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2021ファジアーノ岡山にフォーカス30 J2:第26節:ファジアーノ岡山vs大宮アルディージャ(Home) 「実質的には破られた勝利の方程式」

1、 前置き(J2というリーグ)

 前節は、上位に留まり昇格戦線に残ろうとする町田に対して、先制を許すも19ミッチェル・デュークの移籍後初ゴールにより、同点に追いついた岡山。また、このゴールでは、27木村 太哉の2アシスト目だが、クロスでは初アシストを記録。流石に、今季初の逆転勝利こそならなかったが、ある程度守備に意識を回して逃げ切りを図る相手に追いついた事で、チームとしての前進を感じた前節。

 今節は、ホームでの連勝を狙い中断明け無敗継続を目指す中で、4戦負けなしで、浮上の兆しの見える大宮を迎えての試合であった。大宮が、この順位に位置し、低迷と言っても良い順位で、良くJ2で、この順位にいるチームではないという趣旨の話題がでるが、昨今のJ2では、チームの順位に大きな差があっても、実際のチームの実力差は小さく、順位による差は、強さの指標としては、弱くなってきている。

 コロナ下のレギュレーションの影響もあったのも事実だが、今季のJ2では、首位のチームが最下位のチームに負けてしまうという確率は、10年前と比べると、格段に高くなっているのは、間違いない。よって、この順位のチームとは思えないというのは、もはや常識であり、順位とは、昇格と降格に近いか遠いかという数値上のチームの立ち位置という意味合いが強く、強さの指数に直結するとは言えなくなった。

 強いチームが昇格し、弱いチームが昇格することは不変ではあるが、強いチームという定義と弱いチームという定義が変わりつつある。一般的には、開幕前の立ち位置としては、J3からの昇格チームの下の順位が本来は、最下層の筈であるが、J3もレベルが上がり、岡山の5井上 黎生人や今節ゴールを決めた16河野 諒祐を見ても良い選手が多くなっており、金沢や琉球、秋田など、J2定着するチームや、上位に顔を出すチーム、独自のサッカーの展開するチームも増えて生きている。

 もはや、J3から昇格したチームが1年で、J1に昇格することもJ1から降格してきたチームがJ3に1年で降格する事が起きうるリーグである。それでも、クラブの格や歴史を考えると、事件として取り扱われるケースや、快挙として取り扱われるケースに変わりない。それが、今のJ2である。J2というリーグを勝ち続け、J1に昇格するためには、1点を如何に奪い、1点を如何に守るのか。そういった恐ろしいリーグとなったと言える。

 中断前の岡山が、9李 勇載の不在で、得点力不足に苦しんで勝ち点を伸ばせなかったと思うと、中断明けには、19ミッチェル・デュークを補強した事で、チームが勝利するためのピースが埋まり、今までの補強と戦術の浸透と伴って、3試合で2勝1分と別のチームのようになった。もはや、1選手の入れ替わりや出場停止、怪我といったこと全てが、順位に直結しており、そういったリスク管理ができるチームでないと、J2に留まることすらできないであろう。

 そう考えると、岡山は、J1に昇格できていないが、中位もしくは、下位の上のグループとしての立ち位置を最低でも維持できているのは、順位という結果こそ出ていないが、前進していると言える。それもその筈である。同じ順位であってもJリーグの順位の上では、下にいるチームが増えている事で、相対的な立ち位置としては、上がっているのである。

 よって、J1昇格を成し遂げたいのも事実ではあるが、岡山のチームの着実なチーム作りというのは、もう少し評価されるべきであるし、今季のように限られた強化資金の中で、下のカテゴリーからチームに合う選手の獲得や、育成期限付き移籍で、実力があるがリーグのレベルが高く燻ぶっている若い選手の獲得、実力があるが、チーム事情や年齢を理由に無所属の選手を獲得することで、ここまでチームとしての完成度を上げた事は、評価されるべきである。

 こういったJリーグのレベルの向上と、順位という数値上の情報の価値の変化という現実を認識する事により、降格圏に位置する大宮戦で、勝利の方程式である3バックが、内容では何故破られてしまったのか。判定に助けられて結果的に勝利することこそ出来たが、課題が多いという点で、現状の岡山の問題点だけではなく、大宮のサッカーがどれだけ優れていたのか、様々な角度から勝敗と内容と乖離にフォーカスを当てて、この試合を振り返っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

