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steve reich / drumming 

滋賀県大津市のびわ湖ホールというところでreichの演奏があることを知り、妻と相談しチケットを購入した。

reichは現代音楽の人でミニマル・ミュージックの先駆者。terry rileyやphilip glass、la monte youngとかも同じくミニマルな人たちなんだけど、僕は以前からreichばかり聴いていた。特に「six pianos」はよく聴いていた。

この曲をしばらく聴いていると、各々のピアノのテンポが少しずつズレていき、そのズレによってその時々に新たな音像が出現する。これがフェイズ・シフティングと呼ばれるもの。また、聴き手が任意のテンポだけに集中して耳を澄ますことで、部分的な音像を抜き出すことができるんだけど、そういう聴き方ができるのもこのミニマルさならだと思うし、とてもおもしろい。
また、彼の音楽はテクノミュージックの基礎となっているとも言われていて、わりと最近の人たちが演奏したりもしている。


今回聴いたdrummingはreichの代表作。4部構成になっていて、ボンゴ、マリンバ、グロッケン、そして3つ全て合わせての演奏。合計12人で演奏していく。今回は滋賀県出身の打楽器奏者のみで演者が構成されていた。
演奏は全部で1時間ちょっとだった。reichの演奏は初めて生で聴いたのでなかなか感慨深かった。マリンバでの演奏を聴いた時は「ああ、ライヒだなあ…」とちょっと感動してしまった。録音ものとは違って少しピッチがずれてたりしてたとは思うけど、でも生で体感するフェイズ・シフティングは快感だった。ずっと集中して聴いてたせいか、演奏が終わったら体全体がこわばっていた。妻は退屈かもなあと思ってたけど、結構良かったらしい。

去年はcageを聴けたし、今年はreichを聴くことができた。あとはmeredith monkが聴けたらなあと思うけど、この人の演奏をやってるのなんて聞いたことがない。たぶん無理だろうなあ…


演奏の後、琵琶湖民の妻がひさしぶりに琵琶湖が見たいというので、車で湖岸沿いを走る。僕はふとこの近くに妻と初めて出会った場所があることを思い出し、そこへ行ってみることにした。
大学生のころ、仲の良かった2人とこのあたりをバイクで走っていた時に、1人が転倒して足を骨折し、近くの病院に運ばれてそのまま入院した。僕は何度かお見舞いに行ったんだけど、ある日、入院した彼のバイト先の友人たちが病室に来ていた。そのうちの1人が今の妻だった。
その時に彼女と特に何かを話した記憶もなく、彼女のことが特に印象に残ったわけでもない。ただ、この時に出会った時のことは記憶というかひとつの事実として、わりとくっきりと僕の中に残っている。今思えば、結局あの時の時間は現在とつながっていて、それは僕自身にとってのひとつの基軸というか発起点のようなものだと言えるような気もする。だからなんだ、と言われそうだけど、でも、この嘘みたいに長い付き合いになってしまった妻とのはじまりの時点に立ち返ることは、なんとなく意味があることのように思う。
妻はというと、この時のことを覚えていたかどうかは明言しなかった。まあいいけど。

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