2022ファジアーノ岡山にフォーカス17 J2:第12〜14節:vs熊本(A)〜秋田(A)〜東京V(H)「勝利への胎動」

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 4-4-2を基本システムに変更後に、チームは攻守の安定感を手にすることが出来た。しかし、これは、4-4-2が、4-3-3に勝っているという結論ではなく、一つの線で繋がっている。

 チームとして、着実に成長しているからこそであり、開幕戦から別チームの別の選手のようなプレーができるようになっており、選手の成長とチームの成長を、着実に続けてきた。

 4-4-2に替えたから良くなった点ももちろんあるが、4-3-3へトライしたことも今の強さには必要であったと、筆者は考えている。

 今回は、3試合の岡山の戦い方から、岡山の成長を考察していく中での、持論という形ではあるが、一つの文章としていきたいと思う。それでは、よろしくお願いします。

1、分散と個人の攻防(対熊本)


 熊本の大木監督が、試合後に、強い語調とも感じ取れるインタビューに濃縮しているように、攻守での独自スタイルを確立している。琉球のように、ピッチを広く使っていくスタイルではあるが、どちらかといえば、バランスを重視しているサッカーであった。

 解説の方が言っていた『人に付く守備』を敢行する上で、ピッチに分散するというのは、ネガティブトランジション(攻撃→守備への切り替え)の時には、組織的な対応力に繋がる。人に付く=マンマークという意味合いが強いと思われるが、密集していれば、誰が誰に付くかが、混乱するだけではなく、展開された時に混乱の収束がつかなくなる可能性があるが、分散していればマークする相手が明確になりやすい。

 しかし、当然デメリットもある。攻撃が重くなりがちになるということである。ポジティブトランジション(守備→攻撃への切り替え)が、巧く行くためには、選手の距離感が重要になる。インターセプトであれば、フリーになるケースもあるが、直接ボール奪取した場合には、当然奪われた選手が近くにいる。岡山でも19木村 太哉、15ミッチェル・デューク、8ステファン・ムークといった選手は、再奪取を試みようとするシーンを何度も見たことがあるはずである。同時に、ポジティブトランジションで、近くに選手がいて預けて、速攻を仕掛けるというシーンも何度も見てきているはずである。

  しかし、熊本の場合は、分散することで、トランジション自体の組織レベルの流動性ではなく、個人レベルの流動性での攻防を主眼に置いた戦い方で、当然、両チーム得点を奪うためには、一旦エネルギーを溜める=組織レベルの攻撃を敢行するために、距離感を整理していく必要がある。

 岡山は、個人レベルで仕掛けることのできる選手もいたが、やはり熊本に組織レベルでの綻びが、生じにくいことから攻めあぐねることとなった。個人レベルから組織レベルのポジティブトランジションを生み出すために、前から連動したプレスを仕掛けていくことで、熊本の攻略に動いた岡山。

 個で戦うサッカーを主眼としている以上、そこに自信がある熊本。ただ、今季の岡山は、そこで勝負できる選手が揃っている。相手が100%の状態であっても岡山は、個性で対抗できるのである。有馬ファジであれば、前半は様子見して、消耗した後半勝負という試合も多かったが、今季の木山ファジは、そこでも勝負できるフィジカルの強さとテクニックの巧さを持っている。

 そうした中でも、先制ゴールからサイドを攻略して中(ペナルティボックス)で仕留めるというシンプルな攻撃パターンに特化していることもあり、ミドルシュートという武器で、分散していて、個人レベルの対応と個人レベルの剥がしかなかなか作れない状況では、有効となるが、そういった選手がいないことで、なかなか決定機らしい決定機を作れない試合となった。

 そういった両チームの攻撃の攻略のヒントは、「サイド攻撃」と、「ダイレクトプレー」にあった。個人で付くということは、カバーリングが遅れやすいことにある。よって、そういった遅れを突いた攻撃が出来た時に、いい形が作れていた。14田中 雄大の得点もまさにそういった形である。熊本も回数は限られた中で、サイド攻撃ができる人数が揃った時の切れ味は、J3での勢いそのものだった。熊本の同点ゴールは、先程話をした距離が近いが形的にはミドルシュートの得点から生まれた。