2、 ハリルイズムを感じた大宮のサッカー

メンバー:2021:J2:第26節vs大宮(Home)

「ファジアーノ岡山」
・1トップ色の強い4-4-2を継続。
・内容の良いスタメンは弄らず継続。
・20川本が、10宮崎に代わり久々のリザーブ入り。
・5井上と7白井が、全試合フル出場継続。
「大宮アルディージャ」
・ピッチを広く前から行く4-2-1-3。
・4試合負けなし中の前節のスタメンメンバーを維持。
・4松本に代わり26小島がリザーブ入り。
・8馬渡と10黒川が、全試合出場を継続。

 大宮のようにはっきりと4-2-1-3の3トップというチームは少なく、データサイトをチェックしていると、ショートカウンターでの得点が多いという事が分かったので、大宮の試合をチェックした訳ではないが、前から来るというサッカーであることは予想された。ただ、岡山は、自陣で安定してボールを回せるチームである点や、持てなくても前線での起点を作れる19ミッチェル・デュークの存在があるので、大丈夫であると信じていた。

 しかし、試合が始まってみると、想像以上のハイプレスであった。サッカーとしては、ハリルジャパンとは、メンバーなど細かい部分は違うが、前から嵌めて行く守備で、相手の良さを消していくという基本方針と、縦に速くすることで、自陣でのプレー時間を短くし、守備をする上でリスクを小さくした上で、攻撃に移る時に、ゴールに素早く迫る事で、守備態勢の整っていない所を突いていくというサッカーであった。

 ハリルジャパンと似ていると感じたのは、私の客観性を意識しつつも主観的な印象ではあるが、このサッカーを大宮は、今季から志向してきたのか、それとも霜田 正浩監督就任後にこういったサッカーを志向するようになったのか、流石にそこまでは分からないが、4試合負けなしという結果を残して、状態を上げてきているのも理解できるサッカーであった。

 大宮は、このハイプレスをどう実現していたのかは、卓上でフォーメーションを見た上でも実際のピッチでも分かる点があった。まずは、両WGと両SBの間のスペースである。ここは、基本的には空いているが、攻撃時に1トップの33河田 篤秀の所に収める間にSBも上がり岡山のサイドへのパスに制限を加える。もしくは、両WGの所のスペースを活用し、上りを待たないうちにクロスなどのアクションを起こし、その後の状況を見て対応する。

 基本的には、前の3枚に如何に速く入れて行くという方針だが、速攻と攻撃が失敗した後の守備の瞬間強度を如何に強固にし、プレス網を如何に構築するかという狙いを持った戦いであった。ただ、このサッカーの難しい点は、チームとしての形(バランス保持)ができる前にSBの選手の判断で前に行くか、後方をケアするかという点である。

 岡山が、プレス網を突破しようとする中で、大宮としては、そこを突破させない攻防があるが、そこを突破された後の攻防で、前から行く代償として、岡山に、空きがちであるスペースを使われるリスク。もしくは、スペースを空けている事によって、岡山の攻撃を防いだ後に、大宮自身が攻撃側に立った時に、攻撃上の制約がどうしても生じてしまうので、前に運ぶ過程で、どうしても難しいプレーが増えてしまうリスクをこのサッカーは孕んでいる。

 大宮のこのリスクに対する対策の一例は、SBが中盤とDFラインの中間に位置する時や、前方から戻れなかった時などに、ボランチの1枚もしくは、2枚が、DFラインに下りてきて、ビルトアップに参加し、CBもサイドに流れて、疑似的4バックのDFラインを形成するというものであった。一枚は、良くあるが、2枚もそこに参加するケースもある様に、最終ラインでの守備網や強度、組み立ての安定感を維持する工夫をチームとして意識し、講じてきている。

 この時に、中盤が2枚落ちてくると、ボールを繋いで前に運ぶ時は、中盤より前に運べない事も多くなるが、そこへのパスを選択することもあるが、前述した通り大宮は、基本的には、前の3枚をターゲットにロングパスやミドルパスを入れて行く事で、自陣でのプレーを少なくし、そのパスが通らなくても前に人数を掛ける事で、セカンドボール回収による持続的な攻撃と、岡山の前方へのパスを大きく制限するというサッカーを実現していた。

