短歌集 いのちいのち
いつの間にこんなに弱い人間になったのだろう泣いてばかりだ
何もかも一生懸命やりました死ぬことだって頑張りました
いのちいのちどうしてぼくは生きていてまだ生きなくちゃいけないですか
Wiy do I live in such a world l said
絶対に自分が一番悲しいと泣いてる君の横で泣けない
悲しみがいつまで経っても終わらない命が続くどこまで命が
私たち自由になれば何をして誰と出会って生きたのだろう
この道はどこまで行っても終わらないいっそ空でも見上げたらいい
かなしいね大事な人が死んだから涙流れてくれないものね
目をつぶる大事なものを見落としてしまわぬように茶色く光る
日常をふざけて生きていきましょう大人は言葉捨てるべきです
ここにある幸福さえも手放して僕は痛みに逃げ込みたいの
終わったら電話をかけてくださいと言って携帯電話を燃やす
好きだよねそうだよ好きだ文句でもあんのかやるかだまれこの野郎
どこまでも歩き続けてゆくよりも枯葉のために立ち止まりたい
これ以上我慢しなくていいよねと訴えかけるかわいい尻尾
生き方を変えたい大切な人をもうこれ以上壊したくない
次々と死んだ次々次々と死んでいくのだ生まれたくせに
ねえ誰に死ねと言われて死ねなくて泣いているんだ君の叫びは
黄昏を食べようとして間違って自分を殺してしまうウミウシ
正確に虹の原理を書くテスト絵本作家にぼくはなりたい
ねえあんたいつになったらいい加減ぼくを許してくれるんですか
父親を大事にしよう母親を大事にしよう大事にしなきゃ
よく無事に帰ってきたね濡れた羽雲の上でも雪は降るのね
天井を眺めるずっと無機質な人生なんだろうかこれから
秋の頃ぼくは優しいまなざしで仔猫を海に捨ててきました
星たちは深い森からやって来てそして森へと沈む毎日
春めいて帆船が白く光る頃ポテトサラダを君と作った
君が空を押し上げたから今日まるで秋のようだとコートを羽織る
気怠さにクーラー効かぬ図書室で奇数について証明をした
ただ君に会いたくなったそうだった連絡先は消したのだった
生きていることが辛くて仕方ない命はすぐに溶け出てしまう
瓦解する感情憎しみの淵に腰かけている鉛筆削り
自分にはできないことと言いながらナイフを喉元へ突きつける
誤って飲み込んだこの憂鬱を溶かす言葉を探す明け方
大丈夫になるよあなたのこれからは今のあなたを支えていける
神様にもたれ考え込んでいるどんな私が好きか嫌いか
理由などないのそしたらなおのことどうして私だったのだろう
絶望の腹にナイフを突き刺して内臓抉り希望を探す
人生はどうにかなると信じてる他人の力を借りさえすれば
忘れてるわけではないが思い出すことができない感情たちと
私は命あなたの命どこまでも背中をふっと預けるつもり
分かち合うものしかないや分かり合うことができないからこそ僕ら
そんな場所で死んじゃいけない手放して再起不能になってもいいさ
点描を重ねる日々に終止符を打った最後のペン先をしまう
台風が過ぎる頃には完全に僕は大人になっていました
どのように生きても良いがそれ以上他人を望むのはやめておけ
これは傘これは夕立これは君君と生きているその証
靴下を脱いだら小指薬指中指人差し指親の指
苦しみは終わったけれど苦しみは消えないものね私も同じ
いつの日かどうでもいいと気づくでしょう他人の評価なんてそれまで
なるほどなあどうやら僕の作品は評価されない人生らしい
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