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高速視覚系を有する高速ロボット

スポーツロボットのように高速に運動するロボットは、すばやく状況を認識して行動を決定する必要があります。ここでは、ハイスピードカメラと高速な情報処理を使って高速に運動するロボットを紹介します。

ここまで、スポーツロボットの関連技術として、機械系の話題を扱いましたが、ここでは認識と情報処理の話題を扱います。

紹介する内容は東京大学石川妹尾研究室の研究内容です。

ハイスピードカメラと高速情報処理

ロボットは、環境を知覚し、認識し、計画して、行動します。視覚情報の認識に長い時間を要するため、ロボットの行動は遅くなっていました。この研究では、視覚情報を並列計算することで情報処理を高速化し、ロボットの高速な運動を制御することが可能にしました。1 ms、1 秒の 1000 分の 1 というとても短い時間で、視覚情報を得て運動に反映することができます。

この計算機の並列化による高速情報処理は、後に続く高速ロボットに欠かせない技術となっています。また、この情報処理の方法そのものも、その後発展を続けています。

高速ロボット

高速な視覚情報処理系を使って、スポーツ動作を行う様々なロボットが開発されました。

捕球。

打球。

投球。

走行。

高速視覚系は、運動する物体へのプロジェクトマッピングや柔軟物体操作など、スポーツ以外のタスクにも応用されています。

スポーツロボットとしての展望

打つ、走る、投げる、取るといった高速動作を行う様々なロボットが作れたので、全部合わせて野球するヒト型ロボットを作れるように思えます。しかし、それは間違いです。もちろん、高速な視覚系や高速な視覚系を使った制御は、スポーツロボットを構成する重要な技術です。ですが、一体のヒト型ロボットの中に機能全てを詰め込むには、また別の技術が必要になります。

例えば、二本の足で立つヒト型ロボットは、ロボットアームと同じようには打球できません。なぜなら、高速に腕を振る反動を打ち消し、転ばないように制御する必要があるからです。さらに、ロボットアームの大きな土台に仕込まれていた沢山の部品を、胴体の限られたスペースに入れる必要があります。

現在、この高速視覚系を小型軽量化する試みが進んでいます。また、高速視覚系を用いた人間とのやり取りの方法も研究されています。今後、人間とスポーツするロボットの技術として、より一層発展していくと期待できます。

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