株式の均等分割の罠!波乱の事業承継失敗例を紹介!!
今回紹介する事業承継の事例は、卸売業を営むB社です。
B社は、社長の急逝による株式の引き継ぎが招いた失敗事例となります。
事例の会社の主な概要
それでは、今回の事例のB社の主な概要のご紹介です。
家系図
B社長は2000年に脱サラして創業した社長で、キャンプ用品販売会社を経営。キャンプブームもあり、事業は順調に拡大し、業績も好調です。
そんなB社長ですが、2015年に体調を崩し65歳で急逝。
B社は、後継者を3年前より営業を担当していた次男Yが引継ぐ事となった。
会社の概況
B社は、業歴約25年で業績は安定。
先代のB社長の時代に、海外の有名キャンプ用品販売会社の販売権を有し、日本のアウトドア層に普及し、安定的な利益を計上している。
事業承継の内容
B社長が急逝したことにより、後継者を次男(以前より営業を担当)に決め、経営を担う事となる。
一方、長男Xは、役員に名を連ねているが、具体的な業務は担っていない状況である。
又、妻B’は、B社の業務には一切関わっていない。
経営は、次男に託したが、株式は均等に承継
Yは、営業担当の時から、幹部役員や社員、取引先の評判も良く、幹部役員の協力も得られ、大きな混乱を招くこともなく、経営手腕を発揮する。
一方、B社長の相続の際に、B社株式について、後継者のYに集中させる事をB社の顧問税理士より提案を受けたが、妻B'と長男Xの強い要望により、相続人3人全員で均等に配分する事になる。
長男より、B社売却の提案がある
2015年に先代社長Bより経営を引き継いだ次男YがB社を切り盛りし、経営は順調でしたが、ある日長男Xより、以下のような提案がありました。
先代のB社長より会社を引継ぎ、経営を行ってきたYにとっては、受け入れられる話ではないため、当然拒否をした。
これにより、長男Xからは、株主総会を開き決議しようとの提案を受けることに。
なお、母親であるB'は、元々長男XにB社を継いでほしいと思っていたことから、Xが希望するならとXの提案に賛成をしている。
事業の全部を譲渡する場合は、株主総会の特別決議が必要
この長男Xの提案により、株主総会を開いて採決を実施した場合、B'とXが賛成をすると、3分の2以上の賛成となり、株主総会の特別決議は成立してしまいます。
よって、Yが地道に経営してきたB社は、B'とXが結託することにより、事業譲渡が可能となり、Yは手放さざるを得ないという事になります。
今回のポイント
では、今回の事例の失敗のポイントを紹介します。
株式を均等に分割することで、意思決定に影響
事業承継の対策において、株式は後継者に集中させることが鉄則であるといえます。
これは、株主間の意見相違が機動的な会社運営を困難にするからであり、B社においても、今後の経営方針において、意見が相違したことが原因で、思わぬ方向へと会社が舵を切ることになりました。
当初は仲のいい兄弟姉妹であっても、会社運営において意見が対立することは、決して珍しいことではなく、長い年月を経過することで、兄弟仲も変化することを念頭に株式の配分を決めるべきであるといえます。
株式は、後継者Yに集中させ、経営の安定を図る
今回のB社のケースでは、後継者であるYにすべての株式を集中させ、Yが安心して経営をできるよう図る必要があったといえます。
その為には、先代社長のBが元気なうちに相続人に対し、後継者Yに集中させる旨を言い聞かせ、それと同時に遺言書により、B社株式のすべてをYに相続する内容を記載しておく事が望ましかったと言えます。
その場合、Bの財産のほとんどがB社株式であった場合、後継者Yとその他の相続人B'とXの間で、相続する財産の不均等が起こることになり、Bが存命中に対策を行っておく必要があります。
具体的には、以下のような方法があります。
このように、財産が後継者に多く相続される場合の対策は、Bが元気なうちに実行しておくことが非常に有効です。
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まとめ
今回は、事業承継において、株式を相続人において均等に配分してしまったために起こった失敗例を紹介しました。
事業承継においての本質は、会社の経営をスムーズに後継者に引き継ぐことです。
現在は、事業承継において様々な手法が取り沙汰されている為、事業承継の本質を見えにくくしてしまっています。
B社のように、経営が不安定にならないよう、本質を忘れることなく、対策を行うようにしましょう。
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