 引き分けに終わったが、岡山としては熊本の両チームの組織レベルの流動性を小さくするが熊本の持ち味である繋ぐサッカーを、岡山の4-3-3で培った奪い切れるプレスで、大きく制限することで、互角の戦いに持ち込むことが出来た。岡山は、自分達の形で先制することが出来たが、岡山の運動量が落ちて、岡山の前線からの守備へのパワーが落ちて来たところを熊本が押し込んで、同点ゴールを決めるという痛み分けの引き分けとなった。

 熊本としては、自分達のしたいサッカーを出来ていたが、岡山の力技とも言える勢いやパワーに、なかなか思い通りに試合を進めることが出来なかった試合と言える。ただ、90分の戦いであるので、岡山の後半のパワーダウンする時間帯に攻勢に出て追いつくことが出来るのが、熊本の強さに感じた。

 岡山としては、前線のパワーや運動量を後半に維持しようというここまでの采配であったが、その交代により、追加点を奪う得点力や攻撃に移らせない手厚い攻撃ができなかったことで、この試合でも勝ち点3を手にすることはできなかった。

2、力と力の攻防(対秋田)


秋田といえば、運動量の多さと、高さや強さといったテクニックより、フィジカルに特化した独自スタイルで、昨季は秋田旋風を起こしてきた。今季、ここまで振るわないというよりは、J2のレベルが高くなったことで、結果的に上位に位置していないだけであり、横浜FCを除いて、大混戦の序盤から中盤のリーグ戦となっている。この辺り、良い時期に当たるという運も絡んでくるので、そこを含めて、強いチームが昇格することができる。

 その秋田に対して、今季の岡山はパワーでの真っ向勝負を挑んだ。有馬ファジであれば、相手の良さを消すために、自分達の戦いを変えることで、どんなチームに対しても五分五分の勝負ができるチームであった。木山ファジは、どちらかといえば、相手のサッカーに乗って、その土俵で勝負することが多かった。多少のサッカーの違いがあるものの自由を制限して、個を消すというよりは、相手が、どんなサッカーでも自分達の強みと、得点パターンで、勝負する。

 両選手の1つ1つの攻防において生まれるプレーは、力強かった。五分五分の攻防と行って差し支えない。岡山は、23ヨルディ・バイスのロングパスと、15ミッチェル・デュークの高さを全面に押し出していくサッカーである。19木村 太哉は、一瞬のスピードと、倒れない抜群の体感で、相手選手を抜いていくことが出来る選手であるが、この試合では、秋田の選手にしっかり対応されていた。それだけフィジカルに、自信を持っている強いチームである。

 しかし、その秋田をもってしても前線における15ミッチェル・デュークを抑えるというのに骨を折り、武器としている奪ったら徹底したロングパスに、前線で競り勝って、こぼれ球から波状攻撃や速攻を仕掛ける攻撃も5柳 育崇の高さや強さ、23バイスの高さや対人守備の強さで互角の攻防を強いられたことで、イニシアチブ(主導権)を握るまでには至らなかった。

 両チームが懸命に得点を目指して攻めるも、流れの中で得点が生まれるほど、柔かい壁ではなく、試合が動いたのはセットプレー(攻城兵器)であった。岡山としては、本来武器にしたい形ではあるが、なかなかセットプレーの機会が作れず、精度や連携を含めた、セットプレーの完成度が極めて低かったことで、なかなか思うような成果を出すことが出来ていなかった。

 この試合では、力と力の攻防であったために、競り合うシーンが多かった。そういった試合で、27河井 陽介を休ませるというのは、合理的な判断であった。ロングスロー、ロングバス、セットプレー、フィジカルコンタクトが、至るところで、その攻防は繰り広げられた。インテンシティ(プレー強度)やデュエル(球際)といった言葉があるが、まさにそういった攻防であった。ただ、その攻防は非常にフェアであった。この辺り、J2のレベルも向上し、心技体に優れた選手が増えたことで、的確な判断のプレーや、正確な守備、90間走れる体力など、本当に技vs技、技vs力、力vs力技といった五分五分のエキサイティングな試合が増えてきた。

 また、この試合で、前線の運動量や守備強度ではなく、後方の守備強度を現状の岡山での最硬度の守備ブロックを構築した。5柳 育崇、23ヨルディ・バイス、3阿部 海人を3〜5バックを状況によって、変化させる強いが柔軟性のあるDFライン。中盤に、4濱田 水樹を守らせることで、DFラインが2つあるような守備の壁を作った。秋田も黙っていない。守勢に回る岡山に攻撃の圧力を強めていく。岡山は、跳ね返し続けていたが、セットプレーで秋田のGKである21田中 雄大が、まさかのオーバーヘッドシュート。枠にしっかり飛んでいて、しっかりボールを、芯で捉えた強烈なシュートであったが、13金山 準樹のファインセーブで、事なきを得た。GK離れしたシュートが、示す通り最後まで秋田らしい高い身体能力は、脅威であった。

