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朝令暮改のスタートアップ経営:アドリブ力が求められる時代

朝令暮改(ちょうれいぼかい)
→ 命令や法令などがすぐに変わって定まらないこと。

朝令暮改とは、命令や法令などがすぐに変わって定まらないことを意味する言葉だ。

朝に出した命令が、夕方には変わってしまうという状態を表している。

この言葉の由来は、中国の古典「漢書」に遡る。

「朝に命じて暮に改む」という一節があり、これが朝令暮改の語源だと言われている。

当時の中国では、皇帝の命令が頻繁に変わることが問題視されていた。

政策に一貫性がなく、民衆は振り回されるばかりだった。

朝令暮改は、こうした状況を批判する言葉として使われたのだ。

日本でも、江戸時代に朝令暮改という言葉が使われるようになった。

幕府の政策が二転三転することを批判する際に用いられた。

例えば、天保の改革では、老中の水野忠邦が次々と法令を変更した。

これを批判する際に、朝令暮改という言葉が使われたのだ。

現代でも、朝令暮改は否定的な意味合いで使われることが多い。

会社の方針が二転三転したり、政府の政策が場当たり的だったりする状況を批判する際に用いられる。

一貫性のない判断は、組織の信頼を損ねかねないからだ。

ただし、変化の激しい現代社会において、朝令暮改を全否定することはできない。

状況に応じて方針を変えることは、むしろ必要不可欠だ。

特に、スタートアップにおいては、朝令暮改的な判断が求められることも多い。

市場の変化に素早く対応するためには、方針を柔軟に変える必要があるからだ。

むしろ、スタートアップにおいては、朝令暮改はポジティブな意味合いを持つと言えるだろう。

変化を恐れず、果断に方針を変える決断力。

それこそが、スタートアップに求められる資質なのだ。

朝令暮改は、時代とともにその意味合いを変えてきた言葉だ。

かつては批判的な意味合いで使われていたが、現代では新たな価値を見出すことができる。

変化の時代に求められるのは、朝令暮改の精神なのかもしれない。

スタートアップとピボット

私は、20代半ばからスタートアップの経営に携わってきた。

その中で学んだのは、変化に対応することの大切さだ。

スタートアップは、大企業とは異なる環境に置かれている。

資金も人材も限られている中で、急速に変化する市場に対応しなければならない。

そのためには、当初の事業計画に固執するわけにはいかない。

状況に応じて、事業の方向性を変える決断が求められるのだ。

こうした方向転換を、スタートアップの世界では「ピボット」と呼ぶ。

ピボットとは、「軸足を変える」という意味だ。

事業の核となる部分は維持しつつ、方向性を大きく変えることを指す。

例えば、当初は個人向けのサービスを提供していたが、途中から企業向けにシフトする。

あるいは、国内市場を対象としていたが、海外市場に進出する。

こうした大胆な方向転換が、ピボットなのだ。

ピボットは、スタートアップにとって必要不可欠な戦略だ。

市場の変化に素早く対応するためには、柔軟な発想が求められる。

当初の計画に固執していては、チャンスを逃してしまう。

むしろ、失敗を恐れずに方向転換することが、成功への近道なのだ。

ただし、ピボットは慎重に行わなければならない。

安易に方向転換しては、かえって混乱を招くことになる。

ピボットの判断は、綿密な市場分析に基づいて行う必要がある。

自社の強みを生かせる分野はどこか。

顧客のニーズに合致するサービスはどのようなものか。

こうした点を冷静に分析した上で、ピボットの方向性を決めなければならない。

また、ピボットの際には、チーム全体の理解と協力が不可欠だ。

方向転換に伴う混乱を最小限に抑えるためには、社内のコミュニケーションが欠かせない。

ビジョンを明確に示し、全員で目標に向かって進んでいく。

そのための体制づくりが、ピボットの成功の鍵を握っている。

スタートアップにおいて、朝令暮改は必要不可欠だ。

変化の激しい市場で生き残るためには、柔軟な対応力が求められる。

ピボットという形で、大胆に方向転換する勇気が必要なのだ。

ただし、ピボットは慎重に行わなければならない。

