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2021ファジアーノ岡山にフォーカス21 J2:第18節:新潟vs岡山(Away) 「対ポゼッションの攻守両得のファンタジスタシステム」

1、 前置き

ビックスワン。ここに集まるサポーターの数は、J2屈指の集客力を誇る。試合開始前で、首位に立つ新潟。順風満帆にスタートしたと思われた新潟であるが、ここに来て失速気味である。各チームの対策が進む中で、思うように結果を残せないという時期は、どうしても出てくる。好調の時でも同じチームにいつも負けてしまうチームもある。

相性を考えた時に、どうやら岡山は、新潟と相性が良さそうで、ここまでの通算対戦成績は、岡山の3勝2分1敗で、勝ち越している。流石に、今季は、難しいだろうと思っていたが、判定に助けられてではあるが、虎の子の一点を守り切って勝利する事ができた。新潟からすると、判定に対して不満の残る試合に終わってしまったのと、同時に岡山サポとしても、しっかりとした形で勝ちたかったという気持ちもある。

ただ、岡山としては、残留するためにも勝てて良かったという気持ちも少なからずある。新潟としてもJ1へ向けて勝ち点3を積み重ねたかったことは間違いなく、この勝ち点3が、シーズンが終わった時にどう影響するのか。どちらのチームにとっても大きい勝ち点3となってきそうである。

こういった判定に泣かされることもあれば、判定に助けられることもある。サッカーとは、そういったスポーツであると割り切れれば、簡単ではあるが、どうしても受け入れるのが難しく、熱くなってしまう。今後もオフサイドに関するルール変更が予定されているが、導入されると、より難しい判定が増える事で、結果的に誤審は大幅に増える事となる。

幸い、ルール変更時期は、来夏の7月を予定されているが、そこへ向けてチーム作りからサッカーを変えて行く必要性もあるかもしれない。この試合のように裏を狙って行くチームが有利となる訳であるが、スルーパスを通すことも受ける事も難しいプレーではあるが、得点がその分決まり易いプレーであるので、観戦する側としては、非常に楽しみな変更と言える。

しかし、VARがないリーグであると、誤審が増える事は間違いなく、これが、どういった影響があるのか。それは、導入してみないと分からない部分もあるのも事実だが、得点は、間違いなく増える。そこに向けたアップデートを重ねて行くなか、強いチームを目指し、J1を狙えるチームとなって欲しい。

それでは、今季のJ2で純粋かつ極上のポゼッションサッカーを志向する新潟のサッカーに対し、バランス型ゲームポゼッションサッカーの岡山との攻防を、岡山視点で、振り返っていきたい。松本戦から方向性の変化と、離脱者の復帰や新加入選手の活躍を含め、岡山が、どうして、新潟に勝利することができたのか。今後も好調を維持できるのかについて、少しでも伝える事ができると嬉しい。今日も全力で、行きます。それでは、よろしくお願いいたします。

メンバー:2021:J2:第17節vs東京V(Home)

2、 東京V戦からアップグレードされた攻撃

この試合の岡山が、首位の新潟に対して、どう戦って行ったのか。両チームの変更などをチェックして行くことで、まずは、整理していきたい。

「ファジアーノ岡山」
・システム的な変更点はなしで、基本的には、4-4-2で解釈次第では4-3-3。
・41徳元が左SHで久々のスタメン、11宮崎、14上門の3人で、左サイドの攻撃を担う。
・怪我明けの2廣木の今季初スタメン、22安部も加入後初スタメン。
・16河野が、今季初のスタメン落ち、逆に5井上、7白井、13金山は、フル出場継続。
「アルビレックス新潟」
・ 純度の高いポゼッションを志向する4-2-3-1の中盤の厚いシステム。
・ 10本間が、スタートは、左サイドではなく、中央か右でプレー。
・ 前節までフル出場だったGKの21阿部から1小島にスタメン変更。
・ CBの35千葉と、DHの8高は、フル出場継続。

まず注目したいのが、41徳元 悠平の左SHでの起用。前節の課題であった、低い位置からどう前に運んで行くのか。ボールの持てる東京V戦もそうであったが、ある程度繋がれる事で、攻撃に移る位置が、必然的に低くなってしまう。パスを繋いで運ぶのか、ドリブルしながらキープで運んで行くのか、長めのパスを活用するのか。手段は色々とある。