 ただ、そこに対して、しっかり準備していたことで、逃げ切ることが出来た。秋田に対して、まさかフィジカルコンタクトで勝負していくことを岡山ができる日が来ることを一年前は、想像することは出来なかった。15ミッチェル・デュークの強さにも負けないイ・ヨンジェのコンディションが、良い状態でJ1の舞台で戦えなかったことが、今となっては寂しい。秋田戦で、同点に追いついた時のイ・ヨンジェの複雑な感情が折り混ざった表情は、今でも鮮明に思い出される程、印象的で、再び涙腺が少し緩くなりそうになった。だからこそ、このメンバーで、少しでも高い舞台で、戦いたいと毎シーズン願っている。今季こそは強く思う。

 そして、それは秋田も同じであるだろう。J2に来てもぶれない秋田スタイル。強化方針も徹底していて、今季はより強力になっている印象を持った。勢いのあった21シーズンの琉球の監督であった樋口 靖洋氏に、「サッカーをやったという気がしなかった」という言葉を引き出した。これを意訳して、言い換えると、長くなるが「ロングパスを主体として、フィジカルを全面に出すサッカー(秋田style)に、全く対応することが出来ずに、基礎技術の巧さを全面に出すサッカー(琉球styl)をやった気がしなかった」である。

 しかし、この試合では100%に近い秋田styleを引き出すことが出来たのではないか。ただ、両チームは、1試合を重ねる毎に、101%と102%と前進していく。ホームでの秋田戦では、岡山styleを確立して、「岡山style vs 秋田style」の対戦を楽しみにしている。どういった結果になっても、岡山サポーターに挨拶に来る岡山の選手だけでなく、岡山のサポータにも挨拶に来る秋田の選手や監督に、健闘を讃える拍手を送る日を楽しみにしている。負けても勝っても引き分けても、選手の表情から勇気を貰える。それが、プロスポーツである。

3、自由を巡る攻防(対東京V)


 この試合は、知り合いのジェフサポも死闘と表現した大熱戦であった。それもその筈である。岡山は、27河井 陽介と、41徳元 悠平。東京Vは、16山越 康平と、6山本 理仁が、アクシデントで下がるという非常にタフな試合であった。これは、決して足の裏を見せてのタックルや膝が顔面に入ったとか、ボールではなく選手に行くといった悪質なプレーによって、交代を余儀なくされた訳ではない。両チームの実力が均衡しているからこそ、こういった結果になったのである。

 東京Vのサッカーは、繋ぐ&仕掛けるという基礎技術と判断力の双方が求められるかつて一斉を風靡したセクシーフットボールのようなサッカーである。4-3-3を採用している通り、サイドから仕掛けることが出来る選手を擁していて、岡山も目指していた。一人突破して、中に飛び込んでくる選手に合わせるというもので、差し支えない。サッカーの方向性やチームの一体性といった4-3-3の攻撃の完成度は、岡山の4-3-3よりは、やはり高いものがあった。

 ただ、岡山と似たような課題があるように感じた。ビルドアップの所で、嵌められそうになるシーンが何度かあった。実際にGKの横パスを15ミッチェル・デュークがカットして惜しいシーンを岡山は作ることが出来ていたからである。こういったミスは、東京Vレベルでも生じるということを考えると、川崎の強さと、日本代表の元川崎組の凄さを改めて感じるところである。

 こうしたシステムの難しさを岡山は知っているからこそ、岡山は積極的に前からアグレッシブに、プレスを仕掛けていく。有馬ファジでは、4-4-2と言えば、受けてパスコースを制限していくというサッカーであったが、木山ファジのサッカーは、19木村 太哉のFW登録が示す通り、4-3-3のサッカーの前から嵌めていく守備と、前線に人数をかける攻撃。この2つを二本柱とした攻守において積極的な4-4-2である。システム予想は、4-2-3-1となっているが、15ミッチェル・デュークと8ステファン・ムークが、プレスを二人で連動してかけている点と、攻撃では15ミッチェル・デュークの周りで8ステファン・ムークが、こぼれ球に反応する準備をしている。正確に表現すると、4-2-2-1-1の4-4-2が近いと解釈している。この辺り、観る方の感覚によって、差異が出ることは致し方ないが、大きな問題ではなく、解釈の違いでサッカーの数字では語れない奥深さであり、魅力である。