「大宮のサッカー」
・前掛かりになることでプレスの波を構築。
・縦に速い攻撃で自陣でのプレーを少なくする。
・SBとWGのスペースの使い方と埋め方に工夫。
・中盤とDFラインで流動的に動く事でバランスを保つ。

3、 耐えた事で生まれた先制点

 岡山は、前述の大宮のサッカーによって、岡山の武器であった後ろからの組み立ては、大きく制限された。岡山というチームは、多少の対人守備を犠牲にした上で、足下の技術を重視し、後でほぼボールロストしない事が強みのチームである。しかし、この試合では、ここの所でギリギリのパス回しが強いられてしまった。

 岡山には、31梅田 透吾という足下に優れたGKもいる事で、そこまでプレスを受けることがあっても、DFラインで、繋ぐことが出来ないというシーンは、数えるほどであったが、この試合では、ビルトアップの予防線の筈の31梅田 透吾の所まで、プレスがかかり、ビルトアップの所で、相手のプレスが来て、ファールになるというシーンもあった。

 それだけ岡山の後ろでのビルトアップは、追い込まれていた。ただ、致命的なミスまで至らなかったのは救いであったが、そこまで追い詰められるほど、大宮のハイプレスは素晴らしかった。これにより、岡山の後方から前方へのパス精度やパスの方向は、著しく悪くなり、岡山が得意とする19ミッチェル・デュークをターゲットにした攻撃の有効性は大きく低下していた。

 基本的には、岡山は、大宮の前から行くサッカーの狙いに嵌っていたという状況という認識で間違いなく、岡山の陣地でのミスが許されない対応が多くなっていた。ただ、岡山は、守備的なチームであったという事と、後でのビルトアップが得意であるという事で、本当に危険な手前の所で踏ん張り粘り強く対応した。

 ただ、今の岡山は、怪我人がある程度戻ってきたことでメンバーが揃い、形を作り難い状況でも活路を見出す工夫のできるチームである。前述した大宮の前掛かりになった所を背後のリスク管理の難しいという所を突くという事で、単発であるが、攻撃の形を作れていた。ここまでであれば、1対1という状況を打開するしかないというのが関の山であるが、岡山のハードワークという武器で、均衡を破る事に成功した。

 大宮は、後方の選手が巧くバランスを取って、前に運ぶ所でのミスこそあったが、ゴールを岡山に脅かされる可能性が高いというような不安定なサッカーではなく、岡山側から見ると、プレス網をなんとか突破できたとしても、選手が孤立していることも何度かあり、連動してゴールに迫るという事はあまりできていなかった。ただ、大宮は3トップであり、ある程度前からの守備と速攻を意識して、前にポジションを取りがちであった。

 岡山としては、CFだけでなく、両WGへの警戒が必要で、なかなかSBがサイドを駆け上がって攻撃するというプレーは、選択をし難いプレーではあるが、今季は、チャンスがあれば、ミスを恐れず上がっていくという基本方針を貫いており、長い距離走って、SBがゴール前に飛び込みゴールを狙うというシーンは既に何度かあった。しかも、その形は、SBからSBへのクロスやパスである事が多く、そういったシーンでは決定機になる事が多かった。

 今までは、決める事ができていなかったが、この試合ではついに決める事ができた。しかも、前述した大宮の攻守の波のような勢いあるプレーを受け続けた中でのプレーであり、負担の大きいプレーであった筈である。こればかりは、大宮のサッカーの欠点ではあるが、そのサッカーが悪いのではなく、リスクを冒して攻め上がった岡山の思い切った攻撃の判断が、良かった側面が強い。

 もちろん、この過程で、ボールロストして、サイドのスペースを突かれて失点するという事もあり得た事態である事に加えて、大宮のサッカーもそういったサッカーであるので、前半は、逆の展開となった可能性もある。それでも岡山としても、当然そのオーバーラップを後押しするリスクを管理する対策を、大宮のサッカーのように講じている。

 まずは、シンプルに守備的な負担が多いが、素早い攻守の切り替えによるプレスバックである。これで、少しでも攻撃を遅らせる事ができれば、人数が揃うで、対応できる。また、6喜山 康平を中心とした中盤の選手のスペースをケアするポジショニングによるリスク管理で、隙を小さくする対応で、ここまで、岡山は、堅守を築いてきた。

