はトイレで出ました。お許しください。

どんないかつい人が出るんだろうと思っていたら、物腰が柔らかくて優しそうな人でした。良かった。でも後で恐ろしいことを言ってきたので、僕は心の中で編集長のことを「プレッシャー魔神」って呼ぶようになりました(その経緯は次回お話します!)。
編集長さんから色々なことを聞かれました。執筆歴や作品にかける思い、自分の作品の良さはどこかなど……。

でも結局何を伝えたいんだろうな~って思ってました。賞の話ではなく、僕自身の話を聞きたがっていたので。

ですが、話の流れは唐突に変わりました。

長(編集長)「長々とお話させていただきましたけど、ご報告があります。大賞受賞です
ひ(僕)「………………本当ですか?」

本当に言われたことが信じられませんでした。大賞ですよ、大賞

長「本当です」
ひ「本当ですか?」
長「本当です! 12年ぶりの大賞受賞です!」
ひ「12年ぶり!?」
長「12年ぶりです!」

Really?

しつこいくらい聞いたと思います。
だって大賞ですよ!? 大賞!!
世界的にも人気な『涼宮ハルヒの憂鬱』と同じ賞ですよ!!

ひ「ありがとうございます! え? ありがとうございます!」

そうとしか言いませんでしたが、心の中では雄たけびを上げていました。

大賞受賞だああああああああああああああああッ――!
何者かになれるチャンスが来た!
こんなチャンスは二度と来ないだろう!

でもちょっと立ち止まってしまった。
『涼宮ハルヒ』シリーズと同じ賞だぞ……? ハードルが高すぎる……。
ここで大賞受賞を辞退しても、多分別の賞を受賞するという形で書籍化への道は開かれていると思う。書籍化するというだけでもう十分なチャンスじゃないか。

そこまで考えて、またいつものように逃げ道を探している自分に気づきました。
「馬鹿か!」と心の中で叱責しました。ここで逃げてどうする!
この大一番で逃げてしまえば、自分は一生変われない!
やってやる! 死に物狂いでやってやる!
12年ぶりの大賞受賞者にふさわしい作家になってやる!

心の中では凄まじい葛藤の末、大きな一歩を踏み出す覚悟を決めました。

ですが!
大賞受賞したからといってそこがゴールという訳ではありません!
新たなスタートでしかないのです!

毎年相当な数の新人が現れ、そして消えていく。それだけ厳しい業界です。
大賞を受賞したからといって、必ず生き残れるという保証はどこにもありません!


僕は今、何者かになるチャンスを掴んだに過ぎないのです!

まだ何も残せていない!

成功するかどうかはこれからに掛かっています!

踏み出せずに燻ぶっていた僕がどうなっていくかをここで連載していくので、どうか応援してください!
具体的にはnoteとTwitterのアカウントをフォローしてください!(土下座)(高速揉み手)(靴ペロペロ)(下心全開)

そして燻ぶっている誰かが、僕の姿を見て一歩踏み出す勇気が湧きますように!


最後に叫びたい! 何者かになってやるぞおおおおおおおおおおお――ッ!


しかし、ひよこはまだ知る由もなかった。自分を担当してくれる副編集長から衝撃的な一言を言われることを。

その言葉とはいったい――!


次回:副編集長「まだ大賞『候補』ですよ」(https://note.com/sumeragihiyoko/n/ndf17915616c8

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