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よく聴いている

今年はめずらしいことに、良かったとはっきりと言えるアルバムがすでに3つある。だいたいいつもこんなに明確じゃないんだけど。なぜだろう?

steve gunn & david moore / live in london
この人たちは以前「let the moon be a planet (feat.bing & ruth)」というアルバムを出していて、それもよく聴いていた。これも前作と同じくギターとピアノだけの構成。彼らのことはよく知らない。
聴いていて全然飽きない。それはたぶん音がちゃんと響いている感じがするからなのだと思う。音が響いて、その音響によって何か空間のようなものが現れてくる感じがする。たぶん僕はこれに驚嘆しているんだと思う。
そして、音の配置がなんとなく良いような気がする。ここでこういう音があればいいな、という僕の欲求にうまく合っている感じがする。
今日、たまたま車を運転しながらこの音楽を聴いていた。琵琶湖の西のほうを走っていた。このあたりは平野が広がっていて、その向こうには山々と台風の後のようなもこもこした雲が見えた。その風景と彼らの音楽がとてもぴったりときて鳥肌が立った。この音響による空間の広がりと、その時の風景の広がりがどこか似ているように感じたからだと思う。


jonny nash & suzanne kraft / passive aggressive
これも飽きずにずっと聴いている。特に1曲目がとても良くて、これがこのアルバムを印象づけている感じ。この人たちもよく知らない。
音と音の間にある無音が彼らの曲のベースにあって、聴いていると常にそこへと吸い込まれていくような感覚がある。音が発生と消失を繰り返す。まるで何かのシグナルが明滅するかのようにそれは繰り返される。そして静謐さに対して持続的に緊張感を維持しているかのよう。知らない間に僕自身も息をひそめて聴いてしまっている。特に1曲目はそれが顕著。steve gunnのような音響による空間形成みたいなものはないけど、静かさというか無の中に埋没していく感じがなんだかいい。


j.albert & will august park / flat earth
この人たちも奇しくも男性二人。3つとも男性二人。謎。
彼らはエレクトロニカに分類される音づくりで、この人たちもなんだかついつい聴いてしまっている。ジャケットはなんだかキリンジっぽい。
先の二つに比べて特筆するような1曲というものはない。抽象性のバランス加減が絶妙な感じはする。あとミニマル具合も。
聴いている時の心持ちのようなものは先の2枚となんか似ているけど、それらに比べると間口が広いような感じ。その反面、それほどまでの没入感はないかもしれない。でも、そのぶん耳あたりはいいのでついつい聴いてしまっている。なんというか、いろいろがちょうど良いのだ。


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