 実際に、6喜山 康平を欠いた試合では、前掛かりに成り過ぎて、複数失点してしまった試合も多くある。そして、5井上 黎生人と22安部 崇士の中盤の選手のように前に出てのボール奪取や素早いクリアに繋げる機動力や運動量のあるCBの選手の存在も大きい。ただ、SBの選手が得点を決めた様にこの試合での後ろの選手の攻守でのプレー機会は多くなっており、過去最高にタフな試合を強いられた。これは、後半の大宮の勢いとして、岡山の勝利の方程式が結果では維持できたが、内容では破られる事に繋がってしまった。

「岡山の対大宮のサッカー」
・自陣でのビルトアップに苦心しながらも中盤や前線へのパスを配給。
・前線への質の良いパスを出せなかった事で19ミッチェルを活かしきれない。
・自陣での難しい守備の対応が迫られる中でも、粘り強く対応。
・後方のリスク管理した上で、後方の攻撃参加で活路。

4、 先手を打つも限界であった壁の維持

 岡山は、この試合では、ハーフタイムから3バックを採用した。岡山は、前半はリスクを小さくして戦う事も多く、0-0で推移して後半を迎える事の多いチームであるので、先制点を決めるのも後半が多かったチームである。それ故にハーフタイムから勝利の方程式である3バックを採用したのは、恐らく今季初の筈である。

 ただ、これは、時間帯を考えても逃げ切りを意識したというよりも同点に追いつかれる事も想定した予防線の3バックであった。この3バックの意図を整理していく。まず1つ目の狙いは、大宮の交代カードにスペシャルな選手がいるという点である。特に疑惑の判定のあったシーンでのプレーを見ても、4バックのままで、その交代を許して、5バックに移行するのが遅れている間に失点する可能性も十分考えられた。それを未然に防ぐという狙いであった。

 また、岡山では、スムーズに移行できているが、本来ある程度戦えている中でのシステムチェンジは、流れを失うリスクの大きい戦術的な判断である。それを試合前にもミーティングや練習で共有されていると思うが、試合展開や内容を受けて、ハーフタイムに方針や今後のプランを伝える事で、チームとして仮に同点に追いつかれる事や、退場者や怪我というアクシデントに対応する心構えができるという利点がある。

 加えて、岡山が前節に、19ミッチェル・デュークの得点が3バックシステムで追いついたという事も後押ししている。逃げ切り要素の高い勝利の方程式である3バックではないが、勝利にどうやって近づけるか、そういった対応力を意識しての3バックの採用。これが、岡山が、この試合でハーフタイム後に、3バックを採用した主な理由である。

 ただ、ハーフタイムにしっかり準備してくるのは、大宮も一緒で、ハーフタイム後から動いて来る。岡山のプレス網を潜って来る攻撃への大宮の守備の対応は、当然前掛かりになっている事も多いチームであることから、DFラインや中盤の選手の運動量や負担は、重心が後ろにあるチームより大きく、早めに交代する事で、そのリスクを小さくする事と、攻撃により人数をかける事を意識した積極的な交代であった。

 この3バックがどう出たか。それは、後半開始早々に答えに近いものが出た。疑惑の判定によりファールとなり、ノーゴールとなったが、岡山は、ペナルティエリアでの対応を強いられたシーンを作られると、対応した5井上 黎生人が、バランスを崩して倒れたことでフリーとなった所を、33河田 篤秀にシュートを叩き込まれてしまった。

 やはり、あらゆる事態を想定しての3バック採用であったと思うが、ここまでの採用方針が基本的には、守備を安定させるというのを主眼と置いたもので、守勢という受けに回る事に結果として繋がってしまった。大宮のサッカーが、岡山のゴール前のアッタキングサードでのプレーを増やしたいというサッカーである以上、岡山が、カウンターを意識した3バックを採用した事で、大宮の選手が、岡山の陣地でのプレーする機会は必然的に増えてしまう。

 岡山は、そのリスクを覚悟で、後方を安定させる事を選択したが、攻守で効いていた14上門 知樹を引っ張る事で、前線で持つ時間を増やすという選択肢も当然あった。しかし、前半における自陣での守備対応の内容を考えると、それで失点の可能性あった2シーンに近いシーンが、4-4-2でも戦っても作られた可能性が高いと断言できる。それだけ大宮のサッカーの攻撃の迫力は凄かった。