 さて、こうした攻防の結果、どういった内容のサッカーになったかと言えば、東京Vの選手が余裕を持って、ボールを保持する時間を岡山が、与えないことで、東京Vに、危機を回避するための緊急的なロングパスや、チームとしての前進を大きく阻害することに、成功していた。その結果、前半の東京Vのシュートは、僅かに一本であった。メッセージ性のあるロングパスをなかなか前線に配給できなかったことで、5柳 育崇と、23ヨルディ・バイスの厚い壁に弾かれ続けた。

東京Vのシュートが、前半に1本になった理由は、これだけではない。東京Vのプレスのスイッチの位置が低く、プレスを掛けに行く回数も少なかったからである。この結果、23ヨルディ・バイスや5柳 育崇のロングパスを余裕を持って前線に蹴ることが出来た。当然、両SBが高く上がることが出来るので、23ヨルディ・バイスと、5柳 育崇が、左右に開き、角度をつけたロングパスを入れることが出来た。27河井 陽介もフリーであったが、16河野 諒祐が、WGのような位置取りをすることで、そこへ通してチャンスを何度も作ることが出来た。15ミッチェル・デュークの通算3ゴール目となるこの試合の2得点目に、繋げている。

 東京Vも攻める時間帯もそれなりにあったが、岡山の攻撃のように高い位置で、フリーの選手が作れなかったことで、結果的にシュート数に、差が出ることとなった。あわやオウンゴールというシーンこそあったが、岡山が、攻守で一つ前に押し込むことが出来ていた。

 東京Vの選手の自由を制限しようとするプレーは、前線からのDFラインまで、徹底されていた。7チアゴ・アウベスが、常にゴールを狙っているように、各選手が常にボール奪取や、スルーパスなどを狙っている。こうした狙いを持ったプレーを、岡山が多く作ることが出来た。仮に、こうした狙いの一つを掻い潜ったとしても次の狙いが待っている。SHやCH、SBといった選手の守備が際立ってよかったのも、東京Vが、岡山の狙いをなかなか振りほどくことが出来ていなかった証左である。

 こうした攻防は、両チームの選手の体力を消耗させ、判断力を鈍らせていくこととなる。ペース配分をあまり考えず、出し切るというのがここまでの岡山の戦い方で、自由に戦いたい東京Vと、自由にさせないことで自由に戦う岡山という構図であった。自由にさせないことができる時間に、19木村 太哉が、ボールを奪いきって、8ステファン・ムーク、15ミッチェル・デューク、14田中 雄大の先制ゴールの形も攻守の人数の掛け方は、理想的であった。

 ただ、自由を制限できなくなった時間帯の岡山が、今度は守勢に回ることとなる。7チアゴ・アウベスは、どちらかといえば、15ミッチェル・デュークと違って、前から行くのではなく、カウンターで得点を狙うプレーや、パスカットを狙う守備を行うスタイルの選手である。そのため、東京Vが、前を向いてメッセージ性のあるパスを入れることが出来るようになっていた。岡山のゴール前のプレーがどうしても増えるようになっていく中で、ファーストディフェンスが遅れて、1失点を許した。

この試合では、4濱田 水樹がリザーブメンバーに名前はなく、跳ね返すのではなく、3阿部 海人を投入しての3バック採用。そして、24成瀬 峻平と、39白井 陽斗を投入することで、前線の運動量と、バランスを取ることで、なんとか東京Vの反撃を凌ぎ、2-1で逃げ切った。

 この試合では、2得点決めることが出来たことが、勝因と言っても良い。ハードワークできる時間と、ハードワーク出来ない時間帯の攻守での前に押し上げる力が著しく落ちる。ここをどう乗り切るか。もしくは、どう追加点を奪うのか、これが岡山の今後の課題と言ってもいい。

 一方で、90分間で長い時間に渡って、東京Vに攻撃させることを許せば、岡山はもっと失点していたと感じる程の攻撃時の人数も揃っていて、ボールを何処で奪えば良いのか分からない練度と迫力を感じた。伝統の東京Vスタイルをどう封じるか、そこが勝敗を分けるポイントとなった。

