見出し画像

「会計」でビジネスパーソンの上位5%に到達する最短ルート

はじめに

会計分野のスキル習得の最短ルート

こんにちは。STAです。いつも私の記事をお読みいただきありがとうございます。本記事は既に100以上のスキ、1,000以上のPVを頂き、とても嬉しく思っております。
私はビジネスマンとして30年近いキャリアの中で、英語以外にもその時々のビジネススキルを伸ばすために、試行錯誤で色々な勉強法に取り組んできました。出過ぎたマネかも知れず、異論等もあるかも知れませんが、この記事では、自身の専門分野の1つである会計分野のスキル習得の最短ルートについて述べてみたいと思います。私がそうであったように、会計知識ゼロの方でも全く心配はいりません。


資格試験を活用するが取得を目的とはしない

会計の資格でいうと公認会計士・税理士あとはUSCPA(米国公認会計士)の取得を想像される方もいらっしゃるかも知れません。たしかに、この記事でも、日商簿記や、銀行業務検定、税理士試験の会計科目(簿記論)等に触れています。
たしかに私の持論としても、資格試験というのはその分野の知識を体系的に習得するために構成された素晴らしい、最高の学習プログラムであり、学習に際して活用できるものは極力活用すべきだと思います。
ただし、ここでは効率的なスキルアップを目標としており、士業で生きていくことが目的ではないので、合格を目指す必要はないと考えています。最短ルート、タイパ、コスパの観点からは合格を目標とすべきではなく、80対20の法則の観点が必要です。試験合格に必要な労力と知識をそれぞれ100としますと、20の労力で80の知識を得ることを目標とすべきです。知識の残り20は枝葉末節です。この部分の習得に80の労力をかけるのはナンセンスだと思います(もちろん資格取得を目標とする場合は別です)。

実務で役に立つ「会計力」とは

ここでは私が述べている会計のスキルについて、イメージをお伝えしておきたいと思います。私のイメージする実務で役に立つ会計力とは、大きく2つの側面からなります。1つは、①企業の決算書から経営状態を分析する力(外から見る力)です。いわゆる財務分析スキルです。もう1つは、②企業の決算書を作成する力(中から見る力)、いわゆる経理スキルです。この全く異なる力の両方を高いレベルで持つ、というものです。片方だけの人はたくさんいます。ただ片方だけですと、自身の経験上、正しいビジネス判断を行うのが難しい場面も多々ありました。外から見る力だけですと、内側で実際にどのような会計処理(言い方に語弊があるかも知れませんが、恣意的な処理や、粉飾決算もあります)がなされているか、なかなか深く切り込むことはできませんし、中から見る力だけでは、自社の決算が外部(金融機関や市場関係者)からどのように見られるのかという感覚が弱いです。ビジネスにおける判断力を高めていくためには、両方を高いレベルで持ち合わせる必要があると思います。しかし両方を持ち合わせている人はあまりいないのが実情です。
私の場合、若手時代に金融機関で信用リスク(クレジットリスク)のアナリストをやっていましたので、まず①の「外から見る力」を身に付けました。この分野で上位数%に位置しているという自負があったのですが、のちに事業会社に出向して経営企画担当となり、その会社の年度予算の編成に携わったとき、経理部と協議する中で、自身には「②の中から見る力」が大きく不足していることを痛感させられ、この部分の補強に取り組みました。
①の力と②の力を高いレベルで合わせもった結果、真に会計分野で上位数%に位置しているという実感を得ることができました。以降、監査法人・公認会計士や社内経理・財務部門と折衝しても、困った経験はありませんし、自身より明らかに高いスキルを持っている人に出会ったことはほとんどありません。それでは私の提案する最短ルートについて述べていきます。

基礎力養成期(~3か月程度)

スタート地点~2週間程度(①の力・基礎編)-決算書読破術

改めて、会計未経験で大丈夫です。私も決算書ってなんですか?見たこともありません、という状態からスタートしました。
この時点では、決算書とはどういうものなのか、イメージ作りが大切です。
私が当時読んだのは「決算書読破術」という書籍です。改訂版が今も発行されています。この本を2~3回繰り返し読んで、①の外から見るイメージをしっかり持ちます。なお決算書の見方に関する本は多種多様なものが出ており、合う合わないはあると思いますので、ご自身で書店で手にとってご覧になり、自身に合いそうなものに取り組まれるのがよろしいかと思います。ご参考までに評価の高いものを以下に掲載しておきます。いずれも上記の通り繰り返し読んで、①の外から見るイメージをしっかり持ってください。
なお、どの本でも必ず説明されているとは思いますが、BS(貸借対照表)の左右のボックスの基本コンセプトは押さえて頂きたいと思います。右側(貸方)は、会社が外部から資金をどのような手法で調達しているか(借入金等の負債、株式発行か等)、調達状況を示します。左側(借方)は、右側(貸方)で調達した資金を、どのような手法で運用しているか(固定資産か、現預金か、売上債権か等)、運用状況を示します。シンプルですが、常にこの点を意識して頂くことで、その後の学習がスムーズに進むと思います。

