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2022ファジアーノ岡山にフォーカス32『 鳴門の風 』

2022 J2 第36節 (Away)
徳島ヴォルティス vs ファジアーノ岡山

 キックオフにこそ間に合わなかったが、現地に参戦。スタジアムに早くINしたい所だが、徳島のフーズを見渡して、唐揚げを購入した。種類が多くあったが、食べ歩きをしていた時期に王道から入ることが良しという結論に至った事もあり、そこの店のポテンシャルが分かるうすしお味の唐揚げをチョイスした。

 うすしお味だが、空腹と暑い気候もあってより際立つ美味しさであった。塩辛過ぎず固すぎず、バランスのとれていて、しっとり系の唐揚げ。衣だけではなく、中の肉の所もとろけるような食感で、しっかり味も染み込んでいた。細部まで拘りを感じた逸品であった。次に遠征した際には、他の種類も食べてみたい。

 さて、開始30分程、見直してレビューを書いていきたい。土曜日に試合もあることもあり、日が無いので要点を絞って巧くまとめていきたい。

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2022 J2 第36節 徳島ヴォルティス vs ファジアーノ岡山 ポカリスエットスタジアム


1、強度不足


 連戦ということもあり、最適格の雉プレスではなかった。豊富な運動量と高い連動性が求められる雉プレス。強度という観点で、34輪笠 祐士と44仙波 大志も問題ないが、この組み合わせは、公式戦では初である。流石に足下の技術がしっかりした徳島の完成度の高い組織的なボール運びを捕まえる事ができるほどサッカーは甘くない。

 また、26本山 遥の奪取力は高くとも、展開力に課題がある。雉プレス自体嵌っていなかったので、課題である視野の狭さが目立つシーンは、それほどなかったが、その中でもボールを奪って、前につけるというシーンを何度かは作る事ができていた。散らせる34輪笠 祐士か、奪取力の26本山 遥は、今後も考えて行きたいポイントである。

 実際に奪ったら前への意識が高かった事を感じられる26本山 遥の試合後コメント。

26本山 遥
「前半何回かは自分の守備で奪って縦につけて速い攻撃もできたし、それをもっと作れれば良かったが、取りに行けるシーンがあまりなく苦しかった。」

ファジアーノ岡山公式HP 試合後コメントより一部引用

 後半に出てきた14田中 雄大。やはりプレスの寄せの速さや連続性という2点で考えると、岡山ナンバー1である。機動力と運動量をこれだけハイレベルに兼ね備えた選手は少ない。終盤に徳島が5バックにして逃げ切りにかかったことがあったとしても27河井 陽介と14田中 雄大のコンビは、雉プレスの効果がでていたことを考えると、現段階での雉プレスのための最適格であったことがよくわかる。

 それにしても岡山の選手を背負った時の徳島の選手のボールコントロールが秀逸で、懐の深いキープでの局面の打開やワンタッチのプレーにより、岡山がの徳島のボールホルダーをに対して囲い込むシーンを作れなかった事で、岡山の選手のボール奪取は難しかった。そのため、徳島にボールを保持されて、前に運ばれる時間帯が長くなってしまった。それは、岡山にとって苦しい時間帯が長かった事も意味する。

26本山 遥は、次のようにも語っている。

26本山 遥(岡山)
良い守備も良い攻撃も見せることができなかった試合になってしまい、相手のボールを回す上手さに後手を踏み続けた。自分の運動量でカバーできればと思ったが、前半からそれも難しい状況が続いてしまい、走らされてしまった。

ファジアーノ岡山公式HP 試合後コメントより一部引用

2、選ばれし11人


 岡山が、雉プレスをするためには、選手の組み合わせの関係性に少し触れた通り、徳島も主導権を握るためのベストの11人を揃えるのは、簡単ではない。

 まず、CBであるが、足下がしっかりしていなければならない。繋ぐ巧さだけではなく、ドリブルで運び中盤の選手とのパス距離を近くして、高く上がった両SBへ正確に通す事も求められる。当然ながら前に運ぶので、パスを出すタイミングを含めた広い視野と的確な判断力が必要である。特に14カカは、対人守備でも力強く、岡山の強力な2トップに対しても負けていなかった。山形戦での対比のレビューで紹介した横パスの距離があるのは、大きく開いて上がったSBを通す技術があり、縦へのパスの距離が短かったのは、縦に付ける時には、ドリブルで持ち上がっている事で、中盤の選手との距離が近くなっていたことが大きい。

