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老舗居酒屋の閉店はやはり寂しい。

京都の木屋町三条にあった「よしみ」という居酒屋について。

お店がある以上はいつかは閉店すると思っていたけれど、いざ閉店となると悲しいものを感じる。

思い返してみると、レトロなもの、渋いものの良さを教えてくれたキッカケとなった店。

3年前に訪れていた。
その頃は店長はじめみなさんお変わりない感じだった。バイトの人数も私がバイトしていた頃よりも増えていたし、お客さんもそこそこ入っててやっぱり昔と変わらず通な呑兵衛に人気の店だなあと思った。

クジラ料理が食べられる貴重なお店。
選ばれし日本酒の美味しさはもちろんだが、アテも優しい味で美味しかった。
アテと美味しいお酒さえあれば、もう日常のストレスとか吹っ飛んでしまうレベルだ。
私はこのお店に出会う前はおでんに苦手イメージを持っていたが、「よしみ」のおでんを食べておでんの魅力を改めて知った。
色は茶色っぽい濃いめの出汁だが、かつおや昆布の風味が優しく広がる。
他店ではなかなか見られないそうめんやクジラのコロのおでんがあったし、季節メニューとしてえびいものおでんもあった。
京野菜を使ったメニューも多く、この店で初めて知った野菜もたくさんあったし、お酒を美味しく味わうためのアテも奥深いことを知る。
焼きそら豆、焼きギンナン、むかご、ホタルイカの沖漬け、鱧の骨せんべいなど、ファミリーレストランだけに行っていたら絶対に知り得ないようなメニューも、「よしみ」でたくさん知った。

私はこのお店で1年半ほどアルバイトの店員で働いていたが、ここでは料理を通じてお酒を楽しく飲む方法を教えてもらったような気がする。

社会人になってからも、渋い店構えの立呑屋など気になるお店があれば立ち寄ったりしている。

何よりも「よしみ」を通じて、日常から切り離された居酒屋という空間の良さを知った。

美味しいお酒を少し飲みながら、旬の魚や野菜を使ったアテをつまむ。

あれから少し経ってから経営困難になってきたのだろうか。


今思えば、最近は珍しいコの字居酒屋だった。
お店側からすれば全員のお客さんを見渡せる。
お客さんも調理している様子を見ることができて、自分が注文した料理がどんな感じで調理されて出てくるか見てワクワクしながら待つことができる。

時には愉快なお客様との交流もあったし、店長からお酒のアテで使われている食材についてのウンチクを聞くのも好きだった。

大学のアルバイトサイトで応募した時には、まさか自分が居酒屋を好きになるとは思わなかったが、
騒がしいお店よりも1人でも気軽に立ち寄れて日常の喧騒やストレスから少しでも逃避できるような空間が自分は好きなんだと発見できた貴重な経験だったかもしれない。

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