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2021ファジアーノ岡山にフォーカス17 J2:第14節:大宮vs岡山(Away) 「J1の名門(古豪)に多いサッカー、2列目の関係性の変化、本当に良い点かどうかの考察」

1、 前置き

試合開始前の段階で、大宮は最下位であった。先日、川崎に破られるまでは、J1での無敗記録を持っていた。そういった伝統のある大宮が、これだけ苦戦する事を誰が予想したであろうか。確かに昨シーズンこそ、怪我人が多発して、難しいシーズンからの今季ではあったが、選手の顔ぶれを見ても、未だに信じられない。仮に一時的な順位でもあってもそう感じる。

ただ、今季は、J2は、上位2チームの昇格のみ対して、降格は下位4チームというコロナの影響を大きく受けたシーズンとなっている。例年であれば、プレーオフ進出をかけたリーグ戦になるが、そこがないことと、下位4チームも降格するという重圧が、リーグ戦を難しくしている様に感じる。

加えて、リーグ全体のレベルの向上と共に、リーグの均等化が進んだと言える。もしかすると、こういった残留争いと昇格争いというのは、今後のスタンダートと成り得るかもしれない。あえて、差がつくとすれば、J1のレベルの向上が加速すれば、J1からの降格チームが、圧倒的な強さで駆け抜けるという事も十分考えられる。

こういった話は、前置きで何度かしてきたので、もう1点。大宮アルディージャという名称に慣れており、違和感こそいまはないが、都道府県名ではなく、都市の名前をクラブ名称とするチームが、都心部に多い。岡山県民からすると、都道府県の名前を使った方が、スポンサーやサポーターが集まり易いと考えたくなるが、都心部ではどうやら違う様だ。

同じ都道府県内に、競合チームがある事に加えて、名称に使われる市町村の人口や経済規模が多きれば、その市町村に関係したスポンサーやサポーターの獲得がしやすくなる。加えて、熱烈なサポーターの獲得も可能となる。また、同じ都道府県内のダービーや、都道府県外の市町村の対決もダービーとして、盛り上がる可能性もある。

Jリーグは、クラブチームが多い事で、規模の大小や日本という国の歴史の長さから、様々な歴史的な背景による、言葉には悪いかもしれませんが、因縁の様な、誇りをかけて戦う熱い試合になる事も多い。大宮であれば、現在は、カテゴリーこそ違うが、浦和レッズとの試合は、特別な試合と言える。

残念ながら岡山には、そういった熱くなるカードというのが、少ない。県内には、競合となるJリーグチームが不在である事に加えて、近県で、岡山戦に強いライバル意識を持っていた讃岐は現在J3。プライドオブ中四国という形で、盛り上がった鳥取もJ3。スコアの動きが激しい試合が多かった徳島は、J1。現状は、山口と愛媛が、最大のダービーとなるかもしれない。

現状、同じカテゴリーでの対戦は、未だないが、中四国の雄である広島との試合を夢見るサポーターは多いかもしれない。J1歴が長い神戸との試合も盛り上がった。神戸の前進のチームが、岡山に縁のあるチームだったという事もあり、昔からの岡山のコアなサポーターからすると、特別な思いがあったかもしれない。3-0から3-3に追いついた奇跡の様な展開。逆転こそ、ならなかったが、伝説の試合で合った事は間違いない。公式なルートさえあれば、試合を記録した媒体を購入して、何か思い立った時に、再視聴したいぐらいである。

さて、ダービーやらクラブ名といった話で少し、当試合から脱線こそしてしまったが、浦和と大宮のダービーが熱いのは間違いないが、岡山と大宮の試合は、スコアレスドローという得点の入らなかった寂しい試合となった。しかしながらサッカーは、記録に残らない中にも大きな発見があるスポーツで、それを気付けた時や、他の方の発信した事に説得力があり、納得できた時のサッカーの奥深さというものの魅力の1つであると思っている。そういったサッカーの奥深さを少しでも皆さんと、共有出来る様にこれから、大宮戦を振り返っていきたい。

メンバー:2021ファジアーノ岡山「第13節vs千葉(Away)」

2、 J1の名門(古豪)に多いサッカー

岡山もJ2歴が長く、J1から降格してきたチームとの対戦も増えて来た。そういったクラブに多いのが、選手の個を活かすサッカーである。全体のバランスを重視する中で、前からのハイプレスや極端に距離感を絞るサッカーではなく、あくまで程よい距離感を保ち、攻撃でも守備でも各自の判断で行くというスタイルが、多い様に感じる。