 大宮が、岡山の勝利の方程式である3バックを内容で破ったのは、大宮のサッカーが、相手陣地でのプレー機会を増やすという狙いが強いものである以上、リードしている側が、重心が後ろになりがちなチームに対して強いというビハインドに強いサッカーと言える事も関係しているが、それだけではない。

 実は、町田戦でも失点に近いシーンが何度かあり、どちらかと言えば、19ミッチェル・デュークの加入により、ミッチェルプレスにより前から行く守備の強度が高まったことで、チームとしてのハードにプレーが求められるサッカーとなり、ハードワークする時間が長くなった事で、消耗具合が高まり、試合終盤において、前のような安定感を発揮できなかった側面は少なからずある。

 前線で持てる時間がある程度あれば、もっと落ち着いてゲームを進める事もできたかもしれないが、大宮は、ボール奪取後に前線にという意識が高く、そこを岡山が跳ね返すという事ができない攻撃の質を大宮の選手が持っていた事で、術中に嵌っていたと言える。それだけに判定に助けられた側面が強く、同点に追いつかれていた時に、反攻に移る余力が岡山に残っていたかどうかも怪しい。

 この試合では、大宮のサッカーが、ビハインドの状況でも強い事と、大宮のサッカーに対して、岡山が、消耗の大きいサッカーを前半から展開していることに加えて、やはり、3バックの攻撃的な狙いであるカウンターで、追加点を奪えなかった事で、ゲームをかなり難しくしてしまった。これは、前半の先制後にも言えた事であるが、先制後に大宮の動きが少し悪かった時間帯に畳みかけることが出来なかった事も、このチームのJ2での戦いの歴史を見ても一貫して抱えるこのチームの課題である。

 良くも悪くも一点差ゲームとなる試合が多い岡山というチームは、前置きでも話したが、J2リーグのレベルの向上の中でも粘り強く勝ち点を目指して戦って来たが、その中でもやはり加点を奪えるゲームを如何に増やす事ができるか、そこも守備の安定や試合をコントロールする戦いの中で、J1を目指すために必要なことの1つである。

「新たな岡山の課題」
・勝利の方程式と言えた3バックの優位性の相対的な低下。
・未だに出ない追加点をなかなか奪えない事への明確な解答。
・チームとしてハードに戦う上での終盤の消耗。
・勝利の方程式のアップグレードをどう図るか。

5、 総括(前進)

 多くの課題を突き付けられた大宮戦だが、岡山は、こういった試合で負ける事が多かった。健闘するも届かなかった。そういった引き分けや敗戦というのは多くあるが、終始ほぼ劣勢という試合の中で、最終的に勝利に持ち込めた。判定に助けられたのも事実であり、昇格は、現実的でない中での勝利ではあるが、こういった苦しい試合で、しっかり勝ち点3を掴む事には意義がある。

 そして、この勝利は、チームとしての前進を感じる試合であった。中断後の山口戦と町田戦との内容を比べると、トーンダウンしたのも事実ではあるが、終始劣勢の中に岡山の良さを出せた。粘って1チャンスというのではなく、戦術と個の融合した大宮に対して、組織的に劣勢の中で、シュート数で大宮を上回った。

 個でも戦える岡山。そういった試合となった。19ミッチェル・デュークの存在も大きかったかもしれないが、チームとして、1チャンスを活かせるスペシャルな選手に近い選手が揃ってきたのも大きい。もちろん27木村 太哉のように押し込まれた時間でも前線でドリブルによりゴールに迫るだけではなく、押し上げる時間を作れた選手も、攻守の貢献も大きく、チームの勝利に貢献度は大きかった。

 20川本 梨誉も19ミッチェル・デュークが下がった中で、チームが守備に比重を置いていた時間であった事もあり、持ち味の攻撃ではなく、前から献身的に守備をサボらず走り続けた。チームとして戦うことを基軸とした岡山に、個の力の選手が揃い始めた事で、岡山というチームが前進できた。そういった中断後の3試合となっている。

 次節の対戦相手は、最下位から脱出するも依然として降格圏内で、大宮と同様に最後まで粘り強く戦ってくることは間違いないチーム。岡山としても降格圏に巻き込まれる可能性も否定できない立ち位置で、負けられない一戦。その北九州は、失点が多くなってしまっている事で、勝ち点3に届かず、敗戦が重なり、引き分け止まりの試合も多くなっているのが、現状ではある。その一方で、着実に得点を記録しているように、攻撃では、高いパフォーマンスを発揮しており、難敵と言える対戦チーム。