市場分析に基づき、チーム全体で取り組む体制を整えることが大切だ。

そうすることで、朝令暮改はスタートアップの強みになるのだ。

ピボットの成功事例

スタートアップの世界では、ピボットの成功事例が数多く存在する。

当初の事業計画から大きく方向転換し、成功を収めた企業は少なくない。

ここでは、その代表的な事例を10社紹介しよう。

1. Twitter

Twitterは当初、Odeoという音声プラットフォームの内部プロジェクトとして始まった。

しかし、Odeoは思うような成果を上げられず、方向転換を迫られた。

そこで生まれたのが、Twitterというサービスだ。

わずか140文字で気軽につぶやける新しいコミュニケーションツールとして、瞬く間に世界中に広がった。

2. Pinterest

Pinterestは当初、Toteという名前のモバイルショッピングアプリとして始まった。

しかし、思うような成果が上がらず、方向転換を決意。

写真を中心としたソーシャルブックマークサービスにピボットした。

現在では、世界中のユーザーが利用する人気サービスに成長している。

3. YouTube

YouTubeは当初、動画版のオンラインデーティングサービスとして始まった。

しかし、ユーザーからは自由に動画をアップロードしたいという要望が寄せられた。

そこで、動画共有プラットフォームにピボット。

現在では、世界最大の動画サイトに成長している。

4. Slack

Slackは当初、オンラインゲーム「Glitch」の開発のために作られたツールだった。

しかし、ゲームの開発は思うようにいかず、方向転換を迫られた。

そこで、Slackをビジネス向けのコミュニケーションツールとして外部公開。

現在では、世界中の企業で使われる人気ツールに成長している。

5. Instagram

Instagramは当初、Burbnというモバイル向けのチェックインアプリとして始まった。

しかし、ユーザーからは写真共有機能の拡充を求める声が上がった。

そこで、写真共有アプリにピボット。

現在では、世界中のユーザーが利用する人気サービスに成長している。

6. Groupon

Grouponは当初、The Pointという社会活動プラットフォームとして始まった。

しかし、思うような成果が上がらず、方向転換を迫られた。

そこで、グループ割引サービスにピボット。

現在では、世界中の多くの都市でサービスを展開している。

7. PayPal

PayPalは当初、Palm Pilotという携帯情報端末向けの決済サービスとして始まった。

しかし、当時はまだPalm Pilotの市場が小さく、方向転換を迫られた。

そこで、オンライン決済サービスにピボット。

現在では、世界中のユーザーが利用する決済サービスに成長している。

8. Wrigley

Wrigleyは当初、石鹸とベーキングパウダーを販売する会社として始まった。

しかし、事業は思うように伸びず、方向転換を迫られた。

そこで、ガムの製造にピボット。

現在では、世界中で親しまれるガムメーカーに成長している。

9. Avon

Avonは当初、書籍の訪問販売をする会社として始まった。

しかし、販売員の女性たちが化粧品に興味を示したことから、化粧品販売にピボット。

現在では、世界最大の化粧品会社の一つに成長している。

10. Nintendo

Nintendoは当初、花札の製造販売会社として始まった。

その後、おもちゃ、トランプ、食品など、様々な事業に進出。

しかし、1970年代にゲーム機の開発にピボット。

現在では、世界的なゲームメーカーに成長している。

以上の10社は、いずれも事業の方向転換により、大きな成功を収めた企業だ。

当初の計画に固執せず、柔軟に対応することの大切さを示している。

スタートアップにおいては、ピボットは成功への近道なのだ。

変化の時代に求められる力

現代社会は、変化のスピードがますます加速している。

新しい技術やサービスが次々と登場し、ビジネスの在り方そのものが変わりつつある。

こうした時代において、朝令暮改の精神は欠かせないスキルになるだろう。

状況の変化に柔軟に対応し、新しい価値を生み出していく力が求められているのだ。

