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Kの向くままにおススメ映画『質屋』ネタバレあらすじ感想日記

こんばんは。キリギリスなKです。今回は『質屋』。一言で表すと「人の心を取り戻す映画」です。



こんな人におススメ 

◎人を信用できない人、またはそうじゃない人にも
お金がすべてな人、またはそうじゃない人にも


要注意点まとめ 

▲白黒です、、けどそれは関係なく観るべき映画だと思います


こんな映画です 

原作はエドワード ルイス ウォーラントの同名小説。
主人公ソルの仕事は質屋。だが、質屋を営むお話ではない。
「神や人間は信じない、金がすべて」ていう彼の心の闇を表す職として、また後述しますが民族を代表する職として適当だったのでしょう。
真っ当に質屋を営んでいる人には申し訳ないけれど、、安く質入れさせて高く請け出すのがコツだと思うので質屋って職にあまり真心を感じないですね。。(金儲けてのはみんなそうですけどね)
で、それでもソルは何故か色んな人から話しかけられたり興味を持たれたりします。心根は優しい人だと何となしに判るのでしょう。


もう少し詳しく 

そんな彼の心を閉ざす闇とは、、、ナチスのユダヤ人強制収容所で妻子を殺され、それに対して何もできず自分だけ生き延びたという怒りや罪悪感、人間不信(と言うよりもはや人間に対する激烈な敵対心)です。監督がユダヤ人という事も説得力あり。忌まわしい記憶が突然蘇える編集技法は鮮烈。

要約すると、、ソルは強制収容所に身も心も質入れされ、それを請け出すのに莫大な代償を払ったというお話です(上手いぞ!)。


観た後はこんな気分になりました 

そしてその代償とは、、今までないがしろにしてきた人たち。テッシー、スミス、メンデル、バーチフィールド、ヘスース…。このラスト、主演の迫真演技はさることながら、クインシー ジョーンズの曲がGJ!
人の命や心の痛みを語る時に、人命を引き合いに出すのではなくて音楽と顔演技と編集と、序盤から頻繁に出てくる《アレ》で表現するのはとてもスタイリッシュでスマート!ラスト4分で評価ポイント+1!
※《アレ》というのはネタバレ配慮もあるけれど、公式名称がないみたいだからです。世の中に名前がない道具ってあるんですね。よく見かけるのに。

ソルは精神的に崩壊し廃人になったバッドエンドと捉えるのが普通?かもしれませんが、Kの解釈は、、、あの後《人の心》を取り戻すのだと思いたいです。根拠は、僅かな望みですがテッシーやバーチフィールドの存在。皆さんはどうでしょうか?


心に残ったセリフ 

ソル :「成功の秘密を教えてやろう。古い伝説だけが頼りだった。例え貧しい時でも自分たちは特別だと信じてきた。しかし耕したり狩りをする土地は一切なく、一ヶ所に留まれないから国土も軍隊もない。ではどうするか?まず布きれを1枚買う。2枚に切って1ペニー高く売る。また布を買い、切って利益を出す。その間、パンを1切れ買ったり子供のおもちゃを買う誘惑にも屈しなかった。もっと大きな布を買いに走ったのだ。このプロセスを何世紀も繰り返す。すると他の民族から疎まれレッテルを貼られる。悪徳商人、高利貸し、魔女、守銭奴、質屋などとも呼ばれた。それが我々ユダヤ人だ。」

『アリとキリギリス』がよぎりました。しかし上記を鵜呑みにすると、、ユダヤ人は勤勉さではなくてモノの価値を無理矢理倍にして売ってそれをまた倍にして財産を作っていったのだから悪徳と呼ばれても仕方がないような、、。まあ、どちらにしてもKはキリギリスなのでストイックに金儲けをする人たちはチョイ怖。人生楽しめてる?子供におもちゃ買ってあげてよ、とか思ったり。。

そんな感じに寓話的考察もできますが、本質は国家や民族の歴史。何世紀にもわたるすれ違いや怨恨は数年で解決できるようなものではないのです。悲しい歴史を繰り返さない為にも、こういった映画や記録なんかは過去のものではなく、むしろ未来に生きる人たちへの財産だと感じましたよ。

そして最後に、、大変蛇足ですが『アリとキリギリス』について。
原作がブラック過ぎて、現代ではキリギリスが食べ物を分けてもらい仲良しになる、といったほのぼのENDに置き換わっている事が多いようですが、
元来は、、、

キリギリス :「お腹が空いて寒くて死にそうです。食べ物を分けてもらえませんか?」

アリ :「ふざけるな、夏に歌っていたんだから、冬は踊って体温めたら?」

キリギリス餓死&凍死

。。。イソップさん、真面目に働く事や努力の大切さってのは解るけど、、こういうのが廻り巡って民族間の紛争の火種とかになるのではないかい?《寛容さ》とか《相互理解》なども教訓に盛り込んでほしかったですね。アリとキリギリスがお互いの足りない所を補い合えば、もっと素晴らしい世界になると思います。
蟻足、じゃなくて蛇足でしたー。


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