 岡山は、ここ3試合で、着実に勝ち点を積み重ね、19ミッチェル・デューク効果が出ており、中断前では少なかったクロスからの得点が早くも2得点。クロスを入れて行く意識、ロングパスを入れて行く意識、前から行く意識などの向上、こういったチームの変化が、結果的に2勝1分という結果に繋がっているが、対策をされて行く中で、この辺りが内容や結果に、どういった影響が出てくるのか未知数であり、今後は、その中で、どう結果を出すかを問われてくる。

 チームとしても内容の維持及び向上させるために準備して毎試合臨んでいくと思うが、サポーターの1人である私もこういったレビューを書きつつ、勝利を信じて週末を待つ。負けていても次の試合はと思うことが多いが、やはり、サッカーは分からない。だからこそ次は、どういった驚きがあるか楽しみなスポーツである。

 有馬 賢二監督の采配は、読めるというか理に適っている事が多く、負けている時での不満は、個人的には少ない。選手にもチャンスを与える事も多く、時には、意表を突いた起用法もあり、サッカーをより楽しむことができる監督である。勝利の方程式の3バックの改善や、既存選手を起用法の工夫を含め、どういった試合を魅せてくるのか。次の試合も注目したい。

 最後に、19ミッチェル・デュークが、オーストラリア代表に招集されれば、隔離期間を考えると、19ミッチェル・デューク抜きで、長い期間を戦う事も考えられる。39ブレネー・マルロスが、練習試合でゴールを決めた様ですし、ファジアーノ岡山としては、戦い方の違う2チーム作るイメージで、チーム作りをしないといけないが、有馬 賢二監督なら、上手くやってくれると信じたい。

文章・図版=杉野 雅昭
text・plate=Masaaki Sugino

ファジ造語

「ファンタジスタシステム」
2トップに技術のある選手を据えて、中央にポジションをとる。中央を通そうとするパスコースを制限し、サイドへ出した所を狙う。そこを突破された後も、粘り強く守り、ボールを奪ったら2トップにボールを集め、技術のある選手が攻撃に移った時に、2トップの傍にいき、技術と創造性を活かして、ゴールに迫るやや攻撃よりの作戦。
「ミッチェルプレス」
速さ・高さ・強さ・巧さ・持続力によって、19ミッチェル・デュークがプレスを繰り返して行く中で、攻撃的なMFが追随する中で、相手のパス回しの自由を大きく制限する。また、後方の選手もハイライン、中盤もコンパクトに保つ事で、高い奪取力を発揮する。ただ、チームとしての消耗も大きく、19ミッチェル・デュークの1トップ時しかできない作戦。
「勝利の方程式」
リードした場面で、4バックから3バックにシステム変更し、重心を完全に後ろに置く分けではなく、中間に位置をとり、遊撃に専念しつつ、カウンターにより追加点を狙う。スペースを空けずに、岡山の守備時の集中力や献身性を活かし、守備にハードワークし、攻め手側のミスを誘発させて、時間を稼ぐことで、同点や逆転のリスクを小さくし、逃げ切る作戦。

公式動画
【8月21日大宮アルディージャ戦】DAZNハイライト
は、こちら(別サイト:YouTube)。
URL:https://youtu.be/1iFK2W0WocI

公式コメント
J2第26節 大宮アルディージャ戦 監督・選手コメント
は、こちら(別サイト:ファジアーノ公式HP)。
URL:http://www.fagiano-okayama.com/news/p1473056891.html

選手コメント
は、こちら(別サイト:Jリーグ.jp)。
URL:https://www.jleague.jp/match/j2/2021/082113/live/#player

監督コメント
は、こちら(別サイト:Jリーグ.jp)。
URL:https://www.jleague.jp/match/j2/2021/082113/live/#coach

レポート
は、こちら(別サイト:Jリーグ.jp)。
URL:https://www.jleague.jp/match/j2/2021/082113/live/#recap

公式マッチレビュー
8/21・岡山戦 マッチレビュー
は、こちら(別サイト:大宮アルディージャ公式HP)。
URL:https://www.ardija.co.jp/match/2021/j2/26/review.html


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