koyo@建築構造設計

建築構造設計をしています。好きな建築はと聞かれたら団地と答えるくらいの団地好きです。平…

koyo@建築構造設計

建築構造設計をしています。好きな建築はと聞かれたら団地と答えるくらいの団地好きです。平成生まれ / 本は紙派 / 地図好き / 面白いことが言えないタイプの関西人。 https://www.eu-plan.co.jp/factory/lp/kaiketsu/

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設計事務所に設計を依頼するとどうなるの?

いきなり設計事務所へといわれても?!前回は、建物を建てられる際は、意匠事務所へお願いすればよいという事が分かりました。 だけどお願いするなんて言っても、どういうことをするのか、どういう風にこれから進んでいくのかということがわかってないと、すごく不安ですよね。 そこで今回は、意匠事務所へお願いした後はどうなるの?をお話します。 デザイン案をもとに動きだす!意匠事務所はお施主様の要望をもとに、法律を遵守した図面を作成します。 (図面…構造や設備の大まかな規定をクリアしたもの)

    • 建築にはいったいどんな人が関わるのか?

      建築には誰が関わるのか? 建物を建てたい、リフォームしたい、耐震診断・改修をしたいという時に、 どこへ相談・依頼したらいいのか分からないかもしれません。 今回は、そんな個人・企業(以下、お施主様)と建築業界の関係をお話します。 3種類の立場から建築が作られる大きく考えて、3つのチームが関わってきます。 ・設計チーム→お施主様の要望をもとに、設計図を作成していくチーム ・行政チーム→作成された設計図をもとに、法律の適合性をチェックするチーム ・施工チーム→チェックされた図面

      • あらゆるすべての建築は名建築だ論

        ご安全に。@koyoarchiです。  普段は構造設計と、建築に関する生産性・業務改善が主な関心事なのですが、今回はデザインについての話です。(できるのか?) (※この発言は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません) あなたの思い浮かべる名建築とは? 突然「名建築を思い浮かべてください」と言われたとしたら、いったい何を思い浮かべますか?  オペラハウス?セントレア空港?祈りの教会?サヴォア邸? 確かに、どれも間違いなく名建築に値するものばかりです。(ち

        • これからの「木造」の話をしよう

          ご安全に。@koyoarchiです。  最近ずっと、空前絶後のハイテンションボルト不足に見舞われています。  深刻なボルト不足の影響は、もう本当に他人事ではありません。  声をかけていただいていた鉄骨造の案件が、最近一向に音沙汰がないな?と思って電話をかけてみると、やけに沈んだ声が。 「ボルト不足で計画すら危ういです…」  な、なんだってー! 木造は“最終手段”なのか?  結局この案件は、木造で作り直してみます、とのことでいったんまた基本設計に戻ったようです。

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        • 建築を建てたい人のための徹底ガイド
          2本

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          建築設計はスケジュールが命という話

           ご安全に。@koyoarchiです。 先日絶対厳守のスケジュールの確認申請が無事下りました。 基本設計、実施設計、意匠の申請がスタートを切り、追いかけるように構造の審査が始まり、もう怒涛の日々でした… ホントに比喩ではなく1分1秒が迫るようなスケジュールで、今でも思いだすだけで頭の中がボッと燃え上がるような気持ちになります。 建築設計の時間は有限 当たり前のことですが、設計の時間は無限に用意されてはいません。 お施主さんは「このときにこの建物が完成していてほしい!

          建築設計はスケジュールが命という話

          働き始めてやっと「建築設計には生産性が大切」だと気づいた話

          ご安全に。 @koyoarchi です。  最近構造設計にどっぷりと漬かっています。 今回は「建築と生産性」について思ったことをまとめてみました。 --------------------- 学生時代と建築 学生のころ、製図室に残って模型を一生懸命作っていました。 早く仕上げて帰ってしまえばいいのですが、友達と建築談議をしながらついダラダラと進めてしまうんですよね(私だけ?)  夜も丑三つ時になれば棚の上に作った簡易なベッドにもぐりこんで、 これも建築学生の醍醐味のひ

          働き始めてやっと「建築設計には生産性が大切」だと気づいた話

          住む人のくらしに想いをはせる構造設計者

           これまで投稿してきた建築構造に関する記事のPV数が増えてきています。 みなさん、ありがとうございます。 普段はあまり目立たない構造設計者という存在が、なんとなく知ってもらいつつあるのかなぁと、とてもうれしいです。  今回は難しい話は置いといて、ふと感じたことです。 構造設計のやりがいのひとつ 構造設計は、地震や台風などの力がどのように建物を伝わっていくか、と想像してみることから始まります。 頭の中で力を流しながら、実際の計算ソフトにそれを反映してみる。計算が終わっ

