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【後編】これからのゲームPMが選んでいくべき道を考える|PM座談会 対談 vol.6

皆様こんにちは、プロジェクトマネージャー(PM)の久我です。
今年の4月から始まったPM座談会note。
半年間執筆させていただき、一旦区切りをつけようということで行った内川と久我のPM対談の後編をお送りします。

前編では【プロパーPMと外部PM】をテーマに対談を行いましたが、後編では【現在のゲーム業界での教育について】からスタート
▼前編はコチラ


「簡単に人は育たない」思いと現実のジレンマ

久我:教育を考えた時に、STANDはギルクリ会(※)の存在が大きいなと改めて感じるんですよね。

※ギルクリ会=STANDクリエイターが月1回オンラインで集まって行う勉強会。ソシャゲ業界専門キャリアコンサルタントいそぴー氏を講師に迎え、様々な講義が行われる

内川:そうですね。ああいった形で意見交換や、自分を見つめ直す機会は他の派遣会社だとあまり見ないですね。久我さんは教育面で「ここは良い」っていう会社はありました?

久我:印象に残ってるのは5~10年従事してきた先輩がメンターについてくれたK社でした。真逆で、入社3日ではい現場、あとは先輩に聞いてねって放り出されてしまう会社もありましたね笑。K社の新入社員は5月6月にならないとプロジェクトに入ってこないので、「こんなに違うんだ!」と驚きました。

内川:僕も別の企業で、メンターにつくのが新卒2年目の子だったケースを見たことがあります。その子もまだ学んでいる途中なので、本当にそれでいいのかは当時疑問でしたね。業界自体に学ぶ環境が不足していると感じます。

久我:STANDにもメンター制度はありますが、それぞれが別の参画先に行っているのと、守秘義務の観点から普段の仕事内容はどうしても見れない。加えて面談はリモートになってしまう…等、メンター側が難しいと感じる部分は多いと思います。そんな環境ではありますが、STANDは頑張っていると思っています。もちろん、「そこに行ったら自分は成長できる」という確信が持てる会社が見つかればSTANDより良い会社はあると思いますが、そうでなければSTANDは利点が大きいなと。

内川:私もメンターは担当してますが、多い人は週1くらい面談しないとわからないと思いますね。K社の時はどうでした?

久我:K社の時は、メンターメンティーは同じセクション、又は同じプロジェクトになるべく配属するようになっていましたね。「あの人とこういう話をしてて」みたいなのはやはり近くにいないと察知できないので。

でも業界を見ていると、やはり教育の優先順位が低くなってしまっている会社は多いと課題に感じています。簡単に人は育たないのに、中小規模の会社には育てる土壌が無く、お金や時間も取れない。教育できる場が整ったと思えば、教育する側も新卒の頃に受けた教育によって差があるので、教え方がわからない、なんて子もいます。

教育が十分でない 
  ↓
座組が不十分でプロジェクトが炎上
  ↓
どうしようもなくなってフリーランスや外注を高い金で雇う
  ↓
会社に財産が残らない

という負のスパイラルに陥っている会社も増えてきているんです。業界内だと外部から参画する働き方も当たり前にありますが、技術がある人ほどフリーランスになったり、転職したりで離れちゃうから、若手に教えられる人は残らないんですね。
フリーランスの単価は年々上がり傾向なので仕事できる人は稼げるんですが、炎上案件に当たっちゃうとそのまま疲弊のあまり業界から離れてしまうリスクも高いです。

この問題から目をそらさず、敢えて派遣的な働き方をしている人達にもちゃんと教育と保証を担保していく環境を作ろうとしたSTAND創立メンバーはすごいと思います。それもあって私はSTANDに来たところがあります。

それに、「これがやりたい」って言えば、企画・運営は精査されるものの、やらせてくれる風土もあります。このPM座談会シリーズも元々私がやりたいって言ってやらせてもらいましたしね。

内川:僕たちの記事や座談会を見てPMに興味を持ってくれたメンバーもいるみたいですね!
STANDの働き方的に、新卒でいきなりこういう働き方をする、というよりはどこかで一度ゲーム開発経験してきて、「更にステップアップしたい」「こういうクリエイターになりたい」という想いがある方にはスタクリという働き方はお勧めできます。