データが気になる方は、こちらで確認下さい。

 そして、SBの選手は、攻撃時のチャンスメークだけではなく、対人守備の良さも光った。特に36エウシーニョが、24成瀬 竣平の前に壁として立ち塞がって、フォローがない時の24成瀬 竣平は、シャットアウトされてしまった。世代別の代表で離脱している22佐野 航大とのマッチアップが実現していれば、面白かったかもしれない。左のWBは最初から10宮崎 幾笑でもありであったが、結果的にリードを許す展開となり、10宮崎 幾笑で、攻勢にでることができたが、この辺りをどう考えるかである。それにしてもそのプレーで、負傷交代することとなったが、36エウシーニョのドリブルでの突破も見事で、本当に徳島の選手は、ボールを簡単に失わず、ドリブルをしっかりできる総合力の高い選手が、揃っている事がよくわかる。

 中盤の選手もパスワークが速いだけではなく、背負った時も簡単に失わないだけではなく、そこから寄せに来た選手を振りほどいて前を向ける巧さもあった。岡山が、ここで戻させることができれば良いが、それすらできずに前を向かれる。もしくは、ファールを与えてしまうシーンもあった。攻守の切り替えも早く、バイタルエリアを引き締めて、岡山の中へのボールを再三インターセプトし、そこからカウンタ―というシーンも多く、得点シーンのようにゴール前にもしっかり顔を出せていた。

 更に、前線の3選手もまた強力であった。ボールを持った時の仕掛ける姿勢は、90分間通して脅威であった。外からのチャンスメーク以上に、中へ入っていく意識や崩していこうという意識が高く、ゴールを固めた岡山のDFラインを無効化する速いパスワークは、秀逸であった。また、徳島の前線の3選手の守備意識も高く、岡山のDFラインはプレスに受け続ける時間が長かった。

 堅守の要となるGKもまた素晴らしかった。長身でありながら機動力に優れて、ハイボール処理のボールキャッチ率は、凄かった。あれだけのスピードで飛び出して、キャッチされてしまうと、セットプレーが得意な岡山であっても簡単にゴールを割る事ができない。当然のように足下の技術もしっかりしており、プレスをかけても慌てる様子もない。

 こういった素晴らしい選手達を11人揃えられる徳島が弱いわけがなく、試合の主導権を握った完璧な試合運びを、岡山はされてしまった。個人的には、今季岡山にとってワーストとも言える完敗であった。スコア的には大差であっても、付け入る隙はある試合が多く、良い所なく敗れたという試合であった。

完璧な試合であったと語るダニエル・ポヤトス監督。

ダニエル・ポヤトス監督(徳島)
「チームの根底にあるべき戦術以上の戦う姿勢も表現され、相手の2トップへの対応も素晴らしい完璧な試合だったと思います。」

Jリーグ.jp監督コメントより一部引用

3、クロスへの意識


 クロスの質と形から両チームのサッカーの違いは、より顕著であった。岡山は、WBの16河野 諒祐やCBの41徳元 悠平が、サイドの深くまで進入して、中の高さを活かしていくというクロスの形を採用していた。そこから中に切り込んでいくという選択肢も持っていたが、メインは、高さに合わせるクロスであった。

 対する徳島は、中の3レーンを意識したクロスを採用する。対比で紹介したデータであったサイド深くのライン際でのボールロストが少なかった理由は、そこから安易にクロスをあげていくのではなく、ドリブルで中に入っていくことで、岡山の守備の隙を探して、そこを突いていく意識が高かったことからそういったデータになっていた事が分かった。

 上記でも紹介しましたが、データが気になる方は、こちらからどうぞ。

 中へのパスを織り交ぜることやワンタッチでの繋ぎで、フリーの選手を作る事もある。もちろん、そのまま突破する事もあるが、ワンツーで背後に飛び出すというシーンを再三演出していた。

 岡山のDFラインとGKの間のスペースが狭くとも抜け出せていたので、その連動性は、岡山の守備の反応を大きく上回っていた。35堀田 大暉のファインセーブや人数自体が揃っていた事で、コースを限定できていた事をある失点は、なんとか防げていたという状況であった。

