見出し画像

旅先でちょっとしたスケッチをしたい

こんにちは。
皆さん、お変わりありませんか?

今回は旅先でのスケッチについて
お話したいと思います。

僕の水彩教室に入られた多くの方々ら
「旅先でスケッチを描けるようになりたい」
ということを耳にします。

「旅先でのスケッチ」・・
素敵な響きですね。
旅先でスラスラとスケッチができたら、
どんなに楽しいでしょう。

しかし日常での水彩画制作は
「失敗しないように」、
「完成度を上げなくては」、
「どんな絵をかくべきか」

などと、
難しく考えてしまいます。

ところが旅先だと自分に課していた
思いはサッと消え去り、

純粋にその風景を描いてみたいと
いう気持ちにさせてくれます。

訪れた街への新鮮な思いがあったり、
日常の煩わしい事から解放されることもあり、
その風景に自然と入り込んで行けるのです。

眼の前の風景に集中できる、ある意味で
感性が研ぎ澄まされるのかも知れませんね。

普段ではそうそうあることではありませんが、
旅先ではこれが普通の起こるのです。


私事ですが、僕は水彩教室を始める前(2003年以前)
は、度々旅行に出かけていました。

特にヨーロッパは年に2~3回出かける
こともありました。

その中で思いで深いスケッチを
取り上げてみたいと思います。

ロンドンの住宅街を散歩中に

快晴の朝、ロンドンにある閑静な住宅街(チェルシー)を歩いていたら、家族らしき人影が見えました。何やら楽しそうな声が聴こえてきます。

「チェルシーのこもれび」1984年

僕は思わずノートを取り出して、
その印象を描き止めました。
ボールペンを走らせ、5分ほどで
スケッチを終え、ホテルに帰り着彩しました。

「今こんなスケッチが描けるだろうか・・」、
この絵を見る度に、現在の自分とのギャップを感じます。

おそらくこの場所での思い入れがあまりにも大きかったので、
この伸び伸びとしたタッチも自然に生まれた
のでしょう。

普段ではやらないような方法でも 平気で描いてしまう・・。
これは現地での臨場感や空気みたいなものが
そうさせるのでしょう。


フィレンツェの丘に登って

フィレンツェの街を一望できる丘があります。
ミケランジェロ広場といって、見事なアングルでベッキオ橋や
サンタ・マリア大聖堂を見ることができます。

「フィレンツェの紅い陽」1990年

太陽が地平線から姿を消した直後、
見る見るうちに、アルノ川と街とのコントラストが
際立っていきました。

その美しさに見とれ、何とも切なく、
そして幸福なひと時を味わいました・

サインペンでデッサンをしたので、着彩時に線が滲み、
面白い効果が出てくれました。


苔むした石垣に惹かれて

白壁の家と赤い苔で覆われた石垣を見た瞬間にハッとしました。
家が素敵なのは勿論ですが、石垣の色に視線を奪われてしまいました。

「古い石垣の家(スイス・レマン湖畔の村にて」1991年

赤茶色の微妙な変化、苔のモコモコした質感が
何とも魅力的で、気が付いた時にはもうバッグから
スケッチブックを取り出していました。

描きたいという衝動にかられながら、
その場で殆ど描き上げたのを思い出します。

絵はその時の気持ちがあれば描ける」ということを
この絵を通して学んだような気がします。


バルセロナは面白い街

ピカソ、ミロ、ダリ、ガウディなど、そうそうたる
芸術家を多数輩出した街、バルセロナ。
街全体がアートに包まれた独特の雰囲気があり、
訪れた人をワクワクさせる街です。

「アントニオ・ガウディ邸」1994年

エレガント建物の周りには椰子の木が乱立していて、
このミスマッチな組み合わせがとても新鮮でした。

ガウディの創造性からくるものなのか否かは分かりませんが
とにかくこの風景に出会えたことは幸運でした。

 

古びたカフェをペンのタッチにのせて

ルーブル美術館の近くにある 古いカフェとその周辺を描きました。
光と影が印象的なこの風景に引き寄せられるよう
に近づいて行ったら、絵のイメージが少し湧いてきました。

「カフェの賑わい(パリ・レアール地区)」1,984年

「ここには古き良き時代のパリがある・・」
この絵をペンだけでモノクロ風に描いたらノスタルジックな
感じになって面白い
かも」というアイデアが浮かんで来ました。

因みに、ペンスケッチは絵の具で塗る作業がありませんので、
スケッチとしては是非おすすめです。 


村全体が絵画そのもの

レマン湖畔にある小さな村です。
入り組んだように佇む家々、古びた壁や屋根、、
、歪んだ形の道や畑、ほんとうに描きたくなる要素
が沢山詰まって
いました。

「湖面の村(スイス・サンサフォラン)1991年

そして鮮やかなに輝く青色の湖面が村とは対照的で、
この風景をより印象的なものに
しています。

穏やか中にもドラマチックなものがある、
そう感じながら画面に向かっていました。


気軽に短時間で描ける魅力

パリ・シャンゼリゼ通りで簡単なスケッチをしました。
スケッチの魅力は手軽に短時間で描けるところです。

上手く描けるか描けないかは別として、
その場での雰囲気を味わい、楽しむことが
出来たらそれで幸せ
ですよね。

「シャンゼリゼ通り(パリ)」1984年

この時は生憎ペラペラの薄紙ノートしか持っていません
でしたが、それでもこの楽しい時間を過ごすには充分でした。

※※あと7日からパリオリンピックが始まりますが、
競技観戦は勿論楽しみですが、現在のパリの風景が
当時とどのように変わっているか、僕にとってはそれも
興味の対象です。



旅には魔法のような力があると思います。

なんの変哲もない風景を見ても
とても新鮮に見えたり、魅力的に感じたりします。

未知の場所を訪れることもあり、
期待感や驚きでその風景が強烈な
インパクトを与えてくれます。

そんな心境でスケッチをしたら、
普段とは違う色彩やタッチが絵に反映されたり、
新しい発見がある
に違いありません。

どんなスケッチをしたら良いか、
どのように描いたら良いか、
あまり思い悩む必要はありません。


その答えは旅先にあり、筋書のないドラマへと
誘ってくれることでしょう。

今回のお話は以上です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

宜しかったら「いいね♡」を押していただけると
嬉しいです。











この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?