有馬 賢二監督の1つの解答が、41徳元 悠平の左SHでの起用であった。ここは、多くの方が予想していた通り、27木村 太哉のドリブルで、ゴールに迫る手段から、長めのパス(クロス)を活用する事で、ゴール前に運ぶという選択を行った。クロスなのに、前を運ぶと考えられるかもしれませんが、41徳元 悠平の精度だけではなく、判断の良い選手なので、良いクロスが入ります。

クロスで、一番悪いのは、個人的には、ラインを割るか、GKにキャッチされるクロスだと考えている。ラインを割れば、守備側のリスクの小さいGKで始まられてしまうし、キャッチされてしまえば、そこからボールが出されて、カウンターを受けてしまうリスクが高くなる。つまり、良いクロスというのは、通ることだけではなく、守備側の対応が難しいクロスである。

ここが、有馬 賢二監督の狙いで、41徳元 悠平の精度の高いクロスが入る事で、守備側は、簡単にマイボールにできない。14上門 知樹、20川本 梨誉、10宮崎 幾笑の3人が、合わせてゴールを狙うだけではなく、高めのポジションを取るCHの7白井 永地、6喜山 康平と共にセカンドボールを回収し、ゴールに近づくという狙いがある。

一方で、新潟は、安易にロングパスを蹴らずに繋ぐという戦い方を徹底していた。後で、詳細を述べるが、この試合でも岡山は、中央を固めてサイドに誘導する守備スタイルを布いていた。それは、新潟をもってしても安易に中にパスを入れることは出来ないぐらい、引き締められていた。よって、解説者も指摘されていたが、中へのパスは限られる程であった。元岡山の20島田 譲もあまりボールに関与できなかった。

ただ、新潟の基礎技術は、東京V以上で、サイドで嵌められるという事はなかった。新潟は、ボールをしっかり繋ぐだけで前に運び、ハイラインと言える岡山のDFラインの裏を狙う意識が高く、特にサイドの裏は、何度も通された。もしくは、1対1の状況を作られて、クロスをあげられてしまうシーンも多く、CKを多く新潟に与える事になってしまった。

そして、このCKが厄介で、10本間 至恩の精度が極めて高く、何度も合わされてしまうシーンがあった。ドリブルからのクロス精度のも柔らかい上にピンポイント。ドリブルは、多少難しい体勢からあげる事が多いことや、その前にアクションでの消耗で、精度が落ちるが、10本間 至恩のドリブルは、細かいタッチのキープの様で、自然体でクロスが入って来るので、試合を通して、脅威であった。

また、10本間 至恩だけではなく、スピードのある33高木 善朗の仕掛けも脅威で、ラインの裏を何度も突破されて岡山の守備の形が崩された。岡山は、この試合からスタメンとなった22安部 崇士とフル出場を続ける5井上 黎生人が、粘り強く対応する事で、攻撃を凌いだが、CFの9鈴木 孝司のクロスに合わせるのが巧いタイプという事もあり、90分間通して、集中して守る必要があったが、この試合では、なんとか守ることができた。

加えて、11宮崎 智彦と2廣木 雄磨のスペースを意識して、必要最低限のオーバーラップに抑えた事で、裏をとられても対応できる事を意識。また、クロスが逆サイドに流れた時に守備の脆さをみせていた守備の課題を2廣木 雄磨が入った事で、弱点を補った。その分、人数をかけた攻撃、特に右サイドの攻撃は、いつもほどの迫力はなく、ビルトアップへの関与がメインであった。

「岡山のサッカー」
・SHの41徳元のクロスからゴール前に運ぶ攻撃を展開。
・セカンドボールを回収して波状攻撃を仕掛けるために、全体で、前掛かり。
・中央を引き締めて、サイドに誘導するもボール奪取までは、至らず。
・両SBは、上がり過ぎず、攻守のバランスを意識。
「新潟のサッカー」
・長めのパスはあまり挟まず、しっかり繋いで前までボールを運ぶ。
・サイドの裏のスペースを巧く活用し、アタッカーを活かす意識が高め。
・サイド攻撃から精度の高いクロスを配給し、ゴールを迫る形を志向。
・サイド攻撃で得たセットプレーは、精度が高く狙いの1つ。

3、中央に集まるファンタジスタ

このファンタジスタという表現だが、厳密にいうと違うかもしれないが、岡山が、中央を引き締めてパスを通させない守備的な理由だけではない。ここまでのフォーカスで、何度か触れてきたが、攻撃時の中央の人数が足りていない問題や、14上門 知樹が、右サイドで持ち味のミドルシュートやドリブルを活かせないという問題、チームとしてスルーパスが少ない事による10宮崎 幾笑の細かいパス交換や、裏へ抜けるプレーという持ち味を活かせる場面の少ない問題。