スタート地点~3か月程度(②の力・基礎編)-日商簿記

上記と並行してで結構ですが、②の力の基礎固めを行います。
これは基本中の基本ですが、日商簿記の3級、2級に取組みましょう。私は若手時代の4月の異動でクレジットリスクアナリストの部署に配属されたときに、まずは3級の合格が義務付けられたのですが、3級だけでは物足りない、不十分だと判断し、自主的に6月の検定に向けて必死に勉強し、2・3級をダブル合格しました。
今だと、常時ネットで受けられるようですので、3級→2級の順番で受験されるとよろしいかと思います。
「①の外側の力(基礎編)」と「②の内側の力(基礎編)」との対応関係を考慮すると、3級だけでは不十分です。2級もしっかり勉強してください。複式簿記の考え方を自分の中に叩き込みましょう。
なお、3級・2級とも満点を目指す必要はありません。「帳簿組織」でしたり、「精算表(への転記)」、「本支店・本社工場会計」等がありますが、非常にテクニカルで、ここで述べる会計力とは少しずれてきますので、このような論点については、割り切って機械的に学習するだけで良いと思います。合格ラインの70点以上の部分は難しくはないですが、コスパ・タイパが悪いです。これらの点も考慮し、3か月程度で、3・2級とも70点の合格ラインを突破できれば、一旦よしとしましょう。
ちなみに、日商簿記は独学で、市販のテキスト・問題集で学習していましたが、これもご自身にあった教材を選んで頂ければと思います。
なお、本稿趣旨とは脱線しますが、2級の工業簿記の基礎的な内容はしっかりと学習することをお勧めします。原価計算を含め、このようなロジカルな考え方は、会計分野に止まらず、あらゆるビジネスシーンでの問題解決のための1つの基礎的なツール(考え方)となりえると思います。
以下、TACから出ている教科書・問題集です。ご参考までに。

以上が「①の外側の力」と「②の内側の力」の「基礎編」となります。この時点ではまだまだ、実感として力がついたという感覚はないと思います。あくまで、この後の「実戦編」への準備段階となります。では、その「①の外側の力」と「②の内側の力」の「実戦編」について述べたいと思います。

実戦力養成期(3か月~)

3か月経過~1年程度(①の力・実戦編)-銀検財務2級

①の力・実戦編を伸ばすカリキュラムというのが、②の力と比べて、私の知る限り、あまり世の中に存在していないように思います。その中で、上げるとすれば「銀行業務検定(銀検)・財務2級」と「証券アナリスト・財務分析」です。内容的には甲乙を付けるのは難しい部分がありますが、ここでは「タイパ」「コスパ」の観点から、「銀検財務2級」をお勧めしたいと思います(証券アナリストの方が受験資格を得るために準備講座の申込が必要で、その後1年間その講座を受講しないと受験資格が得られないため)。
銀検財務2級は「2級」とありますが、「2級」が最上級です。
まず試験の概要について述べますと、試験時間3時間、10問出題、回答は全て記述式と非常にタフな試験です。銀行(当時は地銀がメインでした)の中堅層が多く受験します。100点満点中60点が合格ラインです。
銀行目線で、融資先企業の財務状況について詳細に分析するスキルが求められます。銀行目線とありますが、業界を問わず企業の財務分析に活用できるスキルとして活用できると思います。
試験準備としては、経済法令研究会からテキストと問題集が出ていますので、これにしっかりと取り組めば合格できます。特に資格試験講座等はなかったかと思います。
このテストについては、本記事の趣旨からして合格することが目的ではありませんが、学習のモチベーションの観点で受験、そして合格を目指すことをおススメします。合格基準スレスレではなく、80~90点の高いレベルを目指すことをおススメします。この試験はスキルアップの観点からも、完璧に仕上げる価値はあると思います。
自身の場合、当時この試験の勉強自体が非常に面白く感じたこともあり、夢中で取り組みました。試験結果は90点での合格で、受験者約16,000人中、20位程度の結果でした。この結果自体非常に自信になりましたし、この時に身に付けた①の力が、現在も役に立っていると感じることが良くあります。

3か月経過~1年程度(②の力・実戦編)-税理士(簿記論)