 ただ、失点のシーンは、まさに中の3レーンを意識したDFの間にIHやANの選手の攻撃参加の厚みを活かして、もはやパスとも言えるぐらい”成功率の高い”クロスであった。

 どうすれば、DFラインの背後を突けるのか、どうすれば、DFラインの間で受けられるのか。そういった徳島の”工夫”が、そこに濃縮されていて、ホームの徳島戦での失点を思い出すような、非常にデザインされた徳島の形での得点であるように感じた。

 同時に、岡山が断念した4-1-2-3とほぼここまで試合で採用してきた徳島だからこそできたサッカーである。もし、仮にこの勢いのままプレーオフに進出してくれば、岡山がベストメンバーであっても今のままでは勝てるかどうかという完成度の違いであった。

ここまでの過程への苦労を語る18佐藤 晃大。

18佐藤 晃大(徳島)
「そういう悔しい経験をしてきたことが大きかったと思いますし、ミーティングでも何度もそういう話を共有してきました。その結果として、最後まで集中して守り切れたと思います。」

Jリーグ.jp選手のコメントより一部引用

 現状は、岡山が現実路線に舵を切り、勝ち点を積み重ねてきて、両チームの勝ち点の差を大きいが、徳島は、プレーオフに進出できれば、プレーオフ勝ち抜ける初のチームになれる力と完成度を持ったチームであるし、今季仮に上がれなくても来季のメンバー編成次第では、昇格候補筆頭とも言える個の力と組織力のあるチームであると感じた。

 ただ、シーズンを跨ぐ事での難しさは、今季の千葉を観ていると感じるのも事実で、プレーオフに進出して、今季での昇格を目指す方が、徳島として編成を考えても是が非でも上がりたいだろう。いや、徳島は、既にJ1を経験をしており、もっと長期的な目線で、昇格やJ1を捉えているのかもしれない。

 この試合の徳島の勝利への勢いは凄かった。鳴門の風は、対戦した岡山にとっては、かなりの逆風(比喩的な意味・表現)で辛いものであった。このチームを止める事ができるのか?そういった気持ちにもなった。

4、徳島に勝つには


 開幕した頃に見せたような4-1-2-3の3人でのプレッシャーをかけていけるだけの圧力を作り出せるかがポイントである。24成瀬 竣平と44仙波 大志もそれなりのプレス強度を誇るが、流石に22佐野 航大や14田中 雄大のような回数や強度はない。この2人がいても大きく阻害するのも難しいかもしれないが、前の2人だけで徳島の運ぶことを阻害することは難しく、少しでも遅くさせていくしかない。

プレスが巧くいかなかった事が感じられる44仙波 大志のコメント。

44仙波 大志(岡山)
「相手のトップ下の選手をうまくつかめず、うまく間を取られてしまった。自分のサイドもうまく取りきって攻撃に、というのができなかった。」

ファジアーノ岡山公式HP 試合後コメントより一部引用

 一方で、徳島は、4-1-2-3の特性を活かして前線からもプレスをしっかり掛けていて、幅をしっかり使う事で、高い位置で、受けるポイントもしっかり作れていた。攻守で前線の選手の献身性や、個の力が光った。

 徳島のドリブルをどう抑えるのか。サイドからのドリブル、前に運ぶドリブル、キープするドリブル、様々なドリブルへの対応にも苦しんだ岡山。なかなか奪取することもできずに、バイタルエリアまで運ばれて、連係プレーで、ラストパスを通されてシュートを打たれるというシーンも少なくなかった。ラインが高ければその背後を突かれて、ラインが低くてもワンツーで裏をとられ、そのスペースもない時は、人数とレーンを意識したポジショニングで、岡山の選手の間で合わせる事を意識した崩しに失点。

 攻撃の始まりや運ぶのはサイドからであり、ドリブルからである。ドリブルをどう遅らせて、運ぶのを阻止して攻撃に移るのか。木山 隆之監督も色々と手を打ったが、徳島の方が岡山を大きく上回った。

木山 隆之監督もその辺りを次のように表現している。

木山 隆之監督(岡山)
「試合は、前半から相手の方がポゼッションで上回ったので何とかしたかった。後半、形を変えて自分たちがボールを持って前にいけるようスタートしたが、先に失点してしまった。その後も選手交代や形を変えてチャレンジしたが、徳島に上回られてしまった。」

