見出し画像

2021ファジアーノ岡山にフォーカス27 J2:第23節:ファジアーノ岡山vsザスパクサツ群馬(Home) 「再開前にみる群馬戦レビュー」

1、 前置き

東京五輪のために中断期間に入る前のJ2リーグ後半戦2戦目。前半戦ホームで勝利をなかなかできなかった岡山。ここで良いイメージを持って、再開後に繋げたかったが、悔しい気持ちを抱いたまま中断期間に入った。良い内容をしながら勝利に届かない。そういった今季の前半戦を象徴する敗戦であった。

 「またか・・・。」そう感じたサポーターも多かった筈である。選手自身悔しいと思うが、これだけホームで勝てないと、スタジアムから遠ざかるサポーターが、存在していても不思議ではない。特に、コロナ下という事もあり、スタジアムに運ぶのに抵抗のある方も多い筈である。とはいえ、久々の4000人越え。日曜のナイター開催というのも後押ししたのかもしれない大観客の前で、勝ちたかった。

 ただ、群馬が、J3に降格が決まったシーズンでこそ、勝てる様になっていたが、どちらかと言えば、群馬は、相性の悪いチームであった。この試合では、内容こそ押していたが、相性の悪さが出た試合かもしれない。それでも、相性も当然逆転する事もある。愛媛も元々は、相性の良いチームであったが、長澤ファジになった辺りから、難しい試合になる事が多くなった。

 今回は、相性を含め群馬に対する戦い方と、岡山の組み立ての課題について、触れて行きたいと思います。試合の中での細かい機微な変化には、対応できていない点は、多謝ではあるが、内容が良くて勝てない理由にフォーカスを当てつつ、この試合を振り返っていきたいと思う。五輪のサッカーを観ながら、岡山の事をじっくり考えられる中断期間で、応援への活力を充電し、チームを後押しできるフォーカスにできるように書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

2、 岡山の前からの守備

メンバー:2021:J2:第23節vs群馬(Home)

「ファジアーノ岡山」
・いつもの4-4-2システム。
・20川本が負傷のためメンバー外で15山本がリザーブ入り。
・2廣木がリザーブに、右SBに16河野、右SHに27木村。
・7白井と5井上は、フル出場継続。
「ザスパクサツ群馬」
・サイドと中央のバランス型4-4-2。
・久藤監督就任2試合目。
・6内田から32渡辺にスタメン変更。
・50大前が唯一の全試合スタメン。

 群馬は、サイドから運んで行くスタイル。両SBがボールを持つ時に、高いポジションを取る。岡山は、サイドに誘導するのではなく、岡山屈指の守備の巧い2トップで、ハードワークして、前から寄せて行く。群馬は、中に入れるというよりは、基本的には、SBにつけることを選択しがちで、サイドラインを割るシーンは多かった。

 群馬のSHやDHがSBと絡みつつ、そこから運んで行く。両SBが高いポジションにとりがちのため、CBやDHが持つシーンが何度かあり、そこを14上門 知樹が、後から奪取するというシーンがあった。得点を奪うだけではなく、隙があれば、高い位置で奪取して、良い攻撃に繋げるということが、この試合では岡山はできていた。

 ただ、何処のチームも足元の巧いCBというのは、揃うようになり、そう簡単に岡山の前からのプレスで奪えない。そこを通過した群馬は、50大前 元紀へのパス機会を窺う。逆に岡山は、誰をターゲットにする訳では無く、スペースと空いていて、ターゲットとなる選手がいれば、積極的にクロスを入れて行く。

 群馬は、サイドでのパス交換が多岐に渡る。中にパスを入れて、探りを入れるパス交換や、やり直す事もあった。出しどころが困っていると思ったらクロスを入れて行くということもあった。やり切るプレーでないため、岡山としてもそう簡単に食いつけないので、我慢の対応。

 この試合の岡山は、前から積極的に行くという姿勢に対し、群馬は、中央でチャンスを窺う姿勢であった。20川本 梨誉と14上門 知樹のファンタジスタシステムのように中央に選手が集まる事で、何かをやってやるというプレーを狙っていた。50大前 元紀は、やはりスペシャルな選手で、キック精度が高く、やはり違いを出せるスペシャルな選手。岡山が、ファンタジスタシステムforチームであれば、群馬は、ファンタジスタシステムfor大前である。

ただ、岡山は、この試合は、ファンタジスタシステム不採用である。18斎藤 和樹の特性を活かすために、守備に重点を置いている。この辺り、両チームの選手構成に応じた戦い方を選択していることが分かる。誰に軸を置き、どういったサッカーを目指すのか。そういった意図を感じるという点では、伸び代や可能性はある。

「サッカーの攻防」
・50大前に繋ぐ上でサイドを活用する群馬。
・前からしっかり守備を岡山が行い群馬のサイドでのミスを誘発させる。
・状況に応じて攻撃の攻撃アクションを選択する岡山。
・50大前を中心に攻撃のアクションを選択する群馬。

3、 一発に沈んだ岡山

現代サッカーでは、巧い・速い・高い・強いといった総合力の高いCBがJ2レベルでも増えてきた。それに応じて強力なストライカーも増えてきている。J3からJ2、J1とステップアップしていく選手が増えてきたように、Jリーグ内の下のカテゴリーから主軸選手を引き抜くというJ1チームが増えてきた。

 一方で、J1でも主軸を担ったスペシャルな選手が、ベテランとなって運動量が落ちてきた時や、全体のレベルが上がっていった中で、J2やJ3に出場機会を求めて、完全移籍で加入する事も多くなった。そして、若い選手もなかなか出場できず、育成型期限付き移籍で、下のカテゴリーに加入してくる。

