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トレーラーハウスの企画開発 No.06【生産工学的アプローチ】

本記事ではトレーラーハウスの企画開発について解説をしています。第6回目のテーマは【生産工学的アプローチ】です。

 

ものづくりにカイゼンを!【生産工学的アプローチ】

前項まではトレーラーハウスの「設計としての」作り方を中心に解説をしてきました。本項では実際の「ものづくりとしての」作り方に対して、お勧めしたい手法を中心に解説してゆきたいと思います。

その手法とは、「生産工学的なものづくりへのアプローチ」です。このアプローチはトレーラーハウスの製造において大変有効であると考えています。

 

生産工学的アプローチ

住宅の建設と違い、トレーラーハウスは屋内での生産になることが多いと思います。これは見方によっては、「現場施工の建設工事」から「工場生産による工業化製品」への変換になります。そうなりますと現場施工では困難であった様々な課題に取り組むことができるようになります。

その一つが、生産工学的アプローチです。

工場内で生産するということは、各工程を分析し、整理し、問題点を洗い出し、改善してゆくという、現場施工では取り組むことが難しい様々な改善活動を実施することができるようになります。

以下、自動車産業や住宅産業で取り組まれている手法を参考にしながら、トレーラーハウスへの生産工学的アプローチを具体的にシミュレートしてみたいと思います。

 

具体的なアプローチ

①工程区分

まずはトレーラーハウスを製造する工程を区分してみましょう。大工さんに組み立てから石膏ボードや建具まで一括して工事を依頼していても、工程別に依頼していても、どちらでも問題はありません。

実際の作業工程に立ち会いながら分析してゆくことから始めます。具体的には、レベル出し工程、躯体組立工程、屋根外装工程、内装下地工程・・・等の各工程を区分けしてゆきます。そのうえで、各工程の具体的な作業項目や使用材料などを明確にしてゆきます。

②工程分析

次に各工程の分析を行います。各工程内の具体的な作業項目を拾い出してゆくと同時に、一部の工程に対しては工数測定を行います。作業項目と作業工数を見える化することで、作業のムダを顕在化してゆくことが目的です。

例えば、何かしら不手際で不適切な工程順になったため工数がかかってしまった、必要な部品や工具を探していたことにより手待ち時間が発生してしまった、図面情報では読み取れず間違った施工をしてしまい手直し工事が発生した、等を一つ一つ洗い出してゆきます。

③改善研究

工程分析の結果を基に改善に取り組みます。改善には様々な対象があります。例えば、作業自体の改善(こうすればもっと早く正確に作業できる)、動線やレイアウトの改善(この場所に工具置き場があれば行き来の時間を短くできる)、工程の改善(工程順番を変えれば手待ち時間を減らせる)、情報の改善(設計図面の不備など)。これらを体系的に整えながら改善の提案をしてゆきます。

④改善反映

改善研究の結果を実際の工程に落とし込みます。作業を中心とした改善の反映だけではなく、前工程である設計情報の改善も反映してゆきます。

反映させた生産手順をもとに再度、実際の物件で工程分析を行い効果を測定します。期待どおりの成果が出ているか、その他にもムダが無いかを引き続き洗い出してゆきます。

このプロセスを定期的に且つ永続的に行うことで、継続的な改善活動を行ってゆくことが可能になります。

⑤ツール作成

これまでの改善の結果をすべての人が共有できるよう、ツールを作成してゆきます。ツールの形態は様々です。限度見本、作業マニュアル、次工程へのカンバンづくり、注意事項を作業場に掲示、等の方法が代表的であるかと思います。こうすることで改善が効果的に反映されるとともに、初めて生産に加わる人への教育にもつながります。

⑥品質管理

不具合の発生を抑制することも改善研究の活動に含まれます。例えば、なぜなぜ分析です。ある品質上の不具合があった場合、なぜそうなった?を繰り返し繰り返し深堀してゆきます。そうすると必ず原因を特定することができます(特定するまで行います)。

次に原因に対する対策を行います。例えば図面に部品のLRが図示されていなかったことによる不具合の場合は注意マークを付けた上でRLを図示する、色違いの部品を取り付けてしまった場合は部品置き場に色分けと連動したコンテナボックスを設置する、等の対策を行います。

各工程が終わった後の仕上がりチェックや出荷前チェックも大切です。品質的に必ず押さえておきたいことや、間違えやすい箇所に対してはチェックシートを作成して、次工程への引き渡し前や出荷前にチェックしておくことをお勧めします。

 

まとめ

トレーラーハウスは屋内の工事である場合が多いだけでなく、物件の仕様も共通化できることが多いと思いますので、生産工学的アプローチを行うには十分に適したプロダクトであるといえます。

トレーラーハウスの生産の際にはぜひ取り組んでいただき、コストダウンや品質向上にお役立ていただければと思います

次回更新は11月29日(土曜日)AM10:00を予定しています。

 

本記事はトレーラーハウスの企画開発に向けたアウトラインをテーマにしておりトレーラーハウスに係る全ての法律技術要件を解説しているものではありません。トレーラーハウスには多くの法律技術要件が関連しています。開発を行う際はご自身で十分ご確認のうえ開発をお願いします。

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