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【有機化学】構造決定で分子式を最速で求める裏技①

こんにちは。いなりです。

今回は構造決定の最初のハードルである分子式を求める問題についてです。

分子式を求める問題はある程度パターン化されているため、習得してしまった方からすると簡単だと感じるかもしれません。

しかし、皆さんが知っているであろう解き方は実は分子式を正確に、そして最速で求められないという点でコスパ最悪な解き方だという事を知っていますか?

今回は皆さんに、分子式の決定の問題を正確かつ最速で処理し、他の受験生を一気に抜き去ることができる裏技をご紹介いたします。

では早速ですが次の問題を考えてみましょう。

ある有機化合物21.6mgを完全燃焼させて発生した気体を塩化カルシウム、ソーダ石灰管の順に通した。実験後、塩化カルシウムは14.4mg、ソーダ石灰管は61.6mg質量が増加していた。また、分子量は108であることが分かった。この化合物の分子式を求めなさい。(H=1、C=12、O=16) (同志社大、改)


まずは一般的な回答を見てみましょう。軽く流し見する程度で構いません。

【一般的な解答】

これでも正解はできますが、いろいろな問題点があります。

では、この解き方の問題点を指摘していきましょう。

問題点1   C:H:Oのmolの整数比が求められないとそこで詰んでしまう

今回は、7:8:1ときれいな整数比になりましたが、この整数比が見つけられないともうそこでゲームオーバーです。

もし組成式が分かっていたら解けたであろう構造決定の後半の全ての問題が水の泡です。

こうなってしまうと有機化学の大問を丸々落としてしまい、入試での化学の配点を100点満点だとすると30点は確実に失うことになり、他の教科でかなり巻き返したとしても、1点を争う入試では、ほぼ巻き返すことが不可能です。

実際、残酷なことに入試問題の中にはC:H:Oの比がきれいに求まらないものが数多く存在します。

問題点2   分子式を求めるまでの工程が多すぎる

この解答では、Cの質量を求める→Hの質量を求める→Oの質量を求める→Cのmolを求める→Hのmolを求める→Oのmolを求める→C、H、Oのmol比を求める→組成式を求める→分子式を求める という10工程を経てやっと分子式がもとまります。

こんな時間のかかる解き方で解いていたら、途中で計算ミスをする可能性が高まるのと、この解き方が定着してもすぐに忘れてしまい、結局膨大な演習量が必要になるでしょう。

ちなみに、今回紹介する解法で解くと、分子式を求めるまで10工程→4工程となり、最速で分子式を決定できます。

前置きが長くなってすみません。

これらの前置きでは、一般的な解答がいかにめんどくさく、ミスを誘発するという点でコスパが悪い解法であるということを理解していただくために説明してきました。

それが理解していただければ大丈夫です。

さあ、いよいよ本題です。

ではまず、分子式を最速で決定していく上で最重要となる考え方を学びましょう。(最重要となる考え方といっても皆さんはおそらくもう知っている事だと思いますので、身構えずに楽な気持ちで読んでみてくださいね)

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