②の力の実戦編は、資格試験の一部を利用する方法として、様々な選択肢があると思います。公認会計士、税理士、日商簿記1級、USCPA(米国公認会計士)等。私はこの中から税理士(簿記論)を選択しました(公認会計士は目指したことがありませんが、会計科目についてはほぼ税理士の会計科目と同じ、という前提で、ここでは税理士(簿記論)について話を進めさせて頂きます)。
まず、税理士(簿記論)が②の力の実戦編をほぼパーフェクトに満たす論点構成となっています。また基礎編の知識をもう1段も2段も深める内容となっています。もう1つ税理士の会計科目には「財務諸表論」という科目がありますが、これは様々な会計法規の暗記等も要求されられ、本記事の趣旨からするとほぼ無駄となります。簿記論一択だと思います。
日商簿記1級も一時学習しようとしたことはありますが(税理士科目合格よりも日商1級の方が、履歴書上インパクトが大きいかも、という下心もあり)、は会計の理論や、工業簿記・原価計算のうちマニアックでテクニカルな部分も入ってきますので、これらに取り組むとするとタイパ、コスパが悪いと思いますし、商業簿記にフォーカスするのであれば、税理士の簿記論の方が充実していたかと思います。
USCPAは資格が欲しい人以外は取り組むべきではないと思います。こちらも日商1級と同じ下心で一時学習したことはありますが、本稿の実戦力を付けるという意味でも、英語力を付けるという意味でも中途半端な印象を個人的には持っています。
私の場合、税理士の簿記論の勉強が大変面白くのめりこんで勉強し、8月の税理士試験では、当時の合格最低点が50点を切っていたところ、自己採点では65点程度を取得し合格を果たしました。この試験もスキルアップの観点から全ての論点を仕上げる価値はあると思います。
対策講座はTACの講座を受講しました。当時は会計の資格といえばTACでしたし、おススメできると思いますが、最近は色々な資格学校が講座を出しており、内容面・費用面も含めてご検討頂ければよろしいかと思います。なお最近はTACから詳細な参考書が出ていますので、以下ご紹介しておきます。ご参考まで。
なおこのテストについても、本記事の趣旨からして合格することが目的ではありませんが、内容的に無駄がほとんどなく、学習のモチベーションの観点で受験、そして合格を目指すのもアリかと思います。
ここまで②の知識を習得できると、当時在籍していた事業会社の経理部長と対等かそれ以上の感覚で会話ができていたように記憶しています。

その他関連知識

会計からちょっとずれますが、①と②のスキルの側面強化として、企業経営理論の知識についてもある程度基礎的なレベル感で持っていた方が、個々の会計における意思決定で誤った判断を下す可能性を軽減できると思います。
経営理論ということでMBA、というつもりは決してありません。これも自身の経験からなのですが、中小企業診断士1次試験の「企業経営理論」という科目がこの部分の補強としておススメできます。非常にコンパクトにまとまっており、科目自体のタイパ・コスパが素晴らしいです。
さらに、こちらの知識を習得することで、会社のマネジメント層に説明する際にもこれまでより自信を持ってプレゼンすることができるようになると思います。
こちらは受験しなくても良いですが、上記のスキルを強化する観点からは、合格レベルを目指すことをおススメします。
なお私は講座はTACの一次試験講座を受講し、全科目学習しましたが、本記事の趣旨からは、企業経営理論のみの学習で結構だと思いますし、資格試験学校の講座は単科受講が出来ない場合は、独学で十分だと思います。こちらは診断士受験専門学校が出している無料動画解説付きの参考書をご参考までに掲載しておきます。診断士2次試験前の復習で私も使用しましたが、おススメです。

さいごに

現場力と資格試験の活用法

以上、①企業の決算書から経営状態を分析する力(外から見る力)、いわゆる財務分析スキルと、②企業の決算書を作成する力(中から見る力)、いわゆる経理スキルについて、各々基礎編、実戦編に分けて、私の経験から考えられるスキル習得の最短ルートについてお示ししました。
繰り返し述べていますように、本記事は現場での実戦力にフォーカスしており、実戦力の短期習得(最短ルート)の観点からはタイパ・コスパの悪い資格試験合格は必ずしも目指していません。
ただし実戦力習得の観点からは、やはり関連する資格試験というのは、知識が整然と体系立てられた素晴らしいものであり、使えるところ、おいしいところをピックアップして、最短ルートでスキルアップを図っていこうというものです。

ビジネスパーソンの上位5%

ちなみに上位5%と書かせて頂いた根拠というほどのものではないですが、①の力でいいますと、銀検財務2級で金融マン16,000人のうち20位(0.1%程度)で5%以内、②の力でいいますと、税理士簿記論の科目合格率が10%程度のところ、合格最低点+15点程度で合格しましたので、すくなくとも5%以内には入っているだろう、ということで記載の通りにしてみました。この計算だけでいうと、本当は税理士簿記論はもっと上位の可能性がありますので、もしかしたら1~2%程度かも知れませんね。当然テストのスコアだけでは現場力は語れませんので、参考数値ですね。

資格だけでは食べていけない時代

資格だけではなかなか食べていけない世の中にもなってきました。アラフィフになっても転職市場で有利な活動を続けていけていることを考えても、資格に頼らない現場力を重視して学習を重ねてきた自身の考え方もあながち間違ってはいなかったのかも知れません。このようなアプローチも面白いかと思い、本記事を書かせていただきました。少しでもご参考にして頂ける部分がありますと幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

STA



いいなと思ったら応援しよう!