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情熱を持って描けば健康で長生きする


画家は長生きする人が多い

画家の多くは長寿ということをご存知でしょうか。

まず日本の画家を上げてみると、奥村土牛は101歳、小倉遊亀は105歳、片岡球子103歳、堀文子100歳、中川一政98歳、熊谷守一 97歳、海外ではピカソが91歳、シャガールが98歳、ミロ 90歳、など多くの著名な画家がいます。

大昔にも、葛飾北斎89歳、伊藤若冲84歳、ミケランジェロ89歳、ティツィアーノ88歳、ゴヤ82歳などの画家がいました。今とは違い、医学が発達しておらず、衛生面においてもままならない時代にこの年齢ですから、途方もなく長寿だったと言わざるをえません。

勿論ロートレックやモジリアニ、ラファロやのように若くしてこの世を去った画家もいますが、それでも画家は一般の人に比べ平均で5歳ほど長生きだそうです。

長生きの秘訣は情熱と探究心

ではなぜ画家はなぜ長生きするのでしょう。脳神経内科医の霜田理絵氏は著書「一流の画家はなぜ長寿なのか」の中でこう述べられいます。「著名な画家は晩年まで精力的に、情熱的に創作活動を続ける。その生き方にこそ健康で長生きする秘訣や鍵が隠されている」と説いています。

画家には定年退職はなく、対人的なストレスも殆どなく、生涯を通して情熱を持ち続け、制作に没頭できる。しかし時には上手く描けないことがあったり、家計も支えなくてはなりません。しかしそれに打ち勝つ情熱や夢があれば、それほど苦にはならない、むしろそれが原動力となり より高みへと向かわせるのです。

霜田氏はこうも力説されています。「絵を描くためには脳のあらゆる部位を使う。絵のバランスを取るために前頭葉が働き、指を動かすためには、前頭葉の運動野が働きます。描くために集中したり、計画を立てたり、ひらめきを得たりするためには前頭前皮質が働きます。きちんと測定した対象物の絵を描くためには、大脳基底核小脳も働きます」。どうでしょう、これほどまでに脳を使っているとは驚きです。

絵描きは絵を描くだけではなく、良い題材を求めて歩き廻るので、足も鍛えられます。ただ歩いているだけではなく、取材という目的があるので疲れは何処かへ飛んで行きます。そして題材が見つかった時の嬉しさは何物にも代え難いものがあります。

一つのことに向かって歩き、発見し、感動し、それを表現する。その時の精神状態が 脳を活性化させ、体力や免疫力を向上させるのでしょう。

プロもアマも同じこと

プロとアマチュアの一番の違いは「志」や「情熱の量」にあると思います。自分の好きなものを職業にしている人間と趣味で描いている人間とでは、大きな差があることは否めません。

プロの画家は絶えず絵のことを考え、時間の殆どを画業に費やします。自分のイメージする風景を探し求めて何日も歩き廻り、納得のいく作品が出来なければ何枚でも描き、生活がままならないことがあれば副業もする、全ては好きな絵のため、そのためには何でもする、そういった気概を持って望んでいます。

アマチュアの皆さんはそこまでの心血を注ぐことは不可能ですし、その必要も全くありません。ライフスタイルや緊張感に違いこそあれ、「楽しく描く」「良い絵を描きたい」という根本的な発動という点ではプロもアマも同じだと思います。

またアマチュアの方々は完成の期日を迫られることもなく、家計的な重圧もありませんから、純粋に水彩画を楽しめる点では良い環境と言えます。

私達絵描きも皆さんも好きで始めた水彩画です。たとえ上手く描けなくても、一時的にストレスを感じることがあっても、「水彩画を描けるだけで幸せ」「大変だけど楽しい」そう思って描いていくと、自然に脳と身体が喜び、健康な身体へと向かわせるのでしょう。

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出典: 
福井良佑の水彩画通信講座 
第10番「透明水彩を永く楽しむために」
から抜粋


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