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しけってる日々(日記っぽい何か)

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日々の振り返り、感じたことのほか、その日に見聞きしたカルチャーについて書いています。
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#エッセイ

「なんかごめん」のその先に。

「なんかごめん」のその先に。

「なんかごめん」

その言葉を言われたとき、もともと怒っていたことに上乗せされて嫌な気分になった。いまとなってはその「もともと怒っていたこと」なんか覚えていない。とってつけたように、その場しのぎで繰り出された「なんかごめん」の不快感の方が圧倒的だった。

それ以来、自分でも「なんかごめん」は言わないよう心に誓った。相手がなにに傷ついて、自分がどんな悪いことをしてしまったのかを理解しないまま、自分の

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キッチン用品が好き

キッチン用品が好き

うちのキッチンはせまい。いわゆる「ミニキッチン」である。
コンロはひとつしかなく、申し訳程度のシンクと棚と収納がついている。そのせまさに何度イラついたかわからない。

本当ならそりゃあコンロはふた口ほしいし、スパイスラックをつくりたいし、鍋やフライパンを壁にかけたりしたい。でも、ミニキッチンでは叶わぬ夢だ。

こんな感じで、キッチン周りでやれることには限界がある。
でもその範囲内でしっかりたのしめ

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街ブラ探訪

散歩が好きである。
社会人になってからは頻度が激減したけれど、「この土日、ほとんど外に出ていないなぁ」と思い立てば、用事もないのに歩きに出かける。時間が無限にあった大学生の頃は、散歩をするためにわざわざ知らない街や川沿いまで電車で出向いていたこともある。

散歩はおもしろい。
知り尽くした気がしていた街でも発見の連続だ。ちょっと路地を曲がればいつもと違う雰囲気を感じられるし、季節が変われば新しい風

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名前を知らない顔見知り

 「火事です、火事です」
 物々しい火災報知器の警報音と男性のアナウンスが響き渡る。やっと帰宅して一息ついて、さあ部屋着に着替えよう、と思った頃だったのにな。音の遠さからして今度は近隣のマンションのようだが、万が一を思って部屋の扉を抜ける。さっき脱いだ靴を履き直して。すると、階段の踊り場から外を見ていたお隣さんと目が合った。「ここのマンションではないみたいなんですけど……。向かい? 隣かな?」など

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