最近の記事

その場所がなくなって記憶は 

なんとなく以前住んでいたところを訪れてみた。といっても隣の区にあるから今までにも気が向くと時々行っていた。 そこは僕が京都に来て初めて住んだ場所になるんだけど、いつの間にかその下宿は取り壊されていて、新しくマンションが建てられていた。 京都への進学が決まり、住むところを探し始めたのがたしか3月末くらいだった。このためだけに京都に来て、よくわからないまま適当な不動産屋に入ったら、担当の人に「今ごろそんな条件で見つかるわけないでしょう!」とけっこう真剣に怒られた。そして紹介され

    • 星野道夫「長い旅の途上」

      長い間読みかけになっていた星野道夫の「長い旅の途上」の文庫を読み終える。この本に収められている「アラスカの呼び声」という文章の中で、彼がアラスカ北極圏をセスナで飛んでいた時に感じたことが書かれている。以下一部引用です。 ほとんど誰も踏み入らない、森の奥深くにある一本の木のもとに、かつて誰かが佇んでいたかもしれないといった気配のようなものは、僕もMTBで山の中を走っている時に感じることがある。この静かで人気のない山の中にも、かつては誰かがわずかの時間であれひっそりと佇んでいた

      • よく聴いている

        今年はめずらしいことに、良かったとはっきりと言えるアルバムがすでに3つある。だいたいいつもこんなに明確じゃないんだけど。なぜだろう? steve gunn & david moore / live in london この人たちは以前「let the moon be a planet (feat.bing & ruth)」というアルバムを出していて、それもよく聴いていた。これも前作と同じくギターとピアノだけの構成。彼らのことはよく知らない。 聴いていて全然飽きない。それはた

        • Paterson

          アップリンク京都でJim Jarmusch特集をしていて「Paterson」も上映されることを知る。僕はまあまあなPatersonのファンで、もう何度かアマプラで観ている。一度映画館で観てみたかった作品のひとつなので、迷わず観に行くことに決める。 ただ、上映回数が少ないので観に行ける日が限られていて、結局連休中の20時ころのやつになりそう。少し遅い時間だし一人で行くのも気が引けるので、妻を誘ってみると快諾する。 座席は2日前にネットで取ったんだけど、僕たち以外に誰も予約してい

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          京都の蕎麦 子 恋愛

          最近は妻が蕎麦にはまっていて、いろいろ店を調べては休みの日に二人で食べに行く、ということをここ数ヶ月続けている。 僕は西の人間なので、どちらかというとうどんのほうに親しみがあり、故郷にも有名な鍋焼きうどんの店があって父親とよく食べに行った。麺といえばうどんだった。 ただ、村上春樹のエッセイを読んでいると、昼間に蕎麦屋に行ってビールを飲んで、という場面が出てきたりするので、あー蕎麦も良さそうだな、と実は時々思ったりもしていた。 ところで京都はどっちだろう?今は蕎麦屋ばかり行って

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          小山俊一という人

          数日前に「小山俊一全通信」という本が届いた。これは七月堂という東京の小さな出版社が50周年記念企画として発売したもの。この小山俊一はメディアにはほとんど出てこない人で、いわゆる在野の哲学者として文章を書き続けていた。読者募集の広告を出し、数十部とか部数限定で自身の書いたものを発行していたらしい。彼自身は1991年にすでに病没している。 なぜ僕がこんな人を知っているかというと、話はずいぶん昔に遡ってしまう。 ちょっと個人的な話になってしまうので申し訳ないんだけど、高校生のころ

          小山俊一という人

          20240101

          少し前に車が壊れてしまい、もう3ヶ月くらい代車に乗っている。壊れた車はリアウインドウがばらばらに割れて、今は保険会社の指定した工場に預けている。この車、1991年式となかなか古いため、今でも修理に使える部品が見つかっていない。なのでおそらくこのまま廃車になる可能性が高い。それに20万キロちょっと走っていたからもう替え時かなあと思っていたところだったので、結局これを機に新しく車を購入した。タイミングとしてはちょうど良かったのかもしれない。でも20年近く乗った車だからさすがに少し

          2023に聴いてよかったものと、読んだもの

          聴いてよかったもの。25枚。 読んだもの。13冊。

          2023に聴いてよかったものと、読んだもの

          くるりのえいが

          初期メンバーである森信行を招き入れてのアルバム作成の様子を映画にしたもので、その作成過程がドキュメンタリーとして記録されている。そしてそのアルバムは「感覚は道標」という名で10月に発売された。 僕はいわゆるくるり初期派のおじさんなので、今回の企画はちょっと気になっていた。でも実際に出されたアルバムを聴くと、もちろん初期の感じなんてなく、僕が期待していたものはなかった。だからこの映画を観ても仕方がないのかもしれないけど、でもせっかくのくるりの映画なので観てみることにした。