ファジアーノ岡山公式HP 試合後コメントより一部引用

 徳島とのプレーオフで当たる可能性を考慮して、そこに向けてどういった対策をしているのか。ただ、悪かったことだけではない。近くの徳島サポーターも驚いた41徳元 悠平のロングスローの飛距離や、囲まれながらも運んで行く7チアゴ・アウベスのドリブル、23ヨルディ・バイスのプレスを無効化する一本のロングパス。しっかり個の力を出せた。これを単発に終わらせず、形にしていくことが、残り試合で問われていく事となる。

下を向かず、自分達のサッカーを信じて戦って行くしかない。

23ヨルディ・バイスのコメント

23ヨルディ・バイス(岡山)
「自分の目からは、選手たちは誰一人としてショックを受けているようには見えなかった。ファジアーノは今3位といういい順位につけている。サッカーなので勝ち負けはあるが、自分たちはまだまだこれからもっとやれる気持ちでいる。チーム一丸となって次に向かっていきたい。
どの試合も変わらず同じ気持ちで向かっていくだけ。4連勝で迎えようが、1敗した後だろうが同じ気持ちで100%の準備をする。試合の中ではコントロールできない部分もあるが、自分たちに焦点を当てて、しっかり鏡で見てやるだけ。これからも戦い続けて最後まであきらめずにやっていく。」

 応援で、選手を後押ししたいという気持ちがサポーターにはある。しかし、23ヨルディ・バイスの言葉からは、逆に勇気が貰える。一緒に戦って、この試合の徳島のような強いサッカーができるチームの多い、J1の舞台を経験したい。最後まで可能性がある限り、応援していきたい。

5、写真コーナー


キックオフ時間に間に合わなかったが、撮影できた範囲で紹介していく。

既に試合は始まっているので人は少ない。

独特の雰囲気とサッカー場の明るさは、どこが幻想的だ。

正面から

一度改修されているはず。昔からは、少し様子が変わっているかも?

想像以上に多かったオ阿山サポーター

 チームの力になっていたであろう岡山サポーターの数の力。

徳島サポーター側のゴール裏

 岡山と違いゴール裏全てなので、やや空白が目立つが、勝負所での鐘の音やテンポを上げたい時の拍手で、サッカーにリズムを生み出して、チームを後押している徳島サポーターの力は大きい。

ドリブル突破でFKを獲得した7チアゴ

岡山の数少ない突破口の1つであった。もっともっと回数を増やしたい。

恒例のPK対決。

ファジ丸は、いつも負けているイメージが強いが、今回もやはり負けた。

花火!
花火!
花火!

奇麗な花火。同じように撮影してる人も多かった。

後半の徳島
後半の岡山
試合終了

完敗の岡山。足取りは重い。

悔しさを隠せない選手達
勝利に歓喜するする雰囲気に包まれるポカリスエットスタジアム

 屋根があることで、反響する効果が凄く出ていて、凄い雰囲気があった。改修ができたことが羨ましい。岡山のシティライトスタジアムは、遺跡がある関係で予定も変更されて、今後も改修ができない。岡山にも声や拍手が反響するより、雰囲気がでるスタジアムが欲しい。

挨拶に向かう岡山の選手達

 お互いに姿を見ることで、次の試合の活力として欲しい。対面するだけでも現実を直視するだけでも前を向ける。

試合結果

重かった1点、重い一敗、想いもいっぱい。

徳島サポーターに挨拶に行った徳島の選手

 勢いのあった岡山を止めた事で無敗記録を伸ばした徳島。プレーオフの可能性がある限り、勝ち続けるだけの強さを感じた試合であった。

ロッカールームに引き上げる選手達

7チアゴ・アウベスは、勝っても負けても何処か華がある。

先頭を歩く24西谷 和希

 24西谷 和希のドリブルの勢いが凄かったのが印象的だった。

自信に溢れる徳島の選手達

 何処のチームに勝っても嬉しいと思うが、岡山に勝って嬉しいと思われるチームにこれからもならなければならない。悔しさを糧にそういったチームに岡山もなって欲しい。岡山サポーターである私も、この強い徳島に次は勝って欲しいと思った。

文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・Photo=Masaaki Sugino

試合後コメント引用元紹介

アディショナルタイム(おまけ)