今季の大宮も例外ではなく、そういったスタイルであった様だ。ただ、そういったスタイルであってもパスを誰かに集めるという方針や、サイドや中央からの攻めを主体にするといった細かい違いもある。ただ、こういったサッカーというのは、本当に意識してみないと、こういった狙いを持っているとか見極めるのは難しく、そこを的確にまとめられるレビュワーの方は、尊敬に値する。

私自身、選手個人に注目してしまう事が多くなる事や、一定のチームに集中する事も少なくない。サッカー観戦をされている中で、色々なスタイルがあるが、戦術面などに興味ある方の多くの方の悩みであると思っている。記者顔負けのレビュワーの方も実は、そういったサッカーの要点を試合から抽出し、文章として具現化する生みの苦しみを感じていらっしゃる方も多いかもしれない。

私自身、選手に注目する事の方が得意で、全体を通してみるのは少し苦手である。メンタルコンディションによっては、戦術的に見ることができる日もあるが、それが出来ない日もある。書きながら騙し騙し書いているのも事実。ただ、得意不得意はあるもので、独自の観戦スタイルで良いと思います。自分の視点と自分のスタイル。この表現がサッカーに近くなるのは、サッカーが、人生の縮図のようだという趣旨のことが言われるのは、その辺りにありそうである。

この試合は、DAZNで、視聴。視聴後に改めて最初の15分ほど見直したが、ボールを大事にするというのが、大宮のスタイルであるように感じた。自陣深くで、出しどころや運び処がなければ、クリアやロングパスも厭わないが、中盤より前に運んで時は、ドリブルで持ち上がっていくシーンや、囲まれてキープして出しどころを探すシーンも見受けられた。

大宮の選手は、そう簡単にボールを手放さないので、縦へのスピードは、速くない様に感じた。これは、ドリブルよりパスの方が早いからであるが、パスは繋がらないリスクと、早すぎる展開により、消耗が激しくなるデメリットもある。取捨選択により、メリットとデメリットのバランスが良ければ、勝利が近くなる。また、そのかみ合わせが悪ければ、勝利が大きく遠のく。

大宮の運んで行くスタイルが、サイドまで侵入するというのが、一つのゴールである様に感じた。そこからクロスを主体に、17ネルミン・ハスキッチをターゲットにしていくという狙いが見て取れた。岡山は、クロスの対応に苦しんでいた印象だが、この試合では、33阿部 海人と5井上 黎生人が集中して、対応できており、フリーで打たれる事がなかったのは、収穫と言える。

27中野 誠也は、裏への抜け出しや、ワンタッチのシュートなどでの決定力に優れる選手だが、そういったシーン(スルーパスの通される場面)を作らせなかった事で、自由を与えなかった。大宮は、ハーフスペースで引き付けて、サイドレーンのスペースにSB(SH)に走りこませて、フリーでクロスを入れる形を作っていた。この時、岡山の寄せは当然間に合わない。ただ、大宮は、この時、中に人数をかけるというよりは、FWの2人をターゲットにするという基本方針であったので、岡山もなんとか対応できた。

ただ、その分、バイタルエリアで、待機して、セカンドボールやミドルシュートで、得点を狙うというスタイルでもある様に感じる。ここは、難しい所で、ゴール前に人数をかければ、得点の確率も高くなるが、カウンターのリスクがある。この辺りが、大宮がバランスを重視したサッカーである事を示している。

岡山が、攻めた際の大宮のプレスのオン・オフの基準が曖昧なように感じた。一定エリアに侵入したら寄せをかけていくケースや、意外と持たせてくると思ったら、突然複数人で寄せてくるもあった。そういった事もあり、岡山は、比較的事由にゴール前で、組み立てることができたが、突然入る守備のスイッチにボール奪取される事も少なくなかった。

前からのプレスも基本的には緩いが、かけた時には、FWだけではなく、後のMFの選手も連動していた。もちろん、岡山としてもその寄せに対して、素直に入れて、応じるのではなく、サイドのスペースに15山本 大貴や27木村 太哉をターゲットにロングパス(ミドルパス)を入れる選択や20川本 梨誉をターゲットにするなど、プレス網にかからない工夫も見られた。