特に、AIが台頭する時代においては、アドリブ力が重要になる。

AIは、定型的な作業や判断を効率的に行うことができる。

しかし、予期せぬ事態に対応するのは、人間の役割だ。

状況に応じて柔軟に判断し、創造的な解決策を生み出す。

そのためのアドリブ力が、これからの時代に求められる力なのだ。

スタートアップにおいては、アドリブ力はさらに重要な意味を持つ。

限られた資金と人材の中で、変化に対応しなければならない。

場当たり的な対応では、成功は見込めない。

むしろ、状況を見極め、適切な判断を下す力が求められる。

そのためには、柔軟な発想と素早い行動力が欠かせない。

アドリブ力を鍛えることが、スタートアップの成功の鍵を握っているのだ。

では、アドリブ力を鍛えるにはどうすればいいのだろうか。

1つは、多様な経験を積むことだ。

様々な状況に身を置き、予期せぬ出来事に対応する経験を重ねる。

そうすることで、状況判断力や適応力が養われるのだ。

また、失敗を恐れずにチャレンジすることも大切だ。

失敗は成功の母と言われるように、失敗から学ぶことは多い。

失敗を恐れずに挑戦し、そこから教訓を得る。

そうした積み重ねが、アドリブ力を鍛える原動力になる。

さらに、多様な人々と交流することも重要だ。

異なる価値観や発想に触れることで、視野が広がる。

新しいアイデアや解決策を生み出すヒントが得られるかもしれない。

多様性を受け入れ、柔軟な発想を身につける。

それが、アドリブ力を高めるための秘訣なのだ。

変化の時代を生き抜くためには、朝令暮改の精神が欠かせない。

状況に応じて柔軟に対応し、新しい価値を生み出す力が求められているのだ。

そのためのアドリブ力を、私たちは意識的に鍛えていく必要がある。

多様な経験を積み、失敗を恐れずにチャレンジし、多様性を受け入れる。

そうすることで、予期せぬ事態にも臆することなく立ち向かえるはずだ。

アドリブ力こそが、変化の時代を生き抜く源泉なのだ。

まとめ

朝令暮改とは、命令や法令などがすぐに変わって定まらないことを意味する言葉だ。

かつては、為政者の一貫性のなさを批判する言葉として使われてきた。

しかし、変化の激しい現代社会においては、新たな意味合いを持つようになった。

特に、スタートアップにおいては、朝令暮改的な判断が求められることも多い。

市場の変化に素早く対応するためには、方針を柔軟に変える必要があるからだ。

スタートアップの世界では、「ピボット」と呼ばれる大胆な方向転換が行われることがある。

Twitter、Pinterest、YouTubeなど、数多くの企業がピボットにより成功を収めてきた。

当初の計画に固執せず、柔軟に対応することの大切さを示す事例と言えるだろう。

変化の時代を生き抜くためには、アドリブ力が欠かせない。

状況に応じて臨機応変に対応し、新しい価値を生み出す力が求められているのだ。

そのためのアドリブ力を鍛えるには、多様な経験を積み、失敗を恐れずにチャレンジし、多様性を受け入れることが大切だ。

そうすることで、予期せぬ事態にも臆することなく立ち向かえるはずだ。

朝令暮改は、かつてはネガティブな言葉として捉えられてきた。

しかし、変化の時代においては、むしろポジティブな意味合いを持つようになった。

状況の変化に柔軟に対応し、新しい価値を生み出す。

そのための朝令暮改の精神こそが、時代が求めているのかもしれない。

経営者として、私は常にこの精神を胸に刻んでいる。

変化を恐れず、果敢にチャレンジする。

失敗を恐れず、そこから学ぶ。

そうした姿勢が、スタートアップを成功に導く原動力になると信じているのだ。

朝令暮改。

その言葉が持つ意味は、時代とともに変化してきた。

しかし、変化に対応する柔軟性の大切さは、不変の真理と言えるだろう。

変化の時代を生き抜く私たちに、朝令暮改の精神が示唆するものは大きい。

その真意を理解し、実践することこそが、時代が求める経営者の姿だといえるだろう。


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株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。