 終盤のアクシデントは、両チームの勝利に向けての全力のプレーの結果であり、責めることはできない。それだけに、そういった形で、下がることとなった両チームの選手が、大きな怪我でないことを祈るばかりである。勝利が、嬉しいが、心から喜ぶことが出来ない気持ちがあるが、試合はまってくれない。この連戦を、どう乗り越えていくのか、信じて応援していきたい。

4、木山ファジの成長


 開幕戦の時の木山ファジと、現在の木山ファジとの大きな変化を最後にまとめて、本レビューを終えたい。

開幕戦と比べて変化した点
①4-4-2(4-2-2-1-1)への変更。
②5柳がカバーリングで、23バイスが前に行く守備の関係性を構築。
③CBが、左右に開き、SBが上がり、中央をCHがカバーする形を攻撃時に目指す。
④15デュークと8ムークが、前からプレスを嵌めていく形を採用し、後も連動。
⑤全体的に、パスが通る前の所や、ボール保持者へのアプローチ意識がより高くなった。
⑥2CHで、ビルドアップの安定と、守備の厚みができた。
⑦23バイスと27河井が、パスの配給する選手として攻撃を牽引。
⑧15デュークをターゲットに、こぼれ球からゴールに迫る攻撃。
⑨意思疎通や役割分担が整備されてきて長所が目立つようになってきた。
etc.

残る課題
①追加点を決めるというカウンターの練度。
②試合のクローズ(被シュートを抑える守備ブロック構築)
③90分間でのペース配分や戦い方
④戦術的な幅や、対応力向上による安定感。
⑤ビルドアップや守備対応のミスを少なくする整備。
⑥さらなる選手のフル活用。
⑦決定機の多さを得点に、より繋げるための細かい修整や攻撃回数増。
⑧15デュークが不在時の明確な戦い方の確立。
⑨相性やプレースタイルを活かせる選手の組み合わせなどの模索。
etc.

 高い完成度を誇った有馬ファジの終盤戦と比べて、まだまだ荒削りな印象こそあるが、毎試合大小の試行錯誤を繰り返すことで、課題クリアに迅速に対応できるrチーム作りをしている。本来であれば、同じ形で壁に当たることが多いが、木山ファジでは、試合毎に、変化があり、同じ形の課題は、少なくなってきている。

 結果的に、チームの総合力が高まり、全選手で戦っている感は強い。有馬 賢二前監督の時は、冷静だけど熱く、一緒に戦って心でチームを牽引してきたが、木山 隆之監督は、常に冷静で、チームを知で牽引しているように移る。

 16河野 諒祐が、この試合で躍動したように、親交のある有馬 賢二前監督のサッカーに、木山 隆之監督が、木山色と新戦力の融合させていく中で、チームが強くなっていることを感じる。今後のチームの躍進を信じて応援していきたい強く思える。

 そして、27河井 陽介と、41徳元 悠平選手を、1試合でも早く、試合でプレーする姿を見ることができる状態であることを祈りつつ、長期離脱中の1梅田 透吾の一日も早い回復など、怪我で離脱している他の選手も、一日でも早く復帰できることを願うばかりである。怪我が出てしまうことは、スポーツなので避ける事はできないかもしれないが、そういった苦境に陥っても、チームとしての一体感が出てきた総力戦で、これからの連戦を乗り越えてほしい。

文章・図=杉野 雅昭
text・picture=Masaaki Sugino

ファジ造語


チアゴ・タイム
 7チアゴ・アウベスのプレーの一つ一つにサッカーを楽しむという遊び心があり、そこに技術が伴った左足の凄さを称えて「悪魔の左足」と、呼ばれている。その左足を活かして、何処からでも何時でも狙っていて、7チアゴ・アウベスが出場している時間帯は、岡山の大きな得点源と言える。

本山丸(イメージは真田丸)
 大阪の陣で、大阪城に迫る徳川の軍勢に対して、真田丸は、大阪城の弱点を補う出城として築かれた。23ヨルディ・バイスと5柳 育崇の弱点は、釣り出されたときや、スピードであるが、26本山 遥かが主に、そういった守備対応をすることで、3選手の良さをお互い引き出すことで、守備が安定して、堅守を構築に繋がっている。

参考
2022ファジにデータでフォーカス2
「中盤の真田丸(本山丸)」
2022 J2第2節 岡山 1-1 徳島 レビュー

は、こちら(別サイト:SPORTERIA)。
URL:https://sporteria.jp/blog/sugi8823/6905499896963403777