 岡山であれば、清水組の20川本 梨誉、31梅田 透吾、そして、先日加入した48石毛 秀樹。徳島からの22安部 崇士もそうである。J2中位の岡山にとっては、違いのみせる貴重な選手である。ベテラン勢でも4濱田 水輝や11宮崎 智彦といった選手もJ1が難しくなって、今ではJ2の選手である。

 こういったJ1勢の経験をどう活かしていくのか。群馬であれば、50大前 元紀を軸に置いたファンタジスタシステムである。シンプルにパスを彼に良い形で集めて、何かを起こすというチームスタイルである。実際に群馬の決勝点となった先制ゴールもまさに50大前 元紀が絡んだ事で生まれた。

 そういった50大前 元紀の崩しの前に、岡山の守備の突破口を見つけられて、実際に突破を許してしまった岡山ではあるが、岡山の守備自体は、正直よく嵌っていた。チームとしての勝ち筋。つまり、得点パターンが確立できているかどうかの差が出た試合となってしまった。そういった意味で、群馬の久藤 清一新監督の今後のチーム作りは気になる所である。

「勝負を分けたポイント」
・得点の形の有無。
・エースの存在の有無。
・良い時間帯を活かせる最後の質。
・チームとしての方向性の実利(勝ち点)。

4、 再開後への期待

岡山のサッカーは、ボール保持や守備の安定という点では、一定の成果をあげることができるチーム作りが巧く進められている印象である。残念ながらボックス内で仕事できる9李 勇載の欠場が続いている状況で、そこが活かしきれていないという試合が続いている。よって、岡山の良さを活かせるストライカーの存在の有無が、岡山の浮沈の鍵となる。

私見では、20川本 梨誉や14上門 知樹は、最前線体を張るというよりは、1.5列目、もしくは、2列目適性の高い選手であるという認識である。そこで、18斎藤 和樹や15山本 梨誉といったタイプのFWと組む試合が何度あったが、両選手ともチャンスメークやハードワークによる守備の特徴が強くフィニッシャー色が薄い選手で、得点がなかなか遠かった。

 ここに対して、岡山は、19ミッチェル・デュークと38ブレネー・マルロス、そして、パスの出し手として48石毛 秀樹を獲得した。残念ながら48石毛 秀樹に関しては、天皇杯で、負傷してしまい試合後に肉離れと公式発表された。この補強が意味する所というのが、どういった所か。そう考えた時に、この群馬戦の課題から考えると分かり易い。

 岡山は、この試合無得点に終わっている。チャンスがなかった訳では無く、むしろ岡山が主導権を握っていたように感じる。ゴール前まで運ぶ、クロスで得点を狙う。ここに関しては、岡山の方が良く出来ていた。後は、最後の所というところで、19ミッチェル・デュークや38ブレネー・マルロスは、ペナルティボックス内で、仕事できるFWである可能性が高い。

 攻撃時にゴール前に人数が足りなかった点やゴール前で違いを魅せる事ができる選手が不在であったことで、得点力不足であったが、ここを解消することができそう可能性を秘めている。14上門 知樹や20川本 梨誉を2列目で起用の可能性を含め、相乗効果が期待できる。41徳元 悠平の左SHでの起用を模索した辺りで、水面下では、既に獲得合意に至っていた可能性もあるだろう。

 11宮崎 智彦と41徳元 悠平のコンビの完成度高まり、この試合では、41徳元 悠平がシュートを3本も放っており、違和感もなくなってきた。16河野 諒祐も精力的クロスを入れて行くシーンも見えた。後は、足りなかったピースを嵌めていく作業になる。ただ、最後の所で、しっかり合わせる必要があり、ズレが生じる可能性はあり、すぐに結果はでないかもしれないが、再開する明日の試合は、正直楽しみである。

「期待するポイント」
・待望のボックス内で仕事できる選手の加入。
・ゴール前に運ぶ力を磨いてきたサッカーを結果へ。
・得点量アップからの勝ち点の積み重ね。
・選手加入による起用法やサッカーの変化。

5、 後書き

 土曜日ぐらい投稿する予定でしたが、またしてもギリギリになってしまいました。東京五輪の日本代表は、残念な結果に終わりましたが、安定した守備を武器にメダルこそなりませんでしたが、堂々たる戦いぶりであったと思います。メンバー選考や選手起用の部分で、不満がないと言えば嘘となりますが、選手は胸を張っても良い成績であったと思います。

 ニュージーランド戦やスペイン戦、メキシコ戦などを見ていると、監督の差はまだまだ感じる内容となってしまった。選手のレベルのアップと同時に、世界で戦える監督の不在を露呈するものとなってしまったが、日本サッカーの成長を感じたのも事実です。自分の中で多少拭えてきたと思っていたサッカー協会への不信というのが、再熱しそうになったのは、正直辛い。

 一方で、岡山は、明日より再開。的確な補強が行われたという事で、岡山が、どういったチームに生まれ変わるのか。今は、正直楽しみの方が強いです。これは、結果に対してのものだけではなく、有馬 賢二監督が、選手をどのように起用していくのかという点に対してでもある。スタメンから起用ポジション、交代カードの切り方など。この辺りに注目して、明日の試合を楽しみたいと思います。

文章・図版=杉野 雅昭
text・plate=Masaaki Sugino

関連記事
2021ファジにデータでフォーカス17「群馬戦を終えての岡山の得失点パターン」2021 J2第23節 岡山 0-1 群馬 レビュー
は、こちら(別サイト:SPORTERIA)。
URL:https://sporteria.jp/blog/sugi8823/6830109518999851009


ここから先は

0字

¥ 150

自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。