これを一挙に解決できるのが、このファンタジスタシステムである。20川本 梨誉を中心に14上門 知樹と10宮崎 幾笑が、その近くでプレー。20川本 梨誉と14上門 知樹に関しては、お互いに気の利いたパス交換で、良い形で、シュートを打ち、実際に得点を決めたシーンもあることから分かる通り、既に相性の良さは、証明済みである。

この試合では、この2人に10宮崎 幾笑が、近くで、プレーする事で、10宮崎 幾笑が裏を狙うというプレーも増えて来た。ここ数試合で、裏へ抜け出してからの10宮崎 幾笑のクロスの回数も増えてきており、チームとして選手同士の特徴を掴めて来た事や、中央でポストプレーができる20川本 梨誉の存在により、持ち味を徐々に発揮できるようになってきた

15山本 大貴のサイドに流れる裏への動き出しや献身的な守備も悪くなかったが、中央で仕事ができるストライカーが不在であった事から、決めきれないという問題もあった。また、献身的にサイドのスペースにハードワークする事で、中央の人数が足りない理由にもなっていた。また、中央を離れるので、松本戦、東京V戦、この新潟戦のように中央のスペースを引き締めるという事ができなくなっていたが、この形になってから、この多くの課題は、解決した。

また、ここに、左SHでの41徳元 悠平のクロスを早めに入れるという選択肢が増えただけではなく、41徳元 悠平と14上門 知樹の琉球コンビが、1つ前に上がった事で、守備の負担が減り、より攻撃的な選択肢をスピーディにできるようになった。この試合で41徳元 悠平と14上門 知樹の左サイドでのコンビは、久々であったが、その連携や崩しは、新潟にも負けないハイレベルなものであった。

4-2-3-1、4-4-2、4-3-3などの解釈ができる布陣で、個人的には、41徳元 悠平、6喜山 康平、7白井 永地をMFのユニットと考えて、10宮崎 幾笑、20川本 梨誉、14上門 知樹をFWのユニットと捉えるのが、個人的にしっくりくる。これは、個人の解釈によって、別れる所であると思うのが、チームとしての役割などを考えると、こういった解釈もある。

「松本戦より前までの攻撃の課題」
・攻撃時の中央の人数が足りず、慢性的な得点力不足に陥った。
・14上門が、右サイドでプレーしていた事で持ち味が活きていなかった。
・10宮崎の生きるペナルティエリア内でのプレーが、少なくボールロストが目立った。
・ミドルシュートが多い反面、スルーパスで崩す形が少なく、総得点は少なくなっていた。
「ファンタジスタシステム」
・20川本を中心にFW3枚(2枚)が近くでプレーする事で、中央に厚みがでてきた。
・41徳元と14上門の左サイドのコンビが復活する事で、活性化。
・41徳元のクロスが速く上がるようになった事で、セカンドボールを拾って、持続的な攻撃。
・20川本や14上門の傍で10宮崎がプレーする事で、ペルティエリア内でのプレーが増えた。
・6喜山と7白井が高い位置をとることで、攻守でのセカンドボール奪取率向上。
・全体的に、中央での距離感が良くなった事で、ミドルシュート以外にでもスルーパスという選択も増えた。

4、 後方のバランスを整備

改善したのは、前線だけではない。この試合から22安部 崇士が左CBに入ったことで、利き足の面で、プレーし易い選手を並べることができるようになった。左足が利き足の11宮崎 智彦と22安部 崇士が、左サイドを担った。この二人の良さは、持ち上がるプレーも出来る点になる。33阿部 海人の時は、ロングパスに頼りがちであったが、22安部 崇士は、機会があれば、持ち上がるプレーもみせた。11宮崎 智彦もSBという事に加えて、ベテランという事を考えても判断の質が高く、効果的な攻撃参加を見せてくれた。

一方で、右サイドは、5井上 黎生人が、久々に右CB、そして、2廣木 雄磨が、久々に右SBにスタメンとして入った。2廣木 雄磨に関しては、サイド深くに入った時の判断の悪さや、フィジカルに特徴のあるパワータイプのアタッカーに対しての守備の軽さが目立っていたが、この試合のマッチアップした選手が、テクニック系の選手であった事から安定した守備を見せたくれた。攻撃でも高く上がらない事で、無難なプレーにまとめる事で、右SHの10宮崎 幾笑を助けて、16河野 諒祐の時にあったパス交換でカットされるシーンが減る事で、プレーは安定したが、その分16河野 諒祐がみせた攻撃への積極的な関与は、必要最低限となったことで少なくなったので、対戦相手に応じた起用が考えられる。

