必要は発明の母 ~浮力調整器の生まれについて~
前回は、浮力調整器の概要について、お話しさせて頂きました。
今回は、この浮力調整器の生まれについて、お話しします。
ここで言う生まれは、世の中にあるいくつもの種(事業ネタ)から、芽を出す(事業アイディア創出と実現の可能性検証)ところまでについて、お話しします。
芽が出た後、枝葉が伸び、そして、最後に花や実がなる(=上市され、お客様のお役に立てた時が収穫と定義してます)。この浮力調整器は、まだ花や実までたどりついていません。芽が出た以降のお話は、また、おいおいします。
あっ、申し遅れましたが、簡単に自己紹介をしておきます。
私Writer R.F.は、57歳♂の古川と申します。
35歳の時にPADIのCライセンスを取得しましたが、数年にツーダイブ程度のなんちゃってダイバーです。
ダイビング写真はいつも、ショップのインストラクターに頼んでいます。
だって、ダイビングしている時は、泳ぐのに必死でして・・・・・カメラ撮影なんて余裕なしです。
自己紹介は、これくらいにして、本題の『浮力調整器の生まれ』について、はじまりはじまり。
事の始まりは
発案者のお名前は、小関さん。
小関さんは、還暦を過ぎた素敵なおじさま。
家族と一緒に、旅先で楽しむ数年に一度のダイビング。
海中世界に感動し、それを伝えたいために、海中写真を撮りまくっていました。
しかし、自慢したい、思い出になる写真が撮れな~い。
下の写真(ハナヒゲウツボ)のように、
ピンボケ 画角外れ (´;ω;`)ウゥゥ
画角に入ったが、、、ピンボケ ( ノД`)シクシク…
やっと撮れたヾ(≧∇≦*)/やったーと思ったが、ひげの一部が画角外れ
老眼も相まって、納得のいく写真は、撮れても100枚に1枚程度
せっかくのダイビングも撮影時間に費やされてしまっておりました。
正直言って、これまでの水中カメラでは、「リアルに・簡単に・手軽に」海中世界を記録できなかった」という困りごとから、コトは始まりました。
発想の原点
リコーでは、「RICOH THETA」なる360度カメラを開発・製造・販売しております(360度のカメラとしては、世界初)。
THETAは、ビジネス分野の他に、旅行、レジャー、スポーツ、イベントなど、コンシューマでもご利用されてはおりますが、ダイビング業界ではあまり知られておりませんでした。
小関さんは、このTHETAを防水ハウジングに入れ、ハウジングを右手で握り締めて、ダイビングをやっていたそうです。
すると、親指のドアップと自分の顔が大きく写り、全く、360度カメラの特徴が活かせない。
そして、思いついたのが、
「もし、このTHETAを手放しで使えたら、どんなに良いでしょう」
→未来を見ている感じ
そして、日々、考え・お風呂で実験・失敗・考え・また実験・・・の繰り返しでたどり着いたのが、お魚の浮袋
お魚は、浮袋の体積を変えることによって、「浮いたり、沈んだり、また、浮きも沈みもしない(中性浮力)こと」をいとも簡単に行っている。この原理を模倣しました(詳細は内緒ですw)。ちょっとカッコよく言うと、「生物模倣(英語では、biomimetics(バイオミメティクス)」、人間が生まれる前から進化し続けた生物の体型、色、機能などを模倣し、活用する技術の事です。
そして、これを実現すべく試作を繰り返した結果、
水中や海中で、浮かんだり、沈んだり、また、中性浮力状態に保てる、浮力を調整できる機器を作り上げました(=芽が出ました)。
そして、この発想の原点(THETA×お魚の浮袋)の裏側には、「自分がもっと楽しみたい」「家族とも一緒にダイビングしたい」「自分で感じた体験を皆に自慢したい」等があったこと。そのためにはどうすればよいのか?考えに考え、試行錯誤をした結果、この浮力調整器の原型が生まれました。
やはり、「必要は発明の母」ですよねぇ。
まるで他撮りの様な自撮り
そして、浮力調整器で初めて撮った映像がこちら。
小関さんをアドバンスダイバーにしてくれたインストラクターとプールで実験の時です。
「まるで他撮りの様な自撮り 2ショット」に成功しました。
下の「初めての写真」をクリックすると、360度の映像を見ることが出来ます。
浮力調整器により、360度カメラTHETAが、浮きも沈みもしない中性浮力の状態であることが分かります。
まとめ
私は、二年ほど、ベンチャーキャピタルで働いていたことがあります。
200社ほどのスタートアップ企業を見てきました。
起業家の方は、事業アイディアを探すと言うより、「自分が欲しいから」「自分の家族のために」「とある面倒を楽にするために」「不満を解消したいから」等々の問題や課題を一般化すること。そして、それらを自分事として捉え、イノベーションを起こす方が多かったですね。
イノベーションって、こんなかんじで生まれるのかなと思う。
①今よりも、より・良い/楽しい/面白い生活をしたいと、いつも前をみる。
②そうすると不満がみえてくる。そして、「面倒だけど多少我慢すれば」「誰かがやってくれるだろう」と、諦めたりするのではなく、自分事として捉える。
③自分で学んだり、人に教わったり、色々と試行錯誤することによって、その不満の解消方法を考案する。
④その解消方法が、他よりも優れてて、困っている人に普及したら、それがイノベーションと言われる。イノベーションは技術だけではない、ビジネスモデルによっても起こる。
やみくもに事業アイディアを探すのではなく、先ずは普段の生活から、不満を導き出し、本気で自分事として捉えることが大切だと思う。
このnote、ちょっと気になったなーと思いましたら、フォローしてくれると、うれしいです。
Writer R.F.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?