ただ、この日は、20川本 梨誉に、厳しく対応するというのは、徹底されていた様に感じた。しかし、20川本 梨誉に入ってから守備のスイッチを入れるので、マンマークを付かせるような極端な対策はしてこなかった事で、ある程度は、攻撃に関与していた。15山本 大貴が、攻守でハードワークするスタイルの中で、20川本 梨誉は、受けるプレーや機を見たプレッシングで、思い切りの良い攻撃的な選択を攻守で出来ていた。

この辺り、20川本 梨誉に集めて、チームとしてフォローするという意識が、共通認識としてできつつあるように感じた。現状、岡山のメンバーの前線と軸と言えて、出場時間も伸びて来たので、心身共にコンディションは上がってきている。MFや15山本 大貴との関係性も良くなり、大宮としても、慎重な対応が迫られていた様に映った。

3、 岡山の2列目の選手の関係性の変化

27木村 太哉のプレーエリアに明らかに変化がみられる。右SHの際は、サイドレーンやハーフスペースのドリブルでの攻防が主なプレーの選択肢であった。ここ数試合は、中への動きを強く意識するようになってきている。対峙する相手選手からすると、縦への仕掛けではなく、中への動きを意識しないといけなくなるので、対応はより難しくなる。

そして、この試合では、20川本 梨誉への浮き球のスルーパス(ラストパス)を配給した。これは、今季初のパスで、まさかドリブラーという認識であった27木村 太哉から出るとは思わなかった。大宮にも人数は揃っていましたが、20川本 梨誉への浮き球という選択肢では、100点満点の解答と言えるパスであった。

20川本 梨誉の技術の高さも相成って、決定機になった。こういったパスを出せる選手が2列目におり、そのパスを活かせる(決めきれなかったが、シュートまで行ける)選手がFWにいる事で、得点に繋がる確率は上がってくることは間違いない。後は、回数を如何に増やせるかという点と、大宮よりも寄せが厳しい守備のチームからそういったパスを出す事ができるかどうかである。

一方で、得点から遠ざかっている14上門 知樹。ただ、組み立ての部分で進化というか持ち味が徐々に出始めている。ワンタッチで、パス方向をかえて、DFの背後のスペースを味方に使わせるプレーなど、視野の広さが、ここに来て光る様になってきた。本人もどう得点をとろうか、どうドリブルで仕掛けていこうか、こういった視点から、どうギャップを作ろうかという意識に変わりつつある。

勿論、プレースキックでは、直接FKで、得点を狙っていますし、隙があれば、判断良くミドルシュートを放っている。ドリブル数こそ激減しているが、球離れの判断は非常に良くなっている。ただ、やはりというか一方では、ドリブルからミドルシュートなどが持ち味でもあったので、そういったシーンが少なくなっているのは、寂しく感じる。

それでも、幸いというか27木村 太哉が、中への動きが増えて来たので、なんらかの形で、左右をスイッチする様なプレーや、ダイアゴナルランで、逆のサイドのスペースに走り込んで受けて、得意右足のシュートの形を作るとか、そういった流れも出てくる可能性もある。数少ない左サイドで、ボールを持った時は、やはりドリブルを仕掛けていたので、サイドが逆になった事によって、プレースタイルも大きく変化してきているように感じる。

時間帯によっては、バイタルエリアのハーフスペースにポジションを取り、得点を奪うためにシュートを意識していると感じることもある。14上門 知樹の41徳元 悠平とのコンビでの崩しや、守備は、安定感があったが、サイドが変わったことで、考えるプレーが増えた。前節の千葉戦こそPKを与えてしまったが、守備意識も高いのも好感が持てる。

2列目の2選手の勢いのあるプレーから考えてのプレーが増えた事で、チームの熟成度が上がっている事を強く感じる。随所にドリブルを交える中で、パスでの崩しに磨きがかかる中で、パスのアイデアが増えてきている。中央での20川本 梨誉や28疋田 優人のフォローもあって、パスの選択肢の優先度が上がっている様にも感じる事で、チームの得点の可能性は、開幕当初とは違った形で、上がりつつある。更なる進化により、60得点を目指すためにも得点力アップに繋がってくれると信じたい。