          住む人のくらしに想いをはせる構造設計者

          ”強い“とはなんだ?災害に耐える建築物の作り方

          大阪北部地震、西日本豪雨、そしてつい先日の台風被害。 今夏は災害が続き、日本各地で多くの被害が起こっています。 ”二次部材”と呼ばれる箇所の損傷も多い 二次部材とは、地震や風に対して耐えるメインの部材ではなく、屋根ふき材や、外装材、天井仕上げ材などのことを指します。(ちなみに、非構造部材なんて呼び方もします) 豪雨や台風などの場合は、建物の柱や梁だけではなく、二次部材である屋根ふき材の剥がれや外壁の剥がれなども発生し、剥落による危険性もあります。 こういった被害を防ぐ

          ”強い“とはなんだ?災害に耐える建築物の作り方

          耐震診断の概要をシンプルに説明してみる

          「耐震診断」という言葉、いろいろなサイトでも目にすることがあると思います。 「診断」という言葉通り、建物の健康状態を判定することを指します。 建物の診断に取り掛かる前に、調査を行う必要があります。 調査が終わって、必要な情報が揃うと、いよいよ耐震診断を行います。 ここからは少し専門領域に入りますが、眠たくならないよう、かいつまんでご紹介したいと思います。 耐震診断でいったい何がわかるのか 耐震診断の特徴は、調査で得られた情報を基に、その建物がどれくらいの強さを持ってい

          耐震診断の概要をシンプルに説明してみる

          建物も人間と同じように「健康診断」しないといけない

          「建物調査」という言葉は、一般の方にはあまり知られていないサービスかと思います。 ここでは、どのような調査を行うのかをご説明します。 建物調査は「本当の姿」を確かめる作業 人もモノも、時間の経過とともに生まれた当初の状態から変化していきます。 建物は、工事中に変更が行われて図面通りに建物が工事されていなかったり、完成後でも増改築や修繕が行われることで、図面と異なることがあります。 また時間が過ぎていけばいくほど、柱や梁などの部材は、経年劣化によりビミョーに傷んでいくものです

          建物も人間と同じように「健康診断」しないといけない

          地震が発生する理由をシンプルに説明してみる

          ご存知の通り、地球は球体です。 ●地球は3つの要素で構成されています 中心にあるのが核、核を包むようにマントルがあり、表皮に地殻があります。 私たちが普段目にする陸地や海底は地殻ということになります。 マントルは基本的には固体と考えられていますが、核に近い方は、核の高熱によりドロドロしていて、地殻に近付くにつれて固まってきます。 ●底の深いお風呂をイメージしましょう  地震の大きな1つの要因は、このマントルが対流することにあります。 マントルは、空気や水と同じで、温

          地震が発生する理由をシンプルに説明してみる

          地震が起きたとき、建物はどうなるのか?(後編)

          前回は、建物が地震に耐える方法は、大きく分けて二つあり、 その抵抗の仕方から「強度型」と「靭性型」とお話しました。 https://note.mu/structure/n/n9801850c77ae 今回は、具体的にはどのような建物があるのかをお話します。 建物は一般的に、柱・梁で構成されています。地震が起こっていない時にも、それぞれ重要な役割を果たしていますが、地震が起こった時にも、地震に耐える為の要素(=耐震要素)として、活躍します。 柱・梁に加えて壁も一定の条件

          地震が起きたとき、建物はどうなるのか?(後編)

          地震が起きたとき、建物はどうなるのか?(前編)

          6月18日の朝に発生した大阪北部地震で、被害に遭われた方に心よりお見舞いを申し上げます。 私は大阪市北部に住んでおり、発生当日は出勤で駅までの道を歩いていたころだったのですが、とても怖い思いをしました。 こういう折だからこそ、改めて地震と建物についてまとめる意義があるかと思いました。  建物が地震に耐える方法は、大きく分けて二つあります。 その抵抗の仕方から「強度型」と「靭性型」と言われています。 その前に、「地震が起こると建物がどのようになるのか?」をご説明します。

          地震が起きたとき、建物はどうなるのか?(前編)

          建築設計がなかなか思うように進まない理由

          構造設計からの手戻りが多い プランが決まった時点で構造設計依頼を頂くことが多いのですが、 実際に計算をしてみると、ここの梁はもっと大きいものを使わないといけないということが判明したり、 ここに柱を追加しないといけないということが判明したりします。  その度に我々のお客様のデザイナーさんへ調整をお願いするのですが、 当然お施主様との打ち合わせの末のプランですから、そう簡単に変更できないこともあります。 そういうときは、デザイナーと我々、つまり意匠設計と構造設計がお互い

          建築設計がなかなか思うように進まない理由

          建築家という職能に働き方改革は訪れるのか

           建築構造設計の仕事をしていると、多様な人とのやりとりがあります。 デザイナーを始めとして、実際の工事を行う監督さん、材料業者、地盤の補強設計業者、そして私のような構造設計者。 一つの建物が建つということには、その裏側に何人もの人がかかわります。  構造設計は、私たちのお客様であるデザイナーから、 デザインプランを頂いて、計算を進めていきながら、すり合わせを行っていきます。  そのやり取りをしているメールの時間を見てみると、 深夜3時に送信していることもざらにあります。

          建築家という職能に働き方改革は訪れるのか