住む人のくらしに想いをはせる構造設計者
これまで投稿してきた建築構造に関する記事のPV数が増えてきています。
みなさん、ありがとうございます。
普段はあまり目立たない構造設計者という存在が、なんとなく知ってもらいつつあるのかなぁと、とてもうれしいです。
今回は難しい話は置いといて、ふと感じたことです。
構造設計のやりがいのひとつ
構造設計は、地震や台風などの力がどのように建物を伝わっていくか、と想像してみることから始まります。
頭の中で力を流しながら、実際の計算ソフトにそれを反映してみる。計算が終わってみると、自分が予想した通りの結果が出ている…大変なことも多いですが、自然の力をとらえることが出来ているような気分になり、手ごたえを感じることも多くあります。
このように、構造設計という仕事はある意味で対人の少ない仕事かもしれません。
ですが、時に構造設計の向こう側を感じるときがあるのです。
設計した先には「使う人」がいる
先日、耐震改修の準備調査現場に立ち会わせていただきました。
普段は図面上で見ている梁や柱などを、実際にこの目で見ることで、さらにイメージがふくらむなぁと思いつつ、ワクワクしながら現場へ向かいました。
現場では、梁を見るために意匠設計者のかたが壁の一部を外したり、図面と現物がどれほどの誤差があるのかとメジャーで測ったりと、いろいろなところを見学させていただきました。
その中で、お施主様であるお家のかたと意匠設計者のかたが、外した壁の穴からがらんどうになった屋根裏を眺めながら、
「ここは吹き抜けにするときっと気持ち良いリビングになりますよ」
「夜は月がキレイに見えますよ」
なんてことを話していました。
私たち構造設計者は、住む人の前に姿を現すことはほとんどありませんが、
その家の安全を支える役目として関与しています。
設計の依頼をいただき、やりとりをする意匠設計者のかたがもちろん私たちにとっての「お客様」ですが、そのまた向こうの「住む人」には、その家に込めた想いが存在します。
「ここには大きな窓がほしい」
「ここには大きくて気持ちいい吹抜けがほしい」
その想いを叶えられるのは、ときには構造設計者であるかもしれません。
・・・
そんなことを考えながら、今の物件に取り掛かっています。一流の構造設計者への道はまだまだ道半ばです。
読んでくださって、ありがとうございます。 感謝感激です。