4、 本当に良い点かどうかの考察

最後に、このツイートについての考察を深める事で、この試合の深堀りをしていきたい。
URL:https://twitter.com/sugi8823/status/1393827218086776834?s=20


・降格圏まで1試合分の勝ち点差の猶予確定。
・4濱田離脱後の初の無失点。
・27木村、20川本、28疋田の躍動。
・7白井、5井上、13金山のフル出場継続。
・28疋田FW、11宮崎シフトといった新戦術の挑戦。

・降格圏まで1試合分の勝ち点差の猶予確定

まず1点目。これは、メリットしか考えられない。主軸に離脱選手が、続出していることにより、若手を試している中で、降格圏という位置に入ってしまう事で、守りに入ってしまう事がある。例え、降格圏に近くても、降格圏でないという猶予がある事で、まだ戦う意識を強く持つことを可能である。降格圏に入る事で、嫌なプレッシャーを受けながらプレーする事で、悪循環に陥る事も考えられるので、この位置をとりあえず、確約されて次節に臨める事は大きい。だが、少しでも上の順位が良い事には、変わりない。

・4濱田離脱後の初の無失点

この試合では、連続した好守というのはまだ少ないが、要所での良い守備は見る事ができた。ここ数試合は、不味い判断による悪い守備が連続していたが、今節では、相手の攻めに対して、対応できるシーンが増えた中で、波状攻撃を封じる事こそできなかったが、簡単に失点しなかった。これは、守備を安定させる上で、大事な事である。不運や凄いプレーが連発する事で、大量失点する事もあるが、ここ数試合は、不味い守備の連続での失点が目立っていた中で、良い守備で、何度か一次攻撃に対応できていて、無失点に抑える事ができたことは、しっかり評価したい。

・7白井、5井上、13金山のフル出場継続

「前置き」

これに、関しては、ツイートによって、貴重なご意見を頂いた。もう少し短く柔らかく返信すべきだった事を、強く反論してしまった事は、個人的な反省点である。この辺り、可能であれば時間ができた時には、フォーカス記事を書くことで、お詫びしたいと考えている。実現できそうなら、なるべく早くまとめたいと思っている。もちろん、結論ありきではなく、デメリットとメリット双方について、言及する予定で、記録も調べる予定である。もしかすると、何度か分割するかもしれませんが、なるべく早く投稿できればと思っている。もちろん、試合以外のフォーカスを考えているが、なかなか手が回らず難しいのが、現実である。

さて、この場でも簡単に触れておきたい。怪我のリスクについて、当然ある事は理解している。これが、もし怪我の多い9李 勇載や26パウリーニョであれば、文句なし悪い点として考えていたが、7白井 永地や5井上 黎生人や、GKの13金山 隼樹のフル出場が続いている事で、良い点と考えた。では、3選手について、言及して行く中で、より深く考察していく。

「7白井 永地」

2019シーズンの水戸で、40試合。昨シーズンも過密日程の中でも38試合出場を達成した7白井 永地の岡山でのプレーを観ていると、ここまでは、ミスが少ないだけではなく、フル出場をする中でも、疲れを感じさせるプレーが少ない。有馬 賢二監督もだが、岡山の監督は、走る事を重視しているので、流れの中で、イージーなミスをした時に、選手を交代する傾向にある。そこをトラップして次に繋げるだけで、好機になる様な場面で、簡単なトラップミスや、シュートを打てる場面で、明らかなミスキックをしてしまった時に、良く選手を交代している。

だから、そういったプレーをした時に、あぁ、交代かなと思ったら十中八九交代している。そういった交代に繋がるプレーが、7白井 永地には、少ない。怪我人が多発している中でも、交代しようと思えば、7白井 永地も下げると思うが、その必要性を感じるミスをしないので、たまたまここまで、フル出場が続いていると言える。

ただ、攻撃にある程度関与するCHとしても守備を強く意識したDHとしても計算できる選手であるのも事実で、役割上オーバーワークになっていると誤解されがちだが、プレーを観ていても持続型の遅筋の多い選手であると思いますので、疲労の溜まり辛い選手かと思います。これが、14上門 知樹や9李 勇載の様にスピードやパワーのある速筋が優れる選手であると、疲労が溜まり易いと言えるでしょう。ただ、14上門 知樹の場合は、疲れにくい速筋の比率も高い筋肉を持っている可能性の高い選手で、比較的長い出場時間を得ていると言えます。