久我:スタクリとしてプロジェクト選択型の仕事をしつつ、ここはっていう会社に出会えたら転職する、っていうのがいいと思いますね。参画先はSTANDと協力関係にあるので、それを探しやすい環境だとも思います。「STANDにいるからこそ色々見聞を広げていこう」という気持ちで取り組んでいますし、この働き方を正社員環境の中で選択できる会社はなかなか業界には無いですね。

PMにおけるコンシューマーとソーシャルの違い

久我:PMというポジションは最近になって少し名前が認知されるようになってきた気がしますが、今でもPMがいないプロジェクトはありますよね。実際、いなくて回るならそれに越したことはないんですけどね(笑)

でも昨今のゲーム開発は年々大規模化してきていて、関わる人が100人200人、更に外注会社やクライアントも大勢…なんてこともよくあるじゃないですか。1人にかかる負担が大きくなるので、マネジメントの専門職がより必要になってきているんじゃないかと危機感を感じてます。

技術だけならフリーランスや派遣だけでも回るかもしれませんが、現実的な話、彼らの接着剤となる人がいないとチームは回らないので、今のゲーム業界にはPMが必要だと思うんですよね。今までは企画、ディレクター、プロデューサーがマネージメントの仕事をして回っていたなんてこともよくある光景でしたが…。

内川:今はコンシューマー需要が高いので尚更ですよね。その点、ソーシャルゲームの開発会社は元々webサービスの開発・運用からゲームに発展しているケースが多いので、開発にPMという職種が馴染んでいるのは1つのアドバンテージだなと感じます。サービス運営のノウハウも持っていますし。

久我:そうですね〜。元からソーシャル開発の会社と、コンシューマー畑の会社では考え方が全然違うので、以前にソーシャル開発に携われたのは良かったなと思います。

コンシューマーしかやったことない方は一度ソーシャルの現場も経験すると考え方が変わる機会になるなと思いました。内川さんはソーシャル一筋でしたっけ?

内川:はい。自分は逆にコンシューマー経験が無いのでやってみたいですね。久我さんはコンシューマーからソーシャルに移った時に、どこが違うって思いました?

久我:一番感じたのは「ゲームを作っている」という意識がコンシューマーと違うなと思いました。ソーシャルの方がセクショナリズムが強いと感じますね。

以前いたプロジェクトでは、マスターの前に企画とプログラマーが必死にデバッグしている中で、デザイナー陣は定時でささーっと帰っちゃうんですよ。自分の仕事は終わっているから間違いではないのですが、チームで仕上げていく意識の範囲がコンシューマーとは違うんだなと驚きました。会社も何も指示しなかったので、これがソーシャル開発か、と。

コンシューマーでも当然分業の部分はありますが、評価されるのはゲームがリリースされ、売れてからになるので、セクションの垣根を越えてリリースまでに詰め込むところがあるのかなと思いました。

内川:あ~…ソーシャルでもその意識がある方はちゃんといますが、そういう方は大抵リーダーになりますね。あとはソーシャルからコンシューマーに入るのは結構タイミングが合わないと難しいので、ソーシャル畑にいる人だとこれが当たり前っていうところはあるかもしれません。後は、ソーシャルが元々webサービスが土台だったのも大きいですね。
そんな人が経験値を増やしていきたいと考えると、STANDにいるのはいい選択になってくると思います。
いきなりフリーになって、「ソーシャルガンガンやってました、コンシューマーやらせてください」は現実、難しいと思いますね。

久我:最近は、Steam DeckやPlayStation Portal リモートプレーヤーも出てきて、益々コンシューマーとソーシャルの境界は曖昧になってきていると感じています。
どちらも経験しているとスキルにもなるので、PMに限らず相互の業界にチャレンジしてほしいと思います。

PM座談会noteの半年間、やってみてどうでしたか?



久我:PM座談会通して色々な話ができました。

内川:イリンクスの田中さんをお呼びしての座談会はよかったですね。ああいう外の方との関わりをもっと増やしていけたら嬉しいです。
他の派遣会社も頑張っているところはあるはずなので、そんな人達を集めて話すのも楽しいかもしれないですね!

久我:プロジェクトも忙しくなってきたこともあり、noteの継続更新は一旦これで中断ですが、PM座談会としての活動は続けていきます。
今後も(STAND所属のPMとして)PMというポジションの重要さを伝えられるような活動を続けられればと思います。ありがとうございました!

内川:今、現役のPMの方にも何か届くものがあれば幸いです。ありがとうございました!

▼イリンクスの田中さんをゲストにお招きして開催したPM座談会のレポートはコチラから


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