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法然院の electronic evening 2023

9月中旬、妻と法然院の電子音楽のイベントに行った。Electronic evening 2023というやつで、もう20年くらい続いているらしい。法然院で音楽を聴けるなんて、しかも夜なんてなかなか良い。お茶やお菓子も振る舞われるらしい。
開演は18:00からだったけど、ちょっと早めに出たので17:00ころに着いてしまった。このあたりは観光地だし、たまにはうろうろしててもいいかと思ったんだけど、今日はやたらと暑い。実際、哲学の道を歩いたりするとほんと暑くて辟易する。どこか休めそうな店を探そうということで北白川に向かって歩いていくと、ホホホ座という古本やCDを扱う店を発見する。店内をうろうろし、僕はアンドレ・モーロワという人の「私の生活技術」という文庫を買う。土曜文庫という聞き慣れないところから出ているのと、装丁がシンプルなのに惹かれた。妻は絵本がいくつか気になったみたいだけど、荷物になるのでやめたみたい。


開演時間も近づいてきたので、急いで法然院に戻るとすでに行列ができていた。受付をすまし、薄暗い部屋に誘導される。ここでは長方形で囲われたライトが畳の上に設置され、その中ではモノクロの映像が明滅している。時々人が中に入りなにか作業をしている。それを見ながら御抹茶と宝泉の菓子を頂く。


さらに奥の部屋に行くとすでに演奏が始まっている。室内はとても暗い。大きく映し出されたプロジェクションと機材だけが光を放っている。音楽自体はほぼ無名の人たちによるアンビエントということで、特に害もなく引っかかりもしない。ただ、庭のプロジェクションはとても綺麗。これが気になってしまって、室内のインスタレーションは疎かになりがちだった。


最初は後ろのほうに座っていたけど、左側に縁側があったのでそちらに移動する。風が通り抜けていくので涼しい。庭からは虫の声がする。でもやっぱり庭のプロジェクションが気になってしまって、そっちばかり見てしまう。結局2組目の演奏後にプロジェクションが映し出される庭のほうの縁側に移動する。
僕はもう庭に体を向け、ずっとプロジェクションを見ることにした。木々の枝葉にもプロジェクトが当たるから、奥行きができて立体的に映し出される。このプロジェクションを見ていると、まるで夜の海を漂う船から見える陸の灯りのようでもあり、小川を彷徨う蛍のようでもあり、音のない花火のようでもあった。そして時々僕がマンションの屋上から見ている夜の京都の街並みのようにも見えた。とにかくずっと見入ってしまった。だんだん頭がぼんやりしてくる。気持ちいいのだ。ちょっと寝そうにもなる。見ていて全然飽きない。結局室内のインスタレーションは全然見ず、ずっと庭を見ていた。

庭のプロジェクション。
あ、noteって動画のせられないのか、残念…


全ての演奏が終わってからも余韻がすごくて、しばらくぼんやりしていた。車の運転もスピードなんて出す気にもならず、ずっとのろのろと走る。
夕食はちょっと気になっていたところに行く。店構えはカジュアルにこざっぱりとしていて、人も少なかった。サラダと前菜とソーセージを食べる。妻はビールを飲む。ソーセージは味が濃い。居心地は悪くないけど、途中から入ってきた学生みたいな女子がうるさくて辟易した。

まあでもとにかくプロジェクションがとても良かった。パンフレットを見ると、otographという人たちの作品らしい。また見る機会があればいいんだけど。

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