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🌎【白い雲通信:岸田外交は大丈夫か?/G7広島サミットに際し】5月のオンライン講座(4回シリーズ)

 茅ヶ崎方式季刊LCT・編集委員の飯竹恒一です。今回は5月のオンライン講座 「元記者と挑む生ニュース2023春 オンライン講座Ⅱ 『読み・聴き』から磨く『書く力』のご紹介です。

3月の野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表「侍ジャパン」がメキシコ相手に準決勝で奮闘している最中、飛び込んできた速報は、岸田文雄首相がウクライナを電撃訪問するというニュースでした。

5月に自身の地元・広島でG7サミットを控えている中、G7首脳でウクライナを訪問していないのは岸田首相だけで、現地入りしたいという首相の思いはかねてから伝えられていました。一報に触れ、さしたる驚きはありませんでした。

むしろ注目したのは、首都キーウで岸田首相がゼレンスキー大統領に迎えられて日ウクライナ首脳会談が行われたのとほぼ同じタイミングで、中国の習近平・国家主席がロシアを訪問してプーチン大統領と会談していたことでした。英BBCは「日中首脳がそれぞれ、ウクライナ戦争で対立する両国の首都を訪問」(Japanese and Chinese leaders visit opposing capitals in Ukraine war)という構図で伝えました。世界のメディアの報道もこの切り口に力点があったように思います。

さらに言えば、この時の世界の一番の関心事は、中国がまがりなりにもウクライナ和平を仲介する外交を展開していたという点です。その意味では岸田首相のウクライナ訪問よりも、迫力がありました。習外交のしたたかさが際立ったと言えるでしょう。

岸田首脳としては、ウクライナ訪問の直前、「グローバルサウス(Global South)」と呼ばれる新興国の盟主を自認するインドを訪問し、モディ首相を広島サミットに招いたことは、一歩前進だったでしょう。G7議長国として指導力を発揮するためには、中国・ロシアとせめぎ合う関係にある西側に、グローバルサウスの各国をどこまで引き込めるかが、勝負どころだからです。

もっとも、習主席が中国の存在感を外交で巧みにアピールするのを見るにつけ、本来ならば、G7唯一のアジアの国である日本が、隣の大国である中国に働きかけ、ウクライナ和平の環境づくりを演出するべきだと感じます。現実はむしろ、台湾問題を背景に中国を敵に回す機運が岸田政権で強まっていて、これで本当に大丈夫なのか、余りに米国追随ではないかという心配もよぎります。

今回の講座では、こうした一連の動きをたどりながら、サミットに向けた岸田外交のあり方や今後の展望を探ります。活字と音でじっくり仕込んだうえで、果敢に英文ライティングに挑戦していただきます。(飯竹恒一)

「通訳・翻訳WEB」掲載
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