また、7白井 永地は、ここまであれだけハードワークしていても足を攣っていない事を考えても負荷(速いスピードや力強いパワー)の少ないプレーが多く、もしかすると、全試合フル出場が可能な選手かもしれません。ただ、いつもよりミスが多いとか、試合が優位に進めば、下げるのも選択肢の優先度を高める必要はあるのは、間違いない。

そして、7白井 永地のフル出場が良い理由として、チームの核として、出場している事で、チームがある程度、安定して戦うことができた事への貢献度が高い点である。試合勘というのが、練習や練習試合で、高める事ができるのであれば、そういった言葉が存在しない訳であって、公式戦で、長い出場時間を記録している選手を軸としたチームは安定してくる。これは間違いない。後は、怪我へのリスクを考えつつ、巧くバランスを取る事で、巧く舵取りをして良い方向に導いて欲しい。

「5井上 黎生人」

5井上 黎生人に関しては、プレーの内容をみると7白井 永地よりは、怪我のリスクは高い。スピードがある選手で、跳躍力もある。激しい守備での接触プレーが多いCB。強烈なシュートに対して体を張ってブロックしている。負荷のかかるロングパスを蹴っている。そして、初めてのJ2。確かに、こういった点を考えると、怪我しないか心配である。

しかし、初めてのJ2に関しては、早くも適応してきているのが、正直な実感である。シーズン序盤こそ、守備の対応に関してのミスが目立ちましたが、守備への対応(奪取・競り合い)は、良くなっています。ただ、判断ミスというのも少なかったですが、4濱田 水輝の離脱によって、ミスが目立つ様になってきているのは、少し心配な点ではある。

それでも基本的には、試合毎に疲弊しているというよりは、試合を通じて、サッカーを楽しんでいる様にも映っている。成長に成長を重ね、J2屈指のCBになりつつあるのだから、監督も起用したくなると思います。ただ、33阿部 海人の様に足を攣る事もなく、守備での対応で、驚いて慌てて対応するプレーが少ない

これは、視野が広く、プレーの予測に長けている事を意味している。つまり、シュートブロックが多いのもこういった状況把握に優れている事で、負荷のかかるプレーも予め予見できる事で、負荷を必要最低限に抑える事ができる。分かり易く言えば、驚いた時に体が強く反応すると思いますが、それが予見できたものであれば、自然体で対応できる。

5井上 黎生人が、ここまで怪我なく活躍できているのは、彼の持ち味であると言えます。実際に2019シーズンは、J3の34試合でフル出場。2020シーズンは、コロナの過密日程の中で、34試合全試合出場を記録しているので、怪我に強い選手であることは間違いなく、守備スタイルを見ても、相手の攻撃だけではなく、危険なプレーを予見まで出来る選手であり、怪我のリスクは、他のCBよりは少なく、試合出場を重ねる中で、脅威的な成長と驚くべき安定感に繋がっている選手である。

「13金山 隼樹」

13金山 隼樹に関しては、正GKとしての安定感を考えた時に、昨季の正守護神のポープ・ウィリアムと比べて、少し負けてしまっている部分こそあるが、ミスが少なく、ベストな選択が出来ている様に感じる。コーチングも積極的で、現状は、安定感の部分では不動と言え、他の選手も相当なアピールをしないとGKは、このまま行く事になるだろう。

31梅田 透吾も確かに良い物を持っている選手ではあると思うが、20川本 梨誉と同じように活躍すれば、清水へのレンタルバックが、既定路線だと思いますので、スペシャルな選手という活躍が見込めるプレーが練習や練習試合で、発揮することで、アピールができなければ、リーグ戦での出場は、かなり難しいものとなるだろう。

リスクについてだが、13金山 隼樹は、GKなので、上記の2選手よりは、負荷だけを考えると、少ないだろう。ただ、接触プレーが多いので、出場時間とは別のリスクはある。また、チームとしては、このまま13金山 隼樹のフル出場のままシーズンを終えそうだが、一森 純と金山 隼樹の競争したシーズンでは、一森 純の成長が凄かった。そう考えた時に、このままで良いのかというのは、正直考えたい点で、良い意味で、競争原理が働いて欲しいと思う。

「後書き」

まとめていて、ある程度、自分なりにフル出場を続ける3選手へのデメリットとメリットについて、言及できたかなと思いますので、ファーカスの記事にするという話だが、少しトーンダウンしてしまったが、企画としては、面白いので、要検討項目として、今後も考えていきたいと思います。