ファジ造語


チアゴ・タイム
 7チアゴ・アウベスのプレーの一つ一つにサッカーを楽しむという遊び心があり、そこに技術が伴った左足の凄さを称えて「悪魔の左足」と、呼ばれている。その左足を活かして、何処からでも何時でも狙っていて、7チアゴ・アウベスが出場している時間帯は、岡山の大きな得点源と言える。

本山丸(イメージは真田丸)
 大阪の陣で、大阪城に迫る徳川の軍勢に対して、真田丸は、大阪城の弱点を補う出城として築かれた。23ヨルディ・バイスと5柳 育崇の弱点は、釣り出されたときや、スピードであるが、26本山 遥かが主に、そういった守備対応をすることで、3選手の良さをお互い引き出すことで、守備が安定して、堅守を構築に繋がっている。

参考
2022ファジにデータでフォーカス2
「中盤の真田丸(本山丸)」
2022 J2第2節 岡山 1-1 徳島 レビュー
は、こちら(別サイト:SPORTERIA)。
URL:https://sporteria.jp/blog/sugi8823/6905499896963403777

ヤバス要塞
 語呂を意識して、5柳 育崇の「ヤ」と、23ヨルディ・バイスの「バとス」の二文字を抽出して、「ヤバス要塞」と、表現した。防衛において重要な地点の砦。砲台もある砦のことも指す。高い対人守備だけではなく、ロングパスの精度やセットプレーの得点力があり、まさしく要塞と言える。攻守で強みを発揮できる「ヤバス要塞」として、難攻不落を目指す。

梅田アウォール
 ファジの最後の壁。ファイアウォールに比喩した表現。戦術や個の力、連動性といった攻撃で、ゴールを狙ってくる様々な攻撃をシャットアウトする。そして、バックパスの受け手として、フィードや組み立てる一人として、パス交換(情報通信)。後方からの冷静なコーチング(情報の発信)。多くの情報を整理し、最的確な決断ができるGKである1梅田 透吾の良さを表現したファジ造語。

0バックシステム
 攻撃的で積極的なオーバーラップや得点力のあるCBである5柳 育崇や23ヨルディ・バイスのCBの2選手と、SBが本職である26本山 遥といった流動性のあるDFラインを形成することで、攻守において、自由に動くことで、攻守での手厚い状態を作り、数的不利になりがちな局面で、数的有利の攻撃シーンを演出し、守備でも積極的なアクションで、事前にピンチの芽を摘み、流動性から生じる集中力と緊張感から、カバー&フォローで、リズムを作り出す戦術システムのファジ造語。

木山ファジVer1
 2022シーズンの開幕からトライした新システムの4-3-3。超攻撃的なサッカーで、7チアゴ・アウベスを軸とした、自由と個の力を前面に展開していく。選手のコンバートやルーキーの積極起用で、勢いと爆発力があった。攻撃だけではなく、前からの守備でも効果的で、嵌める・奪うから得点に繋げることのできた試合もあった。ただ、対戦チームの対策が進む中で、勝ち点3が遠く、順位を下げて行く中で、4-3-3の戦術的アップデートの一時中断からの路線変更を余儀なくされた。

木山ファジVer2
 10節という節目で採用された4-4-2。4-2-2-1-1とも言える形で、4-2-3-1とも言えるが、ダブルボランチを採用することで、攻守での安定感が高まった。有馬ファジの4-4-2とは違い攻撃的な選手と、ロングパスの得意な選手が多く、速攻を主体として、速さ・強さ・高さを前面に出して、ゴールに出したことで、今季のメンバーに寄せた4-4-2。効果的なサイド攻撃やカウンター攻撃は切れ味鋭く、中央ラインの強固さで、J2屈指の堅守となった。

ヤバスギタ山城
 柳の「ヤ」、バイスの「バ」と「ス」、喜山の「キ(’’)」、堀田と梅田の「タ」、そして本山と喜山の「山」。まさしく攻略の難しい山城。そしてセットプレー=飛び道具が効果的な組み合わせとして、岩政 大樹時代を彷彿させる高さと強さを感じる。今後も色々な選手や形を試して行く中で、より強固にして欲しい。

