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グッバイ、骨になったおばあちゃん
「1月10日、おばあちゃんの納骨があるから空けといてね!」とおかんに言われても、「今更?」という感じだった。だっておばあちゃんが死んだのは6年前のことだったからだ。もちろん、おばあちゃんが死んですぐにお通夜もあったし、葬式も火葬もした。納骨もそのままの流れで済ませてしまうものだと思っていたのだが、小さな白い木箱に入ったおばあちゃん(の骨)は、それから6年間、俺の実家のおじいちゃんの部屋にある仏壇
もっとみる続・いいないいな、陽キャっていいな
いつもニコニコ、ハキハキ、水上くん。彼は居酒屋バイトの後輩である。歳は2コ下。背は小さめ、さわやかにワックスで立てた茶髪。そして何より、べらぼうに世渡りが上手い。
今日は久しぶりに水上くんとバイトのシフトが被った。居酒屋は今、コロナの温床だとメディアから目の敵にされ、経営が非常に厳しい状態となっている。大阪市にある我がバイト先、『下町ホルモンまるたけ』は時短営業の要請を受けて21時までの営業
ギターは天下の回りもの
今まで手にしたギターは何本あったのかな。演奏が上手いわけでもない割に、多くのギターと出会ってきたような気がする。
人生で初めてギターを手に入れたのは小学校5年生の時だった。アニメ『けいおん‼︎』にハマって、母親にお願いしたんだった。楽器の事なんか何も分からなくて、狭く薄暗い楽器屋で「これが良い!」と俺が指さしたのはベースだった。母親にやんわりと「ベースは難しいって聞くよ。」と諭されて、隣に置
ホームレスの写真展 淀川アジール
今これを読んでいる人は、ホームレスの家の中を見たことがあるだろうか。俺には、ホームレスのおじさんの家の中を見た経験がある。住所を持たず、川で食料を採って、必要なものは自分で作るホームレスのおじさんの家の中を、見たことがある。それも大阪市内で見たことがある。
まず「ホームレスの家」という文字列の中にある矛盾が気になる所だと思う。家がないからホームレスなんだろ、とツッコミたくなることかと思う。俺
大人になったな、大人になってしまったな、大人になり切れないな
負けず嫌いで思慮が浅くて、思った事をなんでも言わないと気が済まない。そんな中身が鼻垂れのガキ同然の俺でも、ちんちんの毛はボーボーだし、腹は出てきたし、なんとなく通っていた大学はそろそろ卒業するし、もう子どもではない。ふと、「俺も大人になったな」と思う瞬間がある。
それは、旬の野菜で季節を感じるようになった瞬間。春には「たけのこを煮たん」を食いたくなるし、夏はカレーにやたらとゴロゴロ夏野菜を入
もしも、ピアノが、弾けタララ
キーボードを買った。CASIOの電子キーボード。6600円。
ここ1週間くらい、「ピアノを弾けるようになりたいな」と急に薄っすら思うようになっていたところ、金スマで広瀬香美の弾き語り動画が特集されていて、強い衝動になった。
Amazonとかジモティーだとかメルカリで、キーボードを探していたのだが、お金に余裕がない俺は購入に踏み切れずにいた。
この間、ふらっと立ち寄ったハードオフに、お
残りの大学生活でやっておきたいこと
今日は肩の力を抜いて、ゆるっと書きましょう。4年生の秋ということで、大学生活ももう少しで終わり。やり残したこと、あるんですよね。それも大した事ないやつ。語学留学とか、ボランティアとか、そういう立派なやつじゃないのん。
まずバンジージャンプ。おしっこチビっちゃうかもしれんし、最悪の場合うんこ漏らすかもしれんけどね。俺そもそもジェットコースターとか、絶叫マシンの類に乗った事すら1回もないのよ。や
右折車にも、自分にも幸あれ
用事があって梅田まで自転車で行っていた。帰るのが夕方18時過ぎになったので、大量のサラリーマンの帰宅ラッシュ時間と被って、すいすい自転車を漕げなかった。
第三ビルの近く、ゆっくりと自転車を押して歩いていると交差点があり、信号のない小さな横断歩道が現れた。渡ろうとすると、目の前で自動車が、右折するためにウィンカーを出して止まっている。サラリーマンの帰宅ラッシュが横断歩道上を途切れなくて、右折で
届けろ!クリスピークリームドーナツ
ウーバーイーツドライバーを生業とすること、今日で二日目だった。今日も、食欲のためにすら家を出られない怠惰な奴らのために、必死の形相でママチャリを漕いできたのであった。にしてもウーバーイーツってそこそこ商品の値段も配送料も高いわけやん。俺はマクドですらウーバーで頼むと、ご馳走に感じる。それなのに、なんで怠惰な奴らに、そんな金銭的な余裕があるんやろって不思議で仕方がない。Go To Eatキャンペー
もっとみる枕草子 / 清少納言(大学1年生)
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、ぴかぴかに光りたる新学期、今のところはまだ、早起きして一限の必修に出席す。言語の教室、まだ友達が少なくてソワソワする一回生、物寂し。校内でサークル勧誘のビラ配りをする人らの多きこと、あはれなり。
夏はサークル。確定新歓や合宿ありけり。最初はいと多き新入生の人数。この時から徐々に減りけり。後に集合写真を見て「はて?こやつは誰そ?」となりがち。男女でプール
酔っ払い大学生の便器破壊、お通夜ムード
俺が働いている居酒屋まるたけは、店舗が入っている黄色いビルを丸ごと所有している。そのビルの屋上では1日に昼と夜の2組ずつバーベキューができる。屋上といっても屋根や壁・窓が建てられていて、テーブルや椅子、空調設備やテレビも完備しており、実質ほとんど個室となっている。人数料金とお肉のセット代さえ払えば、あとは飲み物の持ち込みは自由で、勝手にバーベキューしてください!終わったら店員が片付けておくので、
もっとみる涙腺が急に緩くなってしまった話
「泣く」ことは恥だと思って生きてきた。感動するドラマを見て流す涙や、試合に負けて流す涙、お別れの涙。いろいろあれど、涙を流す行為はイコールで「弱さを露呈する」行為だと思っていたのだ。物語を見て泣くのは「俺の感情が脚本家に負けた!」と思ってしまうし、テニスの試合に負けても「勝ち負けじゃねーし!」と逃げていたし、友達や恋人とお別れする時も「お前がいなくても大丈夫だし!」って本当に素直じゃないというか
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