・28疋田FW、11宮崎シフトといった新戦術の挑戦

まずは、28疋田FWという選択肢に関しての狙いは、28疋田 優人のシュート技術の巧さや、前への守備意識の高さ、思い切りの良いパスやキープ。こういった部分が活きる場面があるので、面白い起用法。確かにプレー時間が短かったが、FWの選手でない以上、長い時間となると、悪い点が目立つ様になってくる。結果を出すというよりは、まずは、実戦導入して、形を作ったという見方が強いと言える。

実際に短い時間でもシュートを打つ場面もあり、得点が欲しい場面での面白い選択肢と言える。そして、前に出て6喜山 康平をボランチに入れる事で、守備の安定が期待できる。今後もメンバーが揃えば、トップ下という1,5列目に近い形で、スタートからのオプションとしても一考の余地がある

次に11宮崎 智彦を左SBとして起用すること。左足でのパスが正確であるので、前節の岡山の2得点目のように、一本のパスで、仕事をできるのは、証明済みである。前掛かりに行くときも簡単にボールを失わないという信頼感もある事に加えて、41徳元 悠平が前にシフトする事で、シンプルに41徳本 悠平のクロスを入れる回数を増やすという効果を期待できる。

確かに、この試合では、評価は、難しいかもしれないが、長期的な視点で考えれば、十分面白いアイデアであることは間違いない。加えて、この試合の攻防が、両チームともある程度、攻守で、良い分が通ったもので、運動量という部分でも消耗が少なく、大宮の交代は、2選手。岡山も3選手に、留まっている。やはり、スタメン組が機能している状態、かつ、疲労が見えない状況で、わざわざ良い流れを崩してまで、選手交代する必要性もなく、得点の可能性も十分あったので、交代が遅くなったのは、妥当な判断である。とはいえ、今後の試合では、早い段階での、この組み合わせを見てみたいとも感じた。

5、 総評(後書き)

対戦チームへの印象について、語っていく事を意識して書いているが、どうしても岡山を応援してしまう当事者という事もあって、第三者視点で観戦するのと違って、岡山を見がちになってしまう。この辺り、私の課題ではあるが、多くの方もそういった不得意分野もあれば、得意分野もある方も多いのかなと思います。

ただ、やはりレビューであるので、客観性を高めるためにも私なりに、対戦チームの印象を少しでもまとめられるようにトライしていきたいと思っている。ここは、間違っているとか、私は、こういった印象を持った。幸いそういった意見を頂けているので、非常に助かっている。そこに対して、今回の「4」の項目の様に、考えを深める事もできた。そういった方々に読んで頂けて、とても有難い。私自身、少しでも良い文章にできるように努めたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

そして、今回のTwitterでの投稿での「フル出場できているから、チームとして上積みができている。」といった安易な私の思考も、怪我へのリスクについて、貴重なご意見があったことで、自分自身の考えをより深める事ができ、新たな発見もあった。こういった思考の世界でもそうであるのだから、サッカーの世界でもこういった繋がりによって、より奥深いものが、サッカーであると改めて、感じた。

今回は、レビューの寄稿が遅くなっている間に、残念ながらコロナの影響により、岡山でも緊急事態宣言が発令し、県からの要請で、無観客となってしまった長崎戦。交通機関を利用して、スタジアムに足運ぶリスク。スタジアムでの入退場の密。お手洗いに並ぶことや、中での密。あらゆるリスクを考えた時に、新型コロナリスクが、かなり大きなものとなってしまった。

一刻でも早く、ワクチンの接種が進み、新たな感染者や死者が、少しでも少なる日を信じて、今は耐えるしかない。本当に我慢の苦しい時期ではあるが、少しでも岡山に元気をファジには、プレーでもたらして欲しい。コロナも収まるどころか、事態の悪化がしているが、長崎戦でも勝利に向けてのひたむきなプレーで戦う姿をファジのイレブンは見せてくれることは間違いない。長崎は、今季こそ、苦しんでいるが、昨季の3位の個の力のあるチーム。難しいゲームになると思うが、大宮戦での無失点を継続しての勝利に期待したい。

文章・図版=杉野 雅昭
text・plate=Masaaki Sugino

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自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。