【三題小説】パンケーキ、靴、雨
「奈々、起きて」
隣の席の梨花の声がする。ぼんやりとしていた私は、コツ、と教授が靴底を鳴らした音ではっと目が覚めた。
灰色のスーツをきた教授は私の2つ前の席まで巡回し、また教卓に戻る。
「体調悪い?大丈夫?」
「ん、だいじょーぶ」
雨が降っているからか、外からもどんよりした空気が教室に漏れ込んでいる気がした。
「奈々、ここに一緒に行かない?」
教授の目を盗んで梨花がスマートフォンの写真を見せてきた。
「先週開店したんだって!」
レンガ通りに写真映えのカフェが開店したらしい。新