5井上 黎生人は、左右の精度こそ高いが、やはり利き足が右足であるので、右CBの方が安定する。ここまで、ポジティブな理由で、左CBに回された訳では無かったので、左CBの22安部 崇士の加入により、初めて、ポジティブな理由で、右CBを任される様になった。このDFラインを変更は、ここ最近の試合でみせていた、サイド攻撃への脆さが大幅に改善されただけではなく、SBのオーバーラップ以外での攻撃参加、逆にCBの持ち上がりといった攻撃もできるようになった。

また、6喜山 康平が、スタメンに復帰して以降は、スペースを消す意識がチームとして高まっただけではなく、28疋田 優人がチームにもたらした変化であるチームとして重心を前に置く形も継続されていた。28疋田 優人が、出場機会を掴むまでは、攻撃を受けて立つ形をとっていたが、28疋田 優人が出場機会を掴んで期間は、前からボールを奪う意識が劇的に高まった。

そして、33阿部 海人も出場機会を掴んで事で、DFラインも高くなっていた。ただ、このサッカーを体現する過程では、生みの苦しみというか、33阿部 海人の経験不足により、判断の誤りなどが不安定な守備で失点を重ねる試合や、28疋田 優人が、前にポジションを取り過ぎて、寄せを受けてしまいパスミスを重ねた事で、ボールロストして、カウンターを受けてしまう事もあった。

ただ、試合を重ねて行く中で、徐々に安定した事で、若い28疋田 優人と33阿部 海人の成長に繋がった。出場機会が減ったことで、逆にコンディションが回復した6喜山 康平と、新加入の22安部 崇士が、スタメンを掴むことになった。それでも、サッカーの根幹となる部分は、33阿部 海人と28疋田 優人が志向したサッカーを継承して、しっかり選手個人だけではなく、チームとしても経験を活かせていることは、好感が持てる。

6喜山 康平は、チームとして重心が前になる中でも、プレスの影響を受けにくいポジションをとり、守備の隙を与えない守備に加えて、コーチングなどにより安定した中盤の守備と、持続的な攻撃を可能とした。特にセカンドボール奪取数の高さが、際立っている。22安部 崇士も利き足が左である事から、安定的なビルトアップやフィードをみせた。

11宮崎 智彦が、左SBを任されている事で、ボールを預け所として信頼でき、心の余裕をもつことができている事も大きい。5井上 黎生人も右CBとして、右足を使う機会が増える事で、より安定的な組み立てができる事に加えて、無難なパスが多い2廣木 雄磨が右SBに入る事で、チームとしてビルトアップのミスは、より減る事となった。

高いラインを目指す中で、ビルトアップに関与する事が少なくなっていたGKの組み立ての関与も増えてきた。松本戦こそ寄せを受けて、あわや失点というシーンこそあった13金山 隼樹だが、蹴りどころに迷いロングフィードを前線に蹴るだけではなく、近くの選手に繋ぐプレーも見える様になった。安定感の部分では不安は、正直あるが、最終ラインは、攻守のバランスの優れた選手が揃っており、安易なボールロストが少ないのも大きい。

4濱田 水輝が、戻って来た時に、誰が外れるのかという部分もあるが、5井上 黎生人の右SBでの起用も有力な選択肢となってくる。特に8田中 裕介が戻ってくれば、最有力のオプションと言えそうだ。ただ、右SBには、この試合でスタメン出場したバランスの取れた2廣木 雄磨の他にも攻撃的なSBである16河野 諒祐や24下口 稚葉、23松木 駿之介という選択肢もあり、今後は、より動きがあるポジションと言える。

39増谷 幸祐が戻ってくれば、より強固なDFラインを構築する事も可能だが、現状復帰の目途は立っていない。本人も焦りもあるだろうが、今季1試合でも出場機会を掴める事があれば、来季に繋がる。4濱田 水輝も怪我の多い選手であったが、ここ数シーズンは、比較的安定している。心身ともにコンディションを整える中で、完全復帰に期待したい。

「後方の整備」
・適切な利き足のポジションを任される事で、安定したビルトアップが可能となった。
・6喜山を中心とした攻守のバランスは、中盤や最終ラインの攻守の安定に繋がっている。
・両SBの安定的な組み立てに加え、GKも組み立てに関与し、ハイラインを実現。
・リスクを最小限にする中でも守備陣は下がり過ぎず、前線に追従したポジショニング。