木山ファジVer2.5α
 現状の個の力に赴きをおいたサッカーに組織力を強化することで、攻守でのより高みを目指す。特に重視するのが、「主導権を握るサッカー」。ただ、現状は、後で回すだけに留まり、プレスを受けてしまうことやパスコースが限定される中で、前線の選手の自由が制限されてしまうことで、パスがカットされたり、ゴールに向かってシュートに行く前に奪われたりと、逆にカウンターを受ける事が多くなってしまっている。もしかすると、別の形を模索することとなるかもしれないが、現状は明確な方向性のサッカーを体現できていない。

木山ファジver3
 前半は、15ミッチェル・デュークを軸としたサッカーを展開し、7チアゴ・アウベスの投入を皮切りに、パスに赴きを置くサッカーに展開して行く中で、22佐野 航大のプレーの変化や15デュークと7チアゴの連携、SBの関与、セットプレーの回数を増やす事で、ゴールに迫るスパークをかけることで、90分間での得点機会増に繋がっている。ただ、自分達が主導権を握るサッカーという点では、依然として課題が残っている。そこを残り約10試合で、カバーできるかどうか。

雉プレス(ファジアーノプレス)
 90分間のフルタイムの間、岡山式のハイプレスを続けること。2トップ、2列目、アンカーの7選手が積極的に、前からプレスをかけて、相手の組み立てを大きく牽制し、ボールを奪えれば、強力な2トップと2列目の選手が襲いかかる。そのプレス網を抜けても最終ラインの選手が、前に出て対応し、プレスバックで、自由を与えない攻守一体の岡山式プレス。

木山ファジBEST Ver1
 木山ファジの完成形。岡山が採用してきた3バック、4バック、5バックを1つのサッカースタイルとして体現。時間帯によって形を変える事で、対戦チームの対策を許さない。個性豊か選手を巧く起用することで、個の力を最大限引き出す。チアゴタイム、本山丸、ヤバス要塞、雉プレスと組織と個を融合した攻守にアグレッシブな完成形の1つ。

木山マジック
 あらゆる選択肢と可能性にセオリーや絶対はない。挑戦から修正、そして正解に近づいて行く中で、サッカーの完成度、総合力を高めていく。チームとしての戦術の幅は広がり、対応できないサッカーにより近づく。徹底した個人戦術と、組織的に戦術を兼備。予測不可かつ大胆な起用や策は、実は最適格。正攻法もしっかり採用し、その本質を見抜く慧眼と決断する豪胆さを持った勝負師でありながらリアリスト。その一手で、勝利を手繰り寄せる。

岡山一体
 輪笠 祐士が「秋田一体」のDNAを岡山に持ち込んだ。その時と同時にチームは、コロナで主軸に陽性者が続出の危機的状況に陥った。ただ、「秋田一体」のようにチームの総力戦で、新加入の輪笠を含め、横浜FCにこそ敗れたが、結束して2勝1敗に乗り越えた。こうした経験がチームを一つにし、粘り強さと勝負強さを兼ね備えた結束力が、今の岡山にはある。

「岡山一体」のファジ造語の由来は、もちろんブラウブリッツ秋田の「秋田一体」

代表作

2021ファジアーノ岡山にフォーカス46
J2:第42節:ファジアーノ岡山 vs ジェフユナイテッド千葉
「有難う有馬さん、有難う椎名さん、有難うファジ」
は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/n511a1b501907

筆者紹介


筆者紹介
 某ゲームから野球派からサッカー派へと移籍。当時チーム名が、ジェフユナイテッド市原であった現ジェフユナイテッド千葉に興味を持つ。オシム(監督)と阿部 勇樹(選手)を中心にJリーグと代表をチェックしてきた。2008年より地元クラブであるファジアーノ岡山のサポーターデビュー。そこから、多くのファジの試合を見てきた。忘れることのできないエピソードが年々増え、シーズンを重ねる毎に想いは強く深くなり、2021シーズンは、初めて号泣。心からサッカー好きで、戦術の奥深さや、プレーの凄さなど、サッカーの本質での攻防にフォーカスを当てて、客観性と冷静さを意識した文章を投稿している。そのレビューへと突き動かす原動力は、サッカーへの情熱。熱さと冷静さを兼ね備えたフォーカスを今後も目指して、投稿を目指していくことで、サッカーの魅力の発信と、サッカーを通じた交流による、感動の共有と縁の繋がりが、楽しみ。ただ、たまに調子に乗り過ぎて失敗する悪癖もあるので、治したいとは思っている。そんな私ですが、noteやSNS、スタジアム等で、交流できたら嬉しく思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。