ヤバス要塞
 語呂を意識して、5柳 育崇の「ヤ」と、23ヨルディ・バイスの「バとス」の二文字を抽出して、「ヤバス要塞」と、表現した。防衛において重要な地点の砦。砲台もある砦のことも指す。高い対人守備だけではなく、ロングパスの精度やセットプレーの得点力があり、まさしく要塞と言える。攻守で強みを発揮できる「ヤバス要塞」として、難攻不落を目指す。

梅田アウォール
 ファジの最後の壁。ファイアウォールに比喩した表現。戦術や個の力、連動性といった攻撃で、ゴールを狙ってくる様々な攻撃をシャットアウトする。そして、バックパスの受け手として、フィードや組み立てる一人として、パス交換(情報通信)。後方からの冷静なコーチング(情報の発信)。多くの情報を整理し、最的確な決断ができるGKである1梅田 透吾の良さを表現したファジ造語。

0バックシステム
 攻撃的で積極的なオーバーラップや得点力のあるCBである5柳 育崇や23ヨルディ・バイスのCBの2選手と、SBが本職である26本山 遥といった流動性のあるDFラインを形成することで、攻守において、自由に動くことで、攻守での手厚い状態を作り、数的不利になりがちな局面で、数的有利の攻撃シーンを演出し、守備でも積極的なアクションで、事前にピンチの芽を摘み、流動性から生じる集中力と緊張感から、カバー&フォローで、リズムを作り出す戦術システムのファジ造語。

木山ファジVer1
 2022シーズンの開幕からトライした新システムの4-3-3。超攻撃的なサッカーで、7チアゴ・アウベスを軸とした、自由と個の力を前面に展開していく。選手のコンバートやルーキーの積極起用で、勢いと爆発力があった。攻撃だけではなく、前からの守備でも効果的で、嵌める・奪うから得点に繋げることのできた試合もあった。ただ、対戦チームの対策が進む中で、勝ち点3が遠く、順位を下げて行く中で、4-3-3の戦術的アップデートの一時中断からの路線変更を余儀なくされた。

木山ファジVer2(アップデート予定)
 10節という節目で採用された4-4-2。4-2-2-1-1とも言える形で、4-2-3-1とも言えるが、ダブルボランチを採用することで、攻守での安定感が高まった。有馬ファジの4-4-2とは違い攻撃的な選手と、ロングパスの得意な選手が多く、速攻を主体として、速さ・強さ・高さを前面に出して、ゴールに出したことで、今季のメンバーに寄せた4-4-2である。今後どういったマイナーアップデートで、Ver1(4-3-3)の土壌を活かして、勝ち点3に繋げて行くのか注目される。

小さな巨人
 14田中 雄大は、162cmという小柄な選手であるが、自分より背が高く屈強な選手達からボール奪取する力強い守備ができ、頭でも得点を狙える選手。プロサッカー選手としては、小柄な選手の部類となるが、逆にそこを強みにしたプレーで、大柄選手に負けないアグレッシブプレーができる。まさに小さな巨人で、そのプレーぶりは、試合を重ねる毎に、大きくなってきている。


筆者紹介
 某ゲームから野球派からサッカー派へと移籍。当時チーム名が、ジェフユナイテッド市原であった現ジェフユナイテッド千葉に興味を持つ。オシム(監督)と阿部 勇樹(選手)を中心にJリーグと代表をチェックしてきた。2008年より地元クラブであるファジアーノ岡山のサポーターデビュー。そこから、多くのファジの試合を見てきた。忘れることのできないエピソードが年々増え、シーズンを重ねる毎に想いは強く深くなり、2021シーズンは、初めて号泣。心からサッカー好きで、戦術の奥深さや、プレーの凄さなど、サッカーの本質での攻防にフォーカスを当てて、客観性と冷静さを意識した文章を投稿している。そのレビューへと突き動かす原動力は、サッカーへの情熱。熱さと冷静さを兼ね備えたフォーカスを今後も目指して、投稿を目指していくことで、サッカーの魅力の発信と、サッカーを通じた交流による、感動の共有と縁の繋がりが、楽しみ。ただ、たまに調子に乗り過ぎて失敗する悪癖もあるので、治したいとは思っている。そんな私ですが、noteやSNS、スタジアム等で、交流できたら嬉しく思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。