5、 総括(後書き)

ファンタジスタシステムと銘打って、まとめてきたが、どうだったでしょうか?私見になりますが、20川本 梨誉の前線での収まりの良さや、チャンスメークの巧さ、そして、FWらしい得点力の高さ。この3拍子揃った20川本 梨誉が、チーム内での存在感が増していくことで、前線の攻撃の形が、極めて自然に整備されて生まれたシステム。

このファンタジスタシステムを支える中盤の攻守の形を作ったのが28疋田 優人。チームとして受ける姿勢だけだはなく、積極的に前に行く形の礎を作った。33阿部 海人もハイラインに試行する中で、チームとしてコンパクトに戦う術の試行錯誤を繰り返す中で、SBの関係性を含め、攻守共に積極的なサッカーへと変化させた。

一方で、良い事だけではなく、課題がある。このファンタジスタシステムは、松本戦からだが、その後の東京V、新潟と、ポゼッションサッカーを志向しているチームとの試合が続いている。ロングパスを主体にするチームや、カウンターを志向するチームや、引いてくるチームなど、色が変わって来るチームに対して、どこまで戦えるかという点は、未知数である。

現状、似たスタイルのチームとの連戦であったので、課題について述べる事が難しいが、やはりハイラインの裏を徹底してくるチームや、中央に守備の人数を割くチームや、引いて背後のスペースを消すチームに対して、同様の崩しができるかと問われれば、答えはノーであるだろう。クロスからの得点も前線に高さがないですし、守備の人数を割くチームであれば、セカンドボールを拾う事も難しくなる。そう考えると、ミドルシュートに頼ってしまう事となるのか。それともJ1の川崎のように狭い所を突いて、崩すことができるのかということは、今後問われてくることとなる。

今のチームのスタイルは、歴代の監督と選手、それを応援するサポーターの後押しによって、築かれてきた。チームのサッカー自体が歴史であり、多くの試合を観戦することで、そのチームが、どういった歩みを歩んで来たのかをより深く理解できる。過去の試合をチェックすることは、難しいが、目の前の試合を1つ1つ観戦していく事で、そのクラブを少しずつだが、理解できていく。

10年以上、岡山を見てきたが、ハードワークは一貫している。諦めない姿勢。サッカーに対して、勤勉であること。コミュニケーションを重視すること。この方針は、サポーターの求めるものに対しても同じで、共に様々なトピックに一喜一憂して行く中で、歩んでいることは間違いない。クラブ・スタッフ・チーム・監督・選手・サポーターといった様々な立場の岡山のために尽くす人達の集合体をファジアーノ岡山ファミリーであり、勝利を目指して、戦うという点では、同志である。

様々な意見があるように、様々な表現方法がある。そういった考え方で、今季の岡山のサッカーを見ていると、様々なサッカーの形を試し、着実に前進している。特に有馬 賢二監督が就任して以降の補強の巧さが際立っており、今季も的確。シーズンオフで獲得した新加入(新人)選手の活躍が光る。この試合でも、シーズン途中の補強の11宮崎 智彦も22安部 崇士も素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれての勝利。まだまだJ2に最低限留まるためにも厳しい戦いが続くことに加えて、まだJ1を目指せるのではないか。そういった期待の持てる新潟戦の勝利であった。

同じくJ2リーグの序盤戦をトップグループで引っ張って来た琉球に対して、どこまで戦えるのか。岡山のサポーターの1人として、楽しみな一戦である。岡山としてもここ数試合のチームの上昇気流を確かなものとするためにも内容と結果、双方に期待したい。ホームでは、苦杯を嘗める結果が続いているが、笑ってスタジアムから帰宅できると信じて、応援にいきたい。

「琉球戦に向けて」
・ファンタジスタシステムが琉球にどこまで通用するか。
・チームとしてのトライ&アップデートで、どういった変化がみられるか。
・新加入選手の活躍や、離脱者の復帰、天皇杯での活躍した選手などを起用法。
・美しい新潟のポゼッションサッカーと、色の違う琉球に対して、どこまで戦えるか。

明日の琉球戦は、カード的にもサッカーの内容、所属選手的にも注目一戦。TV放送もあるので、是非ともチェックして欲しい楽しみな一戦。

文章・図版=杉野 雅昭
text・plate=Masaaki Sugino

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