          くるりのえいが

          aftersun

          アフターサンを観た。フライヤーやなんやらがとても魅力的だったので、配信をずっと心待ちにしていたんだけど、ついにU-NEXTで配信されたのでお試し期間中に観た。 ありふれたノスタルジックな話だと思っていたけど、それは表面上であって、内実はおそらくもっと暗い。描かれている事象の判断材料はあるものの、決定的なことは作品の中ではあまり述べられない。だから必然的に観る人の解釈に依るところが大きい。それが良いか悪いかはともかく、思っていた内容とは少し違っていて、ちょっと肩透かしを喰らわさ

          広島のこと

          ちょっと前に仕事の関係で2日間広島を訪れた。いちおうは仕事なんだけど、何とでもなるスケジュールだったので2日目はほぼフリーにした。事前にレンタカーを予約して、呉に行く計画を立てた。 実家が広島に近いせいもあり、子供の頃は家族でよく訪れた。たぶん父親が広島を好きだったのかな?夏になればよく行っていた記憶がある。大人になってからも何度か訪れ、子供たちとも家族旅行に行った。 それと数年前に知ったこうの史代という人の「夕凪の街 桜の国」を読んだことも影響している。いわゆる原爆ものの

          広島のこと

          みなみ会館の other music

          妻とみなみ会館に映画を観に行く。 みなみ会館は京都市内にあるミニシアターで、僕も学生のころから時々通っていた。数年前に移転して新しくなったんだけど、先月の9月に閉館が決定していた。 最後だから、ということになるんだけど、どうしても行っておきたいという気持ちがあったので行くことにした。上映作品を調べてみると「other music」というニューヨークのレコードショップが閉店に至るまでのドキュメンタリーがあった。たぶん今回の閉館と重ねたセレクトなんだろう。これを観ることにした。

          みなみ会館の other music

          法然院の electronic evening 2023

          9月中旬、妻と法然院の電子音楽のイベントに行った。Electronic evening 2023というやつで、もう20年くらい続いているらしい。法然院で音楽を聴けるなんて、しかも夜なんてなかなか良い。お茶やお菓子も振る舞われるらしい。 開演は18:00からだったけど、ちょっと早めに出たので17:00ころに着いてしまった。このあたりは観光地だし、たまにはうろうろしててもいいかと思ったんだけど、今日はやたらと暑い。実際、哲学の道を歩いたりするとほんと暑くて辟易する。どこか休めそう

          法然院の electronic evening 2023

          steve reich / drumming 

          滋賀県大津市のびわ湖ホールというところでreichの演奏があることを知り、妻と相談しチケットを購入した。 reichは現代音楽の人でミニマル・ミュージックの先駆者。terry rileyやphilip glass、la monte youngとかも同じくミニマルな人たちなんだけど、僕は以前からreichばかり聴いていた。特に「six pianos」はよく聴いていた。 この曲をしばらく聴いていると、各々のピアノのテンポが少しずつズレていき、そのズレによってその時々に新たな音

          steve reich / drumming 

          20230830

          富山での大竹伸朗の展覧会はとても良かった。彼の作品は直島でしか見たことがなかったし、回顧展と銘打っているだけあって、作品量も多く見応えがあった。とにかく良かった。富山ではもうちょっとゆっくりしたかったけど。 展覧会についていろいろ書きたかったけど、そんな気も起こらない出来事があった。 僕はこの展覧会のあと、コロナになってしまった。おそらくこの旅行中に感染した可能性が高い。JRに乗っていてもほとんどの人はマスクなんてしていないし、僕もつい外していることが多かった。おそらくそれ

          日記 大竹伸朗 lizzy mcalpine

          結婚する少し前くらいから、wordで日記を書いている。気が向いた時やどうしても文章にしておきたい時、文章にしないと自分の考えていることがわからない時など、不定期に書いていた。Facebookが流行ったころはそっちに日記めいたことを書いていたのでしばらく抜けていたりするけど、今では200ページくらいになっている。 最近特に思うんだけど、ちょっとスクロールするだけで何十年も前に自分がどんなことを考えていたか手に取るようにわかるのはちょっと凄いなあと思う。内容はしょうもないものがほ

          日記 大竹伸朗 lizzy mcalpine