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小説

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私が書いた小説をまとめたマガジンです。
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記事一覧

電話

プルルルルル。 ここ数ヶ月ほとんど置物と化していた固定電話が鳴った。どうせウォーターサー…

かわはら
2年前

太郎

太郎は、両親からの異常なまでの期待を一身に背負って生まれてきた。彼の両親は周囲から「天才…

かわはら
4年前

びっくり箱

俺は見渡す限り真っ暗闇な空間にぽつんと立っている。 目の前には、何の変哲もないただの白い…

かわはら
4年前
1

家電

「ねえ秋人ー?」 「何ー? 麻衣どうしたの?」 「ドライヤー壊れたんだけどー」 「またー?…

かわはら
4年前
2

実家

これはAさんが3年前、実家に帰省したときに体験した話です。 Aさんの実家はかなりの田舎で、…

かわはら
4年前
5

ある男の話

あ、どうも初めまして。あなたが弁護士さんですか。私、斎藤淳と申します。よろしくお願いしま…

かわはら
4年前
8

歩く

半年前、俺は当時付き合っていた彼女に裏切られた。 あいつ浮気していやがった。しかも、俺の親友であるAと。 正直ふざけんなと思った。こっぴどくふってやろうとも思った。でも、言えなかった。その後、俺たちが疎遠になっていくのにそれほど時間はかからなかった。 そして先月、ついに俺はふられた。彼女からの最後の言葉は 「私たちもう別れたほうがお互いのためになると思うの。」 だった。 くそ、何がお互いのためだ。どうせAとこれからも付き合っていくのに俺が邪魔になっただけだろ。ふざけん

双子

彼には顔のよく似た双子の兄がいた。 彼らの顔はまるで鏡写しにしたようにそっくりだったし、…

かわはら
4年前
3

日記

6月19日(火) 天気 雨のち晴れ 日記なんて、小学校以来書いた記憶がない。今日妻から、…

かわはら
4年前
4

知らない

「なあ、ちょっと今から本屋寄らない?」 「ああ、暇だしいいよ。」 「そういや、お前と一緒に…

かわはら
4年前
3

都市伝説

今、俺たち3人の中では都市伝説が流行っていて、毎日放課後になると前日に仕入れた都市伝説を…

かわはら
4年前
6

旅行

ママとパパ、船長と航海士の方と私の5人は、5日前からマリー号という船で地中海をクルーズして…

かわはら
4年前
6

銀杏

先日親戚の集まりで久しぶりに地元に帰った俺は、幼馴染のあきらと昔通っていた小学校の前の銀…

かわはら
4年前
3

宇宙

何にもない昼下がり、俺は当てもなく河川敷を自転車で走っていた。今日の晩は何を食べようか。明日は何をしようか。そんなありきたりなことをぼーっと考えながら走っていると、ちょうど11時あたりの方向になにかまばゆい光を見つけた。何だあれは。だれがあんな光たいてるんだ。面白そうなので近づいてみた。 すると光の中から出てきたのは、灰色の肌に針金のように細く小さい身体、その身体とは不釣り合いに肥大した頭部ととても大きな黒目の生物。いわゆる「リトルグレイ」という